折原臨也の失態.1
※茜雲さんリク
「あっはぁ、いざやさん可っ愛ーい」
「ひっ、う…!馬鹿っやめろ!そんなとこ…あぁッ!」
俺は全身がくがく震えながら奥歯を噛み締め、汗の滲む手できつくシーツを握り締めた。まるで溶解したかのように鈍る頭の片隅では、臀部にかかる吐息が帝人くんのものであることを辛うじて理解する。
だからと言って、決して安易に受け入れられるものではなかったけれど。
「ねえいざやさん、おしり、きもちィれすかぁー?」
到底彼のものとは思えない間延びした声と同時に指が縦横無尽に胎内をかき回し、くちゅくちゅと卑猥な水音が漏れた。
ああ、ああ、帝人くんてば、どうかしている。こんな滅茶苦茶な状態で気持ちいいかどうかなんて答えられるわけがない。
「あッ、やめっああ、あ……っ!」
上も下も分からない。
ただ確かなのは、うるさく響く俺の声と、帝人くんの指の感触だけ。
何故こんなことになったのか。
遡ること三時間前。偶然仕事帰りに鉢合わせた彼を呼びとめ、たまには食事でもどうかと誘ったのが発端だった。
「えっ、臨也さんが僕と食事を!?」
予想外だったのだろう、酷く驚いた顔をする帝人くんに「今日は奢るから」と説得して、事務所近辺にある話題のイタリアンで早めの夕食にした。
俺は同行者が未成年であるのをうっかり失念して、ついいつものノリでワインを注文してしまったのだが、向かいの席に座る彼を見てまあいいかと思い直す。帝人くんがいくら童顔とは言え仮にも高校生だし、本人曰く少しなら飲めるということだったから、余ったグラスに少し注いであげた。それが全ての過ちであることも知らずに。
食事を終えて店を出る頃には帝人くんは完全に“出来上がって”いた。さほど飲んでもいないはずなのにフラフラと足を縺れさせ、顔も真っ赤で舌は呂律が回らない。
これは拙いと感じた俺は、迷わずタクシーを呼んで自分のマンションに連れ帰った。
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