中盤戦


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04-1.僕の彼氏を紹介します



 あれから少し遠回りになってしまうが、とナンシーが別の道を教えてくれた。

「別に構わないよ。ちょっとくらい遠回りになっても、また山奥の変な場所に辿りつくよりはいいからねェ」

 ミミューが笑って返す。しかし当のセラは、思った以上に目的地への到達に時間がかかっている事に若干の苛立ちはあるみたいだった。勿論それを口には出さないけれど、

「あ、ごめん。ちょっと電話だ」

 ミミューが言うと一同が顔をしかめた。

「電話だって? なんだ、もう繋がるのか」

 創介がズボンから取り出すと、回線の混乱によってか到着が遅れていたメールやLINEの通知がいくつか入って来ているのを確認した。

――そうだ、親父は……!

 急いで探してみるも、父親からの連絡の形跡はないみたいだ。創介が半ば

「もしもし? ガイ? ガイなの!? 無事……、無事なんだね」

 ミミューは心底ほっとしたような声を洩らしていた。

「……良かった」

 その上、涙まで浮かべている。家族か、身内か、とにかく大事な人には変わりが無いのだろう。ミミューは鼻を啜りながら会話を続けた。

「うん。僕なら平気だよ。……ちゃんとやってるから。――うん、……うん」

 そう言ってミミューは子どもみたいに何度も何度も頷いては泣きじゃくった。

「うん、僕も……僕も愛してる! うん、うん! 好き! 大好き!」

――あぁ〜。そういうアレな、なるほど……

 どうやら例の恋人であるようだ、ミミューは電話を切った後スマホの画面に向かって何度もチュッチュとキスし始めた。

「きっもちわるぅい……」

 それでもう思いっきり引いたような顔をするのは雛木だった。凛太郎なんかは舌を出して嫌悪感を露わに顔をしかめている。

「どうしてだい? どうして電話越しにキスをするのがいけないんだい? 君たちだって恋人がいたらそれくらいするでしょう。ね、創介くん!」
「いや、ちょ……何で俺に振るのさ……。まあ、した事もあったようなないような」

 さぶっ、と雛木が蔑む様な口ぶりで言ってのけた。まあ、キモイだの死ねだのと言われるよりはいいけどさ、そんな顔つきでそれは無いっすよオニイサン……創介は苦笑して頬を掻いた。

「神父さま、今のはその恋人ですか?」

 セラが尋ねかけるとミミューが嬉しそうに笑った。

「そうだよー! よく聞いてくれたねセラくん! ほら見て見て、この右側がそうなんだ。カッコいいでしょう」

 言いながらミミューはスマホの待ちうけにしてあるプリクラの画像を見せつけて来た。そこには男が二人、実に仲睦まじい様子で映っている。

 男同志のプリクラ、それも若い男子高校生同士ならまだしも結構いい歳な男二人が……というのは何だか異様な光景である……。




ガチホモカップル
見たけりゃ見せてやるよ



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