前島周作(まえじま・しゅうさく)



男性のみ / 20代前半
声質イメージ:純朴そうな青年。なんちゃってナマリあります。田舎者っぽさの抜けきらない昭和な人種。ややBLっぽいシーンあります。一方的に思われている&妄想の中ではいちゃいちゃしてたりします。
ケイ達の迷い込む孤島・蛭子島(ひるこじま/前作の舞台の孤島)の元々の住人で、時間軸が狂っているので本来は昭和(二十年、戦時中の日本)の人間。村人でもあり、医学部の研究生。医療に真摯に向き合っている真面目な青年で、純粋な正義感から医者を目指そうとしているが、病院側の悪辣さ・死亡隠ぺいや、まるで人体実験とも取れる患者への対応に、医者とは、そして人命とは、自分の使命は一体何なのか? と実に悶々とした日々を送る。

ニャルラトホテプの召喚とナコト写本の出現により、時間軸に歪みが発生した為に現代と過去が繋がり、ケイ達と共に合流を果たす事となった。

元々、蛭子島では『染色体が破壊され、皮膚が再生されなくなり剥がれ落ちていく奇病』が発生しており、その第一の被験者が前島の初めての患者(クランケ)となった「おっちゃん」であった。戦時中ゆえに薬品も物資も少なく、また奇病への医療的知識もないせいで手術をしても死亡するか半年以内には衰弱死するかの道しか残されておらず、それでもそんなおっちゃんを救いたいと心から思っていたのだが……。

やがて奇病がもたらしたのは形を変えた『ゾンビウイルス』である事が判明し、未来を変える為にもワクチンを作れないかとケイ達に尽力する。一人でも多くの命を救いたいと考えている人格者でもあり、ケイ達のいる未来へと望みを託し協力することに。
ちなみにゾンビという名もケイ達と出会ってから初めて耳にする単語だったらしくそれまでは単なる狐憑きだとか奇病による一時的な狂暴化だとか動き回る死体だのそれらしい名称がなかった模様。

また、高桑の事は純粋に『強い人間』だと考えており同時に自分よりも知能も技術も優れた人間であると心から尊敬の念を抱いている。彼に助けられるたびに申し訳なさと自分の不器用さに落胆はするが、彼の事は良き友人としても、また医療に携わる立場からしても憧れの対象である(勿論変な意味ではなく)。


以下、ネタバレにつき応募を考えて下さる方以外は避けるのをお勧めします。▼

初めて生まれ持った患者でもある『おっちゃん』が、奇病によりいずれにせよ助かりようもない患者ゆえに、病院側から実験台として扱われるようになるのを嫌がっていた。しかしそんな言葉を口に出せば自らがここにいる者にとって役立たずな一医員としか映らなくなる事、日本の青年らしからぬ無力で覇気のない男であるという現実に苛まれるのを恐れていた。高桑からも「そんなおっちゃん一人救えたからってどうなるんや?」と冷静な目を向けられるも、何故か前島はおっちゃんの助けになりたかった……。
日に日に症状が悪化し、全身の皮膚が崩れていくおっちゃんを助けたい一心で、大量の輸血や人工皮膚の移植などを試みるも全て無駄に終わり、最後は病が進み皮膚のほとんどが崩れ落ちほぼ全ての内臓の機能が停止してしまう。挙句、おっちゃんはある晩の日、人に襲い掛かりその血肉を啜る『動く死者』となってしまう。応急処置にあたっていた、看護婦であり同時に前島の恋人でもあるみつ子の腕を噛んだ事により、そのウイルスはおっちゃんを始めの媒介とし急速に広がりを見せ始める。同時に島ではニャルラトホテプの召喚と、その強大な力により己の能力を抑えきれずにナコト写本によるタイムループの力が融合した結果、異界と昭和、そして現代の島が繋がってしまい全世界に大地震が起こる事に。
未曽有の事態の中、恋人みつ子を探し出した頃には、彼女は気丈にも怪我に耐えながら他の患者たちを救う為に看護活動を続けていたものの、失血多量により命を落としてしまう。例のおっちゃんは奇病の恐怖とみつ子に食らいついてしまったことへの罪悪感から、残る理性でシーツを使い庭の立派な桜の木にそれを巻き付け首を吊って死んでしまうのだった。
おっちゃんの身体は皮膚もほとんど失くなり、角膜からは激しく出血し血の涙を浮かべているようで、所々骨が剥き出し状態の決して綺麗だとは言い難い状態であったが、その死に顔は穏やかなものに見えた……何故かそれを見ながら、前島は悲しみ半分と、もうこれ以上おっちゃんが病院のモルモットにならなくて済むのだと安堵した思いもあった。

周作はおっちゃんの死を目の当たりにし魂が抜けたよう、ここで初めて自分がおっちゃんにどれ程執着していたのか、どれ程彼を救いたかったのか、彼を助ける事が自分の魂を救済してくれたのではないかと考えるようになり、一気に悲しみとやるせなさが溢れてくる。そしてこのウイルスに感染したら最後、同じように人に食らいつく狂暴なものへと変貌してしまうという事が、恋人みつ子を通じて判明する。守りたかったものを立て続けて失くし、更には師事していた教授の真の目的を知り深く絶望してしまう。

改めて、おっちゃんは彼は唯一失いたくないと思っていた大切な患者だったのだと思い知り、彼の心は深く傷つく。また、みつ子を『動く死体』にしてしまった事もあり、必ずやそれを治すワクチンを作り出す為に決意を固める。そして同期でもある高桑壮一郎と共に、ワクチンを作り出す研究を重ね始めるのだった。



台詞量:200未満
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選考台詞:
01_前島
「おっちゃんは貴重なサンプルとしての実験台やし、ご夫人は教授の出世のための踏み台なんか。……これで、ええんやろうかな? これが医療というもんじゃろうか。これが医学というもんなんやろうか……医者って、何なんやろうな? ほんまに。これは何なんやろう。何なんやろう。何なんやろう……これが医者と言うもんなんじゃろうか」
(おっちゃんはモルモットとして生かされ続け、結核の富豪の娘は上層部に顔を売る為に執刀される。大部屋で何人もの人間が不潔な垢じみたシーツでやっとの思いで寝起きし、助かる見込みもない中、自分は本当に医者になれるのだろうか、果たしてこれでいいのかと苦悶する)


02_前島
「――なあ、おっちゃん。高桑。みつ子。医者って何や? 目の前にある命を救いたい。たった一人でも多くの命が救えるならそれでいい。そんな単純な言葉じゃ駄目なんか?」
(医学部長の座を巡り目の色を変える教授らの派閥争いを見て、何とも言い難い複雑な気持ちに駆られる)


03_前島
「神様ちゅうもんは、おるんやろかな。変な話やが、神、いうのは……ええ神ばかりやないのかもしれないと考えたら、本当におるような気がしてきてしまうんよ。やから……こういう事かて、次から次へと平気で起こりよる」
(あまりにも酷い事が立て続く世の中に諦観したよう、相棒の高桑に問いかける)


04_前島
「ケイさん。俺達はいつか罰を受ける。罰を受けても、当たり前やけんど。でも、覚えておいてほしいんです。俺は、俺は確かに、誰かを救いたかったんです。おっちゃんを救いたかったんです。そして何より自分自身を救いたかった、あさましい人間です。……ケイさん。限られたこのワクチンを、どうか、未来のあなた達の為に使ってつかぁさい……一人でも多くのひとを、救うてください。後生ですから……どうか、どうか――(※泣き声で掠れて聞き取れない)」
(最初のウイルス保持者であったおっちゃんの身体に残されていた貴重な血液サンプルとゾンビ達の血液を使い、臨床実験を行った結果作られたサンプルを手渡しながら。後は未来の医学に任せるしかない、とケイにそれを託す)
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