中盤戦


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18-2.エスケイプ・フロム・リビングデッド



倒せども倒せども、次々と襲いかかってくるゾンビ達の群れに改めてその増殖力を思い知らされる。

 ここ数日のうちで、その数が遙かに増えているのは目に見えて分かった。

「――クソッ!」

 創介が両手でそのリボルバーを構えながら何とか脚に命中させる。走ってきたゾンビは足元を撃ち抜かれて前のめりに倒れ込んだ。

「一真! 何してるんだ、早く次の弾を……」

 しゃがみこんでバッグの中をがさごそとしている一真に凛太郎が叫び散らした。

「こういう時はさぁ、少し考えを張り巡らさなきゃね」
「アァッ!?」

 一真がにっと笑って鞄から取り出したのは……人間の足首だった。断面は乾いていて、赤茶色っぽく変色しているようだった。

「ひっ……!? な、な、お前それっ」

 思わず凛太郎がたじろぐと一真は立ち上がり、それをぽーんと投げた。向かってきていたゾンビ達がその足を止めたかと思うと、向きを変えてそちらへと走りだした。

 好物を投げられたのだから、そりゃそちらへ意識を向けるゾンビもいるだろう。

「あ、頭いいな〜お前……」

 素直に感心したように凛太郎が呟いた。

 全部がそちらへ引き寄せられたかと言うとそうではなく、無論まだ向かってくるゾンビはいる。

「オイ、まだ来るぞ! 気ィ抜くな」

 体勢を構え直した矢先に、突っ込んでくるワゴンがあった。二体のゾンビが弾き飛ばされて、鮮やかな血飛沫が舞い上がった。

「お待たせ! さ、みんな早く乗って」
「畜生、ワゴンの引き戸って開け辛いんだよぉ」

 ぶつくさ文句を言いながら何とか全員乗りこむ事に成功した。最後の方はほぼ転がり込むような勢いであった。

「みんな準備はオッケーかな? シートベルトはしっかり締めてよね」

 そうしている間にもゾンビの群れがこちらへ走り寄って来て、あっという間に包囲が完成する。

「……しつっこいなあ、もう!」

 舌打ちしながらミミューがバックギアに入れ、アクセルを踏んだ。背後のゾンビがまず一体、二体と弾け飛んで別のゾンビにぶつかりそこの包囲が崩れる。続けてミミューはドライブへと切り替えると、強くアクセルを踏み込んで車を急発進させた。今度は正面にいたゾンビが吹っ飛んで、中央のフロントガラスの上を転がった。

 さすがに衝撃が伴って、フロントガラスに若干のヒビが走ってしまった。車内にいたそれぞれが椅子やらシートベルトにしがみつきながら何とかその激しい揺れに耐えきった。フロントガラスに血液をこびり付けながら、ゾンビがずるずると滑り落ちてゆく。

「そのまま突っ切っちゃえ神父!」

 創介が座席の肩に手を置き、顔を覗かせながら叫んだ。

「言われなくともそうするさ……」

 やれやれ、こんなにも乱暴な運転、した事も無いしする羽目になるとも思わなかった。ゾンビの包囲網を何とか抜けだして、ミミュー達は安全な道を探し出す事になるのだった。

 とりあえずミミューはワイパーを操作して、血のべっとりついたフロントガラスを拭いた。




ゾンビ発生したら私多分
車にのってゾンビ轢きまくると思う。
というかたまにそんな夢を見る。
ストレスが最大ゲージにまでくると
この夢を見る。
でもゾンビは何度倒しても死なないので
更にイライラが募るよ。



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