あの頃と変わらない



※もろきゅうさんリク



互いにもつれるようにして狭いベッドに倒れこんだ。
肋骨を押された拍子に息がつまり、サスケはけほけほと咳き込んだ。

「今日も俺のこと待ってくれてたんだろ」

低いささやきがねっとりと鼓膜を犯す。イタチに押さつけられた手首の骨がギシギシと音を立て、サスケは震えながら小さく悲鳴を上げた。
思春期を過ぎ、性的に成熟して筋肉がつき始めた今でもまだ、サスケは兄であるイタチにかなわずに、こうしてなされるままでいるしかない。
イタチは乱暴に弟の衣服を剥ぎ、足を開かせた。太ももの内側の白いもっちりとした皮膚の上を男の節くれだった長い指がなぞっていく。それは方々で寄り道しながらもじわじわと敏感な部分へと近づいていく。空いた手がシャツのファスナーを引き、上半身の目立つ突起をキリリと抓る。
サスケはその決して純粋な痛みだけではない感覚に耐えかねて身をよじり、歯を食いしばった。
イタチの綺麗な指が陰嚢を滑り、雄を握った。
サスケはぎゅっと目を瞑り、この屈辱的な行為がもたらす快感に耐えた。
兄と二人、こうして毎夜寝床をともにするのが彼らの間では日常となっていたが、サスケには自信がなかった。
二人の間に横たわる関係は、少しでも長く会っていたいとか、愛しくてたまらないとかそういった理由からではない。
イタチはただサスケがまだ自分のそばにいる事実を実感するためだけに彼を手元にしばりつけ、いつでも好きなとき好きなように犯した。
二人が離れていた時間はあまりに長すぎた。
イタチの指先が、そっと割れ目をなぞる。そのまま一気に二本も突き立てられた。軽く菊門に触れた指をすっと離すと、透明な粘液が糸を引いた。彼はカラカラと笑い声を立てた。

「そんなに兄さんのが欲しかったんだ?」
「んあっ……や、あっ」
「大丈夫、すぐに入れてやるさ」
「あっ、や、だ……やめ、にいさっ、はぁっ……」

身体の相手が目の前にいるというだけで、中が濡れるわけもない。
サスケは恥を捨て、兄との性交のためにいつも前もって自分のそこをほぐしていた。濡れていないというたったそれだけの理由で、かつて兄が自分に暴力をふるったことがあったから。
不意に蠢く指の感触が消え、ジッパーをずり下げる音がした。
サスケが濡れた目をパチパチと数度瞬いて視線を下へ向ければ、凶悪な形をしたイタチのものが目にとまった。それだけで圧迫感に息が詰まりそうになり、サスケは全身を硬直させた。
持ち上げられた足の間にイタチの身体が割って入り、猛った熱がくぼみにぐい、と押しつけられる。大きな質量が肉壁をかき分け、めり込むようにして侵入してくる感覚に耐えかね、サスケは喉の奥から擦り切れた悲鳴を発した。

「ぅあっ……ひ、ァっ……」

イタチの熱しきったそれが粘膜を激しく引き延ばしながら侵入し、一気に奥に打ちつけられた。ストローク、ストローク、ストローク。安堵する暇はなかった。打ちつけたものをずるりと引き抜かれ、一転して再度押しつけられる。
荒げた息が細切れになり、開ききった黒い眼から涙があふれて頬を伝う。内臓を抉られる不快感に加え結合部がひりひりと刺すように痛んだ。それでも残るのは決して痛みだけではないとサスケは経験から知っていた。イタチのものから逃れるように彼は腰をよじった。

「やっ、あ……、――やめ、やめてっにいさ……」
「なぜ?」

兄は逃げ腰で泣き声を上げる弟を羽交締めにしながら邪な興奮でそこを大きくした。

「っ、あ……」
「本当は気持ちいいんじゃないのか。……ほぅら、サスケのここはこんなに正直なのに」

イタチは優しい顔をして猫なで声を出し、サスケの緩く芯を持った先端をぐりぐりと弄る。端正な顔に浮かべた表情はサスケの幼い記憶に残るものと寸分違わず、儚げで美しいままだった。
――たった一つあの頃と違うのは、自分たちが大人になってしまったことだけ。





20110904

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