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※マイソロ2とマイソロ3の設定を混ぜてます。
ルークは短髪です。



「無茶をしていないか」

「してるように見えますか?」

「見えないから聞いている。お前は無理をしていても誤魔化してしまうからな」

「別にそんなことは……」

「あまり俺を心配させないでくれ。心臓が保たない」


暗く紅い髪の毛と緑の瞳で長身の男、リヒターはまるで女性を口説くような仕草でルーク・フォン・ファブレを抱きしめた。ルークはただただ戸惑うようにリヒターを見上げている。
元来、彼の優しさは直接的でないにしろエミル・キャスタニエに向けられることが多かったが、最近はなぜかルークにも発揮されることが多くなった。しかも、エミル以上に甘やかすものだから、ルーク本人もどうしたら良いやら分からない状態だ。


「あんまルークを困らせんなよ、おっさん」


と、そこに声をかけたのはユーリ・ローウェルだった。彼はガルバンゾ国のギルド出身だが、エステルの件でお尋ね者になっているが、今はアドリビトムの一員として日々依頼をこなしている。ルークにとっては頼れるお兄さんで、大切な――。


「別に困らせてはいない。心配しているだけだが」

「ま、良いけどな。あんましつこくルークに構うようなら、」

「ずいぶんと執心しているじゃないか」


リヒターが意地の悪い笑みを浮かべてルークの顎を上向かせる。たっぷりと艶の含んだ瞳がルークを射抜いた。


「あんたな……!」


叫んだところでルークはリヒターを突き飛ばした。多少よろめくが、それでも彼は笑っていた。


「ユーリ、ごめん。依頼一緒に行くんだったっけ」

「あ、ああ……そうだったな」


出鼻を挫かれて驚いたが、ユーリは抱きついてくるルークを受け止めた。ユーリはリヒターが少しだけ切なそうに目を眇めたのを見た。どうしてそこまでこだわるのか、やっと理解したような気がした。己と同じだ。そこに理由などない。ただ愛しいだけだ。その衝動を無理矢理ねじ伏せて、リヒターはルークに構う。
だからと言って彼に譲れるほどにユーリは心が広くない。だから、ルークの手を引いて歩き出す。そうして、ユーリにあてがわれた部屋に行き着き、部屋に入った瞬間にルークを扉に押し付けて口付けた。最初から手加減無しに深く、深く何度も貪る。数秒と保たず、ルークの翡翠の瞳は熱に浮かされるように蕩けた。


「嫌なら嫌だってはっきり言えよ。あんな奴に触らせるな」

「ごめ、なさ……っんぅ」

「ったく、後で泣きを見るって分かってて何で拒絶しないんだよ」

「だ、て、りひたー、さん、やさし……ふ、ぅ」

「ああ、そうだな。あいつはお前限定で優しい。けど、それとこれとは別のお話だ」


自らの嫉妬が浅ましいということぐらいユーリとて理解している。ルークを傷付けるだけだということも。それでもこの子供を誰にも譲れないのだ。誰かが好意を持ってルークに触れるたび、自らの感情は制御不能になる。口付けても、身体を繋げても、足りないくらい。


「ゆーり……」

「……何だよ」

「おれは、ゆーりだけ、だ、うそじゃ、ない」

「知ってる」


耳元で囁いてやるとルークはふにゃりと笑う。今度は優しく口付けて抱きしめた。子供が壊れてしまわぬように。





無自覚の君に捧げる僕の愛










――――――――――
相互記念リクエスト、流雨さまへ!

ちょっとダークな感じに仕上げてみました。
こう、嫉妬に狂う色っぽいユーリを目指したつもりです。
が、自爆したかな……遠い目。
相手がリヒターなのは個人的趣味です、笑。
拙い作品ですが、どうぞ貰ってやってください……!
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