中盤戦


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11-3.わが罪あやまち、限りもなけれど



 セラはあんな事をしたにも関わらず、特に悲しむ事もせず怒る事もせず、無表情のままだった。

――慣れてるから、か?

 それを思うと余計に悲しくなって、もっと自分を責めたくなった。いっそあの時いつもみたいに強気で殴ったり叱ったりしてくれた方がずっとずっと良かった――良かったのに――。

「俺のアホンダラ……」

 ぽつりと言い捨てて創介は討論を始める二人の間をすり抜けていく。

「神父、前々から思ってたけどアンタちょっと何でも行き当たりばったりすぎんだよ! そんなんいつか絶対身を滅ぼすってマジで!」
「なーーにを言いますか! 慎重になりすぎて何でも切り捨てていくような排他的な行動こそ、破滅を招くに決まってるでしょうが!……って、創介くんどこに?」

 ミミューが尋ねるが創介は何も答えない。その背中にどうしようもなく哀愁が漂っているのが、よーく伝わってきた。

「そ、創介く……」
「一人にしてほしい」

 言うなり創介はバタン、とどこか物悲しく扉を閉めた。

「…………」

 辺り一帯にさっきよりも濃い静寂が訪れる。

「――それで?」

 押し黙っていた一同だったが、やがてナンシーが口を開いた。

「これからどうするの? この旅。早いところ、結論出した方がいいんじゃない? ここでお別れ? 私達」

 ナンシーはほとんど表情を変える事なくそう言った。少しくらい名残惜しいと言えばいいのか、悲しそうな、もしくは寂しそうな感じを漂わせてくれればいいのにな……なんて思いながらもその言葉に現実にハッキリと戻された気がした。

 そうだ、それは一刻も早く出さなくてはならない答えであろう。

「……僕は引き続き、セラくんを護衛する。セラくんが嫌がろうともそうするつもりだよ。皆に無理強いはしないさ。ここでお別れなら……悲しいけども、仕方ないよね?」

 そう毅然として答えるのはミミューだった。単なる正義感からそこまでするのか、それとも何かまた別の目的があるのか……、おおよそ気になったものの皆何も言わなかった。

「私は……どっちにしろ第七地区へは行かなくちゃいけないし、神父についていくわ」

 続いて、それを受けてからのナンシーからの返答も早かった。残る双子と、雛木と有沢だが……まず口を開いたのは雛木だった。

「僕は別に使命感だとかでここにいるわけじゃないし? ま〜、勝手にしてよね。ここまで来ちゃったらもう面倒くさいし長いものに巻かれろ、……って感じで意見の多い方に従うから」

 そう話す雛木はやはり、こう、上から目線と言うか傲慢というか……本音から言っているのかどうか分かりにくいがそれだけ言ってぷいっと顔を逸らした。

 が、すぐに意地の悪そうな笑顔をにたーっと口元に浮かべたかと思うと黙ったままの有沢の方を見た。

「有沢くんはさー、当然行くんでしょ。どうもあの子にご執心みたいだからぁ」

 わざと反応が得られるように、そんな言い方をしてみせながら雛木が有沢に呟いた。が、有沢は腕組をしたままで険しい表情のままだ。

「――」

 何か言いかけたように見えたが、有沢は結局何も言わず――そして、歩きだすと創介と同じようにこの場を離れようと言うのだろう。

「あ、ちょっと……」

 ミミューが呼び止めようとするが、有沢がすぐに振り向いた。

「すまない。少しだけ……一人にして欲しい」
「ひ、一人って……そんな、有沢君まで!?」

 こちらの疑問には一切答える事はせず、有沢はその場を後にしてしまった。




みんなぼっちなんだよ。
本質的にはぼっちなんだよ。
孤独だと落ち着くんだよ。
我慢して群れてるだけで
本当は一人が気楽なんだよ。多分。



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