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世界からレプリカが消えた。それと同じくして『ルーク・フォン・ファブレ』のレプリカとともにジェイド・カーティスが失踪した。


「悪いが本気で探すつもりはないぞ」

「そう仰るだろうと思いました」

「あいつが逃げるって決めたのなら意地でも捕まらん。捜索などしても無駄な骨を折るだけだ」

「同感です」


珍しく執務を真面目に行っていたピオニー・ウパラ・マルクト九世のもとにもたらされた一報は少なからず彼を驚かせたが、それだけだった。ピオニーのお目付役として側にいたアスラン・フリングスも思うところはあれど、捜索を命じるほどに優しくもない。


「キムラスカは騒動になっているだろうな」

「でしょうね」

「……笑顔が怖いぞ」

「さて、どんな笑顔のことですか? ――手を動かしてください、陛下」

「最近、ジェイドに似てきたな……」


アスランは素知らぬ顔で書類をピオニーのデスクに積んだ。ピオニーの顔が微妙に引きつるのにも構わずアスランはにこりと笑って、


「まだまだありますから。頑張ってくださいね」


とのたまった。頭を抱えるピオニーに警備兵たちは同情にも似た視線を送った。










(束の間の平和、どこまで続く?)
(国民を思いやるべき皇帝は素知らぬ顔で欺いた)
終焉の先は霧の中










――――――――――
突貫工事です。
ついこの間書いたジェイルク直後の陛下と少将。
王様と軍人としては最低の選択をした二人です。
終わるに任せて文字通り最後まで見守るんだと思う。
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