第四話


うん、毎度言ってたけどね、お約束のセリフっていうの?
今回ばかりはカットかな。
そんな暇ないし…。


第一、誰だよ野球の助っ人しようとか言い出した奴!?





君と彼とついでに僕の世界…4





「あぢぃー…」
「花菱君、それ向こうで死んでる水鏡に言ってよ」

なんやかんやあり、まあ、今は校舎のグラウンドにいるんだぜ。何でなんだぜ。
…いや、なんか水鏡と話してたら風子ちゃんが来て、「野球出ろ!!」って言うもんだから、思わず頷いて水鏡引きずって来ちゃったんだって。
いや、反省してる。水鏡には悪かった、ほんと。
「一番!花菱烈火!!」
自信満々だけど…花菱君って野球できんの?てか、ここにいる俺ら、野球できるの?俺、バットにあたるかが心配なんだけど。
「おーっ!」
「ん?…おお!さすが花菱君!」
さっそく一塁とは…。
…わあ、俺絶対いない方がいいよどうしよー(笑)
「二番!ふーこちゃん!!」
あ、風子ちゃんならなんか期待できる。…いや、差別とかじゃないし!
てか水鏡、せっかく桔梗ちゃんが見に来てるのに…髪長いと暑そ…あ、そうだ。
「水鏡、髪縛ってやるよー」
「は?」
「暑いだろー?ちょい大人しくしてろよ」
別に俺、美容師目指してる訳じゃないからうまくはないんだけど。
まあ、結ばないよりは結んだ方がいいし。
「ほいっ。ほれ、帽子貸してやるよ」
ぽすん、とキャップを被せると、水鏡は小さく呻いた。
ほんとに貧弱なのな(笑)
「おお!!」
あ、風子ちゃんがかっ飛ばした。うーん、爽快。
「あ、」
「えええ!!?」
「あー…フライ」
フライならしゃーないなぁ。いや、行けると思ったんだけどな。
おしかったなあ、なんて水鏡に話しかけようもんなら、視線で射殺される、ガチで。
「三番は…?」
「俺だ。石島土門!!」
「…わあ、」
「…だめか」
ごめん、石島君。君にホームランがうてるとは思えないよ。正直バットにあたるかどうかも…。

ブンッ

「…音は、いーんだけどね」
盛大に空振り。
やっぱ一朝一夕で出来るようなもんじゃないよ。
しかも相手、野球部じゃん。
「次!四番!」
「お、スラッガー。誰だっけ、水鏡?」
「さあな」
野球で四番と言ったら、エースだよな。でも誰?
「みーかーがーみー!お前だよ、お前!!」
花菱君がなんか一塁から叫んでるけど。
…え、まじ?水鏡なの?運動嫌いで貧弱な水鏡が四番なの?じ、人選ミスだろ!!
「…めんどくさい」
「頑張ってこいよ。桔梗ちゃんもみてるんだし」
はあ、とひとつ息をつくと、キャップをかぶりなおした。
水鏡、出陣。かな。

「水鏡っ、頑張れ!」

…桔梗ちゃん、まじ救世主。
水鏡もこれならがんば…ってえ、やる気な!
「ふん。サウスポーだからできるのかと思ったが…やはり素人だな」
とか言われちゃって。
「みー坊!かっ飛ばせー!」
「バットも振らずに三振なんて許さねえぞ!」
うるさい、とか思ってんだろうな、あの顔は。
いや、俺は言わなくても信じてるよ、水鏡のこと。なんせ俺の親友だからな!

「打てばいいのか、打てば…!」

カキーン!
うーん、いい音。
「ば…バカな…」
「さっすが水鏡!」
「やったね、みーちゃん!」
うわうわうわ。まじで打ちやがったよあいつ(笑)しかも文句なしにホームラン。
「なあ、点が入るなら走らなくてもいいか?」
「いや、ダメだろ」
その通りだ花菱君。うん、水鏡、えらかった。とりあえず走ってこい。点にならないから。



えー…、なんでこうなってんのかな。
「ふ、風子!やっぱり少し丈が…」
「だいじょびだいじょび!」
「樋口…僕は今猛烈にあれをなんとかしたい」
「できるならしてほしいし」
うん、風子ちゃんはもともと、いつもみたいなカッコだったけど。応援に来てた桔梗ちゃんと佐古下ちゃんはふつうの私服…だったはずなんだけどな。俺の目がおかしくなければ、その三人はチアガールのカッコしてるよ。…あれ?(笑)
いや、ていうか隣で死にかけてた水鏡の殺気が凄まじいんだけど!?超怖い!!
「さ、最終回、がっつり応援しちゃってよ!」
…そーなんだよなあ。
最終回なんだよ、いま。
うん、おかしいな。最初は勝ってたはずなのに、知らないうちに負けてたし。このままだと負けるねー、うわー。
「…おい!この試合に負けたらペナルティーをつけるのはどうだ?」
「はあ?いまさらかよ」
「負けるから断るか?」
「負けねーし!いいぜ、うけてやる!」
あーあー…。花菱君、勘弁して。そんな勢いだけで行くなよ…。
第一、相手の顔からしてアホなことだろうなあと思うよ。てかわりと負けそうだし。
「ふっふっふ…、」


「こちらが勝ったら、彼女たちとデートさせてもらおうか!!!」


「ふざけんなよカス」
花菱君即答ー!!(笑)
「そちらが勝てば、なんでも好きなことをさせてやる」
自信満々なとこ、悪いんだけどさー。

「花菱君、それ受けよっか」

「は?」
「樋口?」
まあまあ、死にかけの水鏡は黙ってなよ。
「負けなきゃいいんでしょ、ようは」
「話が早い」
ははは、野球部の主将さん、あんた笑ってられるのも今のうちだけだよ。彼らが黙ってるはず、ないからね。それに、俺、ちょびっと怒ったかな。



「んー、最終回でツーアウト満塁なんて、ベタだね。そして最後が四番だったらパーフェクトだったんだけど」

さすがに、桔梗ちゃんと佐古下ちゃんがかかっているだけあって、いい効果があった。
花菱君はもちろん、風子ちゃんもだし、石島君もまあ頑張った。水鏡も、少ない体力でよくやったよ。
…あとは、俺か。
明らかにね、間違ってる気もすんだけどさ、俺が打たないと、今までのがパーになるから。ここでかっこよく決めとかないとさ!
それに、



「桔梗ちゃんは、水鏡の彼女だァァァァァァ!!!」



人の女をとろうなんて、畜生に値する!

カキーン…!

おお、いい音…。人生初だ。初めてバットに球があたったぞ!!感動した!
「樋口先輩すげえ!?」
「走れ走れー」
わあ、すげえ、どんな漫画的展開(笑)しかも主人公、俺?
花菱君、風子ちゃん、水鏡…そんで俺!
四人分の得点で逆転。うん、あれだな、サヨナラ勝ちだ。なにそれかっこいい!
「…樋口、」
「んー?」
お、水鏡じゃん。
おつかれー、て言ったら、水鏡がかぶってたキャップを返しがてらかぶしてくれた。くっ、長身ェ…!

「…ナイスファイト」

…え、え、水鏡さんいま何て…?
「二度は言わない」
おおう、心読まれた。エスパー水鏡!?あ、なんかかっこいい!
「さーあ、約束。だからなあ?なぁにしてもらおうか?」
うわ。花菱君、悪代官じゃないんだから(笑)
えーとそれより、桔梗ちゃんと水鏡は…、

「水鏡、お疲れ様」
「ああ…」

…あれ、なんか水鏡目が泳いでる?(笑)
「たおる」
「ん」
なにあの二人、超会話短い。むしろ会話じゃないwww かわいいんだけど(笑)
「……桔梗、」
「ん?」
「………」
うわ!
水鏡め…こんな公衆の面前で桔梗ちゃん抱き締めやがって…!ちょっ、桔梗ちゃん逃げて!
「み、水鏡…?」
「…着替えてこい」
「は?」
「今すぐ」
自分のジャージを桔梗ちゃんに着せてやって…ってなんだ水鏡!?
そ、そこまでして桔梗ちゃん保護したいの!?
「でも、」
「す、ぐ、に」
「…はい」
水鏡ー!桔梗ちゃんしょんぼりしてるだろぶぁーか!
くそっ、これだからイケメンは!頑張ったの俺なのに!

「水鏡、」

「?」
あ、俺がしばってやった髪…。くそ、無駄にきれいだな!
なんかムカつく。いや、なんかじゃなくてムカつく。ムカつくぞちくしょー!!



「Fuck you」



ははは。
俺にこんなこと言われるとは思わなかっただろ。ははは。
いや、応援はするが。してるが。
それとこれとは話が別だから、



「とりあえず爆発しろ水鏡」

(20110415)


[*prev top next#]



×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -