中盤戦


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03-2.てめーはここじゃ犬なんです



「……それとフジナミ。お前、菓子ばっか食ってねーでちゃんとトレーニングしてんのかよ。またそんな子どもみてーな鞄、幼稚園がけしやがって。どうせ中身お菓子ばっかなんだろ」

 苛立ちを隠しきれないままに、ミツヒロの矛先がフジナミへと向いた。フジナミは至ってマイペースで、依然たい焼きにモシャモシャと呑気に齧りついている。その幸せそうな顔にイラっとしたミツヒロがフジナミの肩からぶら下げた鞄の紐をぐいっと掴んだ。

「だーから! 人の話聞く時はちゃんと聞け、ッつーんだよオラァ!」
「……あい」

 少ししょんぼりとしながらフジナミが一つ返事する。それから何を思ったのかフジナミはそのたい焼きを千切った。しゅんとした表情で、スッと差し出した。

「あげるぅ……」

 それはどこか渋々といった具合に、悲しそうに差し出されていた。しかも中身のほとんど入ってないシッポの方――どこまでおちょくる気だ、とミツヒロがとうとう切れた。

「てッめーはよぉおッ! 人ん事ナメるのいい加減しろ、ボケが! ドタマかちわったろーか!」
「いらないのぉ……?」
「いらねーよ! 特にそんな中身入ってないのはなぁ!」
「じゃあ僕食べるね。……もぐもぐ」

 フジナミは呑気にまた咀嚼を再開した。前々から知ってたけど、何と言う精神力だこいつ……ミツヒロはもう怒鳴るのも面倒になってきた。感心さえしていた。

「ちょっとー、うるさいんだけど何なのぉ?」

 言いながら姿を現したのはリオだった。こんな状況であろうと化粧とオシャレはかかしていないみたいだ。ばっちり気合いの入ったメイクと髪型で、リオはその場に姿を現した。

 いわゆる派手なギャル系の容姿をしたその少女、リオは極めて明朗快活な喋り口調で続けたのだった。

「あら、リオちゃん。おはよう」
「ん、おはよーナオちゃん、修一ちゃん……えっと、ナオちゃんのお友達ぃ?」

 リオが不思議そうな顔をして、リビングに集合するそのおかしな面々を見て問い掛けた。明らかに不審すぎるその団体にも何の動揺も見せない彼女は結構図太い神経の持ち主なのかもしれない。

「と、いうか部下かな。まあ、ちょっと、今回の件でね。悪いけど、また僕しばらく家を留守にするからね。その間兄さんの事助けてあげてくれるかな」
「えー!? ナオちゃんまたいなくなっちゃうの!?」

 リオが驚きを隠せずに近づいて続けざまちょっとヒステリックな感じで怒鳴ったのだった。

「ちょっとぉ! どーしていっつもそんな急にいなくなっちゃうのよ〜、それってナオちゃんの悪い癖だよ!? 昔っから、ほんっと!」
「分かったよリオちゃん、分かった。ちょっと落ち着こう、ね?」
「大体相談しないよね、ナオちゃんって! 何で? 修一ちゃんには話すけどリオには絶対話さないんだよ、そんなにリオって信用ないわけ!?」
「いや、あの、リオちゃん、んーとね。今はそんな場合と違くて経緯は兄さんから……」

 さながら海外ドラマの男女の喧嘩の様子のようで、喚く女性キャラをたしなめるちょっと紳士的な男性キャラ。リオに女子丸出しでキレられてちょっと焦るルーシーの姿は中々珍しいかもしれない。

 その後も何か早口に捲し立てるリオをたしなめるルーシー……で、その様子を少し離れて見ていたミツヒロが呟いた。

「……おい、フジナミ。ルーシーの言った通りほんとに可愛いな。あれだろ? 機械に詳しいとかいう女ってのは」
「知らない〜」

 フジナミは本当に知らないのか首を振って二個目のたい焼きを食べ始めた。

「もー! ナオちゃんってばズルイよ。次からはもうやめてよね、本当にさぁ!」
「オッケー、オッケー。学習しましたよ、次からはちゃんと計画的にしますから」
「あとさ、外にはゾンビだらけなんでしょ? ナオちゃんがいなくて私達どうしたらいいの? ここは孤児院なんだよ、泡だて器やフォークで戦うわけ?」
「……ミツヒロ君、あれを頂戴」

 顔つきは冷静なままだが内心では結構たじたじに違いない。いつもはルーシーの下に敷かれるミツヒロだったが、まさかそんなルーシーも女子相手に劣勢になるだなんて。何だか珍しい光景を見てしまった、ちょっとだけ得をしたような気分になりつつも億尾には出さずにミツヒロはあらかじめ用意してあった大きめのバッグを持ち出した。

 二人の傍にそれをドサリと降ろし、中身を開けてみれば。

「……わぉ!!」

 ジッパーの開かれたその鞄の向こう、ぎっしりと敷き詰められた武器の山。

「嘘、うそっ。これ全部本物??」
「まだあるぜ……」

 言いながらミツヒロは担いでいたデイパックも差し出したのだった。リオは怖がるどころかむしろ札束の山でも見るような目つきでそれを見つめていた。やがて見るだけじゃ満足いかなくなったのか、辛坊たまらんという具合に短機関銃を拾い上げた。

「それはマイクロウージーで……」
「うわ、確かにリオの腕力じゃリコイルを押さえられないかも。フルオートってやっぱ女の筋力じゃ扱うのが難しいのー?」
「…………」

 いいところを見せようとしたミツヒロを遮って流暢な語り口調で言い、リオは真顔でマガジンの入っていない短機関銃をちゃっと構えて見せた。

「うるせーよ」
「まだ何も言ってないよ〜、シシシ」

 残念なミツヒロの隣でフジナミが相変わらず不思議な笑い方をする。ちなみにリオの銃器への知識のほとんどはFPSゲームから得たものであるが、まあともかく。リオの興味は続いて、隅っこで怪しくぼーっと佇む『奴』へと移行する。

「……? ね、ねえあのウサちゃん、何!?」

 リオがルーシーに問いかけると、それまで静かに座っていたストライカーがびくんと肩を震わせた。

――こいつマジで寝てたんじゃねえよな……?

 その様子を見ながらミツヒロが思うが真相は謎のままだ。






ロジャーたんはえっくすめん・ファーストジェネレーションの
チャールズみたいなたれ目丸顔童顔の青年がいいな〜と思う。
役者さんはジェームズマカヴォイさんという方なんですが
役柄で髭生やしてたら超絶似合わねぇええええ!
あ、ナルニアでタムナスさんやってた俳優だよ!
マカヴォイ、最近ちょっと老けた感があるなぁ。
童顔って急激に老け込むんだよな。
彼はXメンの時が一番可愛いは……
何はともあれフューチャー&パスト見ないとな。
エレンペイジたんもおるし。
マカヴォイとファスベンダーとエレンペイジとか
私得すぎる配役ですわ。
こりゃあもう勃起もんですなあ。



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