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ユーリ・ローウェルの朝は早い。耳に飛び込んでくる第一声は我が家にいる子猫・ルークの声。


「まま!」


小さな身体を最大限動かしてベッドによじ登るとユーリを起こすのだ。必死に、身体中で、ユーリを呼ぶ。最初は身体の上に乗られたが、今はそういうこともない。ユーリとフレンがきっちり教育した賜物である。


「おー今日もご苦労さん」


起き上がって頭を撫でてやると嬉しそうに喉を鳴らしている。こういうところは人間の子供と変わらない。唯一人間との差違は猫の耳と尻尾があることだけだ。


「まま、ごはん!」

「まだ少し早いな。時間ぴったりに間に合うように作るから、ラピードと遊んでこい」

「うん、わかった!」

「躓くなよ!」

「だいじょうぶ!」


が、直後に躓いた。びたんっと派手な音とともにぐずり出す子猫。

(あー……今日も始まったな)

大音声の泣き声。ユーリは頭を抑えた。実は毎朝の恒例行事。ユーリが家にいる時はかならずやるのだ。


「ルーク」

「ままぁっ……!」


必死にしがみついてくるルークを抱き上げる。階下に降りるとランニングに出ていたらしいフレンがキッチンにいた。


「よう、フレン」

「おはよう。て、もう恒例行事だね」

「だな。ま、慣れたもんだ」


ユーリはルークをあやすように背中をぽんぽんと撫でる。フレンは頭を優しく撫でて。さながら親子だ。


「おはよう」

「よう、ラピード。今朝は遅いな」

「レイヴンが」

「おっさんが?」

「引き止めるから」


廊下の端の方でレイヴンがいじけている。ユーリとフレンは顔を見合わせてため息をついた。これも朝の恒例行事。要は羨ましい、らしい。


「さて、フレン。ルークを頼む。俺は朝食を作る」

「分かった。さあルーク、ご飯ができるまで僕と遊ぼう、ね?」


相変わらずぐずるルークをユーリから預かるとリビングにあるソファに座る。ラピードもフレンに倣い、リビングへ行く。レイヴンだけ入り口に留まっていた。


「ルークんとこ行ってやれって。おっさんが一番懐かれてるだろ」

「あははールーちゃん元気だもんねー」


レイヴンは遠い目をした。ルークに一度じゃれつかれると際限なく遊んでくれとせがまれるため、近づくに近づけない。だが、ルークは可愛い。ジレンマだ。盛大なため息とともにユーリはレイヴンの頭を叩いてやった。

「可愛い孫だろ、遊んでこい」


ユーリはルークのデザートを何にするか頭を悩ませながら、冷蔵庫を開けた。





ままといっしょ
(よし、ゼリーにするか。作り置きしといて正解だな)










――――――――――
日付間違えたので急ピッチで仕上げました。
今度こそルークの日おめでとう。
ルーク、大好きだ!
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