中盤戦


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09-7.スイート・デス計画



 その現場はひどい有様だった――ゾンビに食い散らかされたのかと思ったが、そうじゃなかった。明らかに人工的なもので、何か鋭利な刃物で皆すっかり絶命させられていた……。

 傷跡の具合などから見て、明らかに手慣れた者による犯行なのは明らかなようだ。鮮やかすぎるくらいの手前で、全滅させられている。

<この家で、ゾンビ化を抑制する薬を買ったら只のうがい薬だった!>

 あまりにそんな電話が連続して入るものだから、事態の悪化を危惧した警察署がゾンビ班とはまた別の隊がこのマンションの一室にまで出動させた――のは、良かったのだがその犯人たちは既にこの状態である。死人に口無し、とはまさにこの事か。誰も真相を知る者はこの中には……いや、正確には一人だけいた。

 現場にたった一人無傷で残されていた少年が。ただ一人、だけだった。少年はほとんど痩せていて、後から分かった話では栄養失調を起こしかけていたらしい。

 保護された少年は、与えられたおにぎりとジュースを美味しそうに頬張っていた。

「ガイ、どう思う?」
「……ゾンビの仕業じゃねえよな」
「そりゃ勿論だが、人間のやる事にしたってあまりにも――こいつらが、その怪しげな薬を売りまわっていたのは事実みたいだが何と言うか」

 そこまでを平然と話していた同僚であったが、やはりこの強烈な程の血臭と生肉のような匂いに胸を悪くしたらしい。突然、えづき出したかと思うとゲロ袋をもらうより早くその場に吐き出した。この事態のせいでほとんど物を口にしていないせいだからか、透明な胃液だけしか出てこなかったみたいだ。

「……なあ、僕」

 外に置いておくのは危険だからと、少々酷な気もしたが現場に残っている少年に、ガイが話しかける。

「思い出すのは怖いかもしれないが、一体何が起こったのか……少しでも話せないかな」

 おずおずと切りだすガイの意志とは反対に、少年はあっけらかんとした様子で言った。

「うん。ヒーローがね、ぼくのママとパパが悪い事をしたから、やっつけにきたの」
「……ヒーローが」

 少年がもう一度「うん」と頷いた。

「僕の事助けてくれたんだよ。だって僕、あとちょっとでパパに殺されるところだったから!」
「――え?」
「でも、僕、ママは好き。最近は作ってくれなかったけど、ママは料理がすごく上手だったから。ママの作るカレーライスは学校のカレーより美味しい。ママは魔法使いみたい」

 どこか事態を理解しないような口ぶりで、無邪気に話す少年にやり場の無い悲しみを感じながらも――その思いとは別に、ガイは思う事があった。

――ヒーロー……

 まず引っかかるのはその部分だった。ガイが何気なく見つめた壁に貼られていたのは、『まま だいすき』と子どもの字で添えられた、母親の顔と思われる落書きであった。ガイは無意識のうちにそのクレヨンで描かれたイラストに手を伸ばし、そして血の付いたそれを掴んだ。

「また、アイツの仕業かもしれないな」

 それから知らず知らず、ガイは口に出してしまっていたらしい。

「え?」
「ヒーローと称して、暴れ回っていた男がいただろう。黒スーツの、あの怪しい野郎だ」
「ああ……」
「あいつがまた活動を始めたのかもしれない」

 ガイが忌々しそうに、吐き捨てるかのようにそう言った。手にしていたイラストを思わずグシャリと握りしめてしまう。

――くそっ、お前の好きなんかさせてたまるか……!

 母親を亡くした事を、この子はきっとよく分かっていないのだ。無邪気そのものといった様子でおにぎりを齧る少年を見つめながら、ガイは拳を握りしめた。それから、こみあげてくる感情のあまりに壁を一つ握り拳で殴り飛ばした。

 その音にびくついて現場にいた刑事や巡査達が振り返ったが、ガイは既に背を向けてその場を後にしていたのであった。




エヴァのKomm,susserTodが
とてもやばい。
聞いてると何か泣けてくるわぁ。
旧エヴァの映画版は今見てもきっついなw
アスカが……!!
新しい方最近テレビでしてたけど、
噂のQはまだ見てないんだよね。
何か炎上しまくっててどうなってるのって
感じだったけど旧も結構問題作だよね。



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