第一話


リア充爆発しろ。


…ごほん、失礼。
えー、俺は樋口という、とある高校の三年生、つまりは受験生なのだが、まあそれはかなりどうでもいい。
うん、俺が何を言いたいかって、さ…。


誰かこのバカップルなんとかしろよ。





君と彼とついでに僕の世界…1





「えっと、水鏡いますか?」
教室前方、女子の塊から、最近すっかり聞き慣れた声がする。
見てろ、今に水鏡が立ち上がって…ガタッ…そっちに向かって…「あ、水鏡君」…戻ってくるから。
「やほ、桔梗ちゃん」
「毎日ご苦労様だね」
「こんにちは、樋口先輩。氷雨」
水鏡の彼女、二年生の東雲桔梗ちゃん。
もう俺、桔梗ちゃん表すのに大和撫子以外の言葉が見つけられない。
うん、そんくらい可愛くて礼儀正しい後輩。あ、別に俺の後輩とかじゃないからね。
「こいつらには挨拶しなくていい」
ほんと、なんでこんなこという水鏡の彼女なのか疑問。超謎。ていうか、
「うん、水鏡は黙ればいいよ」
「凍土にどーい」
「水鏡、挨拶はきちんとするものだ」
…いやほんと、なんで?なんでなの?

「水鏡ー、爆発しろ」

「急に馬鹿なことを言うな」
水鏡、黙ってればイケメンだから、俺も女子だったら惚れたかもしんないけどさ。
…にしても、扱いひどくね?
まあこれでも二年の時に比べりゃ丸くなったんだけどさー。うん、あの時はシカトとかガン飛ばしてきたり普通にしてたからね。…うん。
「水鏡ぃー」
「なんだ」
「お前、優しくなったよなぁ」
ふにゃりと笑いながら言うと、水鏡は目を白黒させて、真っ赤になった。うわ、照れてやんの(笑)
「訳の分からないことを言うな」
「ぃてっ」
水鏡ってすぐ頭叩くし。しかもこれが地味に痛いんだ。コノヤロー誉めたのに。
「樋口先輩もわかるか?」
すると桔梗ちゃんの嬉々とした声。
あー、可愛い。言うと水鏡に殴られるから言わないけど。
なんかね、水鏡は時々ムカつくけど、だいたいは桔梗ちゃんが可愛いし優しいから許しちゃうんだよね。まじ水鏡何なの。
「まあ、去年はヒドかったね」
「俺毎日泣きそうになりながら水鏡に挨拶してたよ」
凍土の相槌に、ぶんぶんと首を縦に振ると水鏡は顔をしかめる。いや、美形はどんな顔でもいいもんだ。
…うーらーやーまーしーいー。
「ならやめればよかっただろう」
「だって水鏡友達いなかったじゃん。俺、そんなのやだなーって」
「うわ、樋口君いい奴。ちょっ、水鏡感謝しなよ」
「いや、樋口の都合…」
凍土に反論しかけて、水鏡は桔梗ちゃんを見てため息をついた。
「…わかった。感謝している、樋口」

…み、水鏡…。

「樋口先輩…?」
「み、」
「み?」


「俺水鏡大好きだーっ!!」


「ぶはっ」
「い、いきなりそんなことを叫ぶな!?」
…ん、あれ?感極まって叫んじゃった。ちょっ、照れてる水鏡まじかわいい。何なのコイツ、俺が女だったら絶対告ってるわ。てか水鏡、友達に耐性ないのか?
「樋口先輩は優しいな」
「いや、そういうことじゃ…」
相変わらずすっ飛んでる桔梗ちゃんだけど、桔梗ちゃんなら水鏡の良さをわかってくれてるからね、
「水鏡の親友として安心だ」
「…親友…?」
「うん!俺と水鏡は親友だろ?」
「え、あたしいれてくれたりしないの。別にいいけど」
肩をたたくと、呆れ気味に、でもちょっと嬉しそうに、水鏡が笑った。
お、イケメンすまーいる。

「いま水鏡先輩に愛を叫んだのは樋口先輩ですか!?」

「や、柳?」
いや、ここ三年生の教室だから。てか何でわかったの佐古下ちゃん。
「うん、親愛の情を」
「樋口君、誤解されるから黙って」
相変わらず暴走気味な佐古下ちゃんを、凍土がなだめる。いや、にしてもこれに関してはほんとに素早い子だ。他のことに活かせばいいのに。
「あ、桔梗ちゃん笑ってる。どーせよくわかってないでしょ?」
「あ、ああ…みんなが、楽しそうだったから」
くすくすと笑いながら、桔梗ちゃんがふんわり微笑んだ。…う、ストライク。めっちゃ可愛い。
「樋口、やらないからな」
「はいはい」
「水鏡、樋口先輩にもっと優しく…」
「これで充分だ…」
…なんか、さ。
うらやましいよ、うん。彼女いたら普通に楽しそうだし。でも俺、しばらくはこの二人眺めててもいいかなー。



…うん、バカップルやめたらね。



「そうだ桔梗、前言っていた店がセールをしていた」
「あ、あの、くまも?」
「ああ。うさぎも」
「本当か!?」
「明日行くか。買ってやる」
「うん。ありがとう水鏡!」

…わあ。
「…なー水鏡」
「なんだ?」





「…うん、お前とりあえず爆発しろ」

(20110408)


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