中盤戦


≫top ≫▼title back

08-2.愛なんてちょーつまんないです



「ねえ、リューちゃん……」

 背中の恋人が、何だか物思いにでも耽るように呟いた。それで、なに、と隆祐が小さな声で返事をする。

「――もし私が噛まれたら容赦なく撃ってね。お願いよ」
「……そんな仮定の話は止そうよ」
「ううん。真剣に、よ。私、絶対に絶対に絶対にあんな風になりたくないの。――お願い、私がもし感染したら躊躇いなく撃って……」

 だから、と言って亜里沙が少しだけ悲しく笑う。だから――拳銃の弾は残しておけ、ということか。……まったくなんて会話をさせるんだ、神様という奴は。

「馬鹿言うなよ」
「……だって」
「そんな事には絶対にさせない。俺が守ってやるから」
「――……」

 シャツの背中がじっとりと滲んだのは汗だけのせいではないだろう。顔をうずめて泣く恋人を何よりも愛おしい、守りたいと感じた。

「少し、休もうか」

 日も暮れかかってきた事だし、一度道の確認もしたい――それに歩きっぱなしで事実疲れていたのもある。

 隆祐は一旦背の恋人を降ろしてやってから、自身もその隣へと腰掛けた。もはや役に立つのかどうかさえ怪しいその地図を広げながら隆祐は片手に懐中電灯を掲げるのだった。

「ねえ、リューちゃん」
「? 何だい、亜里沙」
「これで最後かもしれない、ってワケじゃないけど」

 言いながら亜里沙は膝を抱えるようにしながら、隆祐の頬にそっと手を添えると唇を重ねた。どことなく泥臭い味がしたが、ともかく。

「――亜里沙」
「それと……伝え切れなかった事もたくさんあるから」

 と、どこか悲しく笑い、亜里沙がフッと強張っていた肩を竦めた。

「本当に大好きだったよ、リューちゃん。ううん……今も、これからもずっとずっとね」

 亜里沙の丸い瞳に、透明な涙の膜がじわっと滲んだ。

「……俺だって」

 震える、亜里沙の手を握り締めた。重ねた自分の手も震えているのに気がついて隆祐は力無く笑った。

「愛してるよ、亜里沙。俺の命と引き換えにしても、必ずお前を守るから」

 ああ、なんて甘い台詞だろうか。我ながら陳腐で、さながら安っぽいメロドラマのような台詞だったけど……それでも亜里沙はぐっと頷き、彼にとっては世界一美しいと思えるそんな涙をはらはらと流すのだった――、「うれしい」。

 それから、亜里沙はその手を強く握りしめた。

「リューちゃん、謝らなくちゃいけないことがあるの」
「……? 何だ?」
「――おととい。そう、一昨日のことよ。ちょっと口喧嘩しちゃったじゃない。理由なんてくだらないから忘れちゃったけど」
「ああ……」

 本当につまらない理由で口論になったっけ、電話をしたのに出なかったからああだこうだとか。しかもつい二日前の出来事だって? はるか遠い昔の事のように思えてくるから不思議だった。

「あの時私、リューちゃんなんか嫌いって言ったけど。嘘。嘘だから」
「は、は……何だよ。そんな事」

 涙で潤んだ両目を持ち上げる亜里沙がたまらなく愛しかった。




夏なのでオカルトネタバレして
少しでも怖い思いを消そう!!!

その1:映画にうつりこんでしまった心霊映像として
有名な『サスペリア』の、タクシー運転手の後頭部に
叫ぶ男の顔が浮かび上がるっていうやつ。
よくテレビで放送されているけどあの顔は
アルジェント監督がわざと入れたものであるので
怯える必要は無い。
その上アルジェント本人なので、怖がるだけ
彼の策にはまっているので無駄である。
でもアルちゃんの顔自体が既にホラーだもんな。
暗闇で遭遇したら腰抜かす自信がアルジェンt

その2:怖い絵画としてよくうpされている
美人な女の人のイラスト。
たまに見ると目の錯覚で笑顔に見えるあれ。
世界一怖い絵画とかでぐぐると出てくる。
これは中国のゲームデザイナーのSF作品に出てくる
お姫様のキャラクターで、絵も全然呪いとかはない。
私の中ではジェニファーコネリー若しくは
ロマサガのクローディアっぽいという事で有名になった。

その3:たまに怖い話まとめスレにある
一人だけ違う映像に見えているというやりとりにある
不気味な映像、海外ドラマの企画だったかで
作った特別映像だったから映像自体に害はないはず。
だが、あの違う映像見てた人がナニを見てたのかは
分からなくてあのやりとり自体は不気味だよね。
沙耶の唄思い出したわい。



×
「#寸止め」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -