執心
再会した名前と清弥は向かい合わせに座っており名前は俯いているしか出来ない。
「………おい。」
『はい?』
「お前、小さい犬みたいだな。」
唐突な清弥の言葉に名前は顔を上げて頭を傾げた。
『それはどういう?』
「なんとなく。」
『……左様ですか。』
再び、俯いた名前は自分の右隣から来る視線に気づく。
その先には女の子がじっと彼女を見ていた。
『…ひぇ、どちらさんですか?』
「こらっ、小夜子。邪魔しないの。ごめんなさいね。」
隣のテーブルで1人、食事をしていた小夜子ちゃん。なにやら見ていた。
「本当にごめんなさいね。ほら、ここ。」
「やだ!」
『わぁ!?』
名前の膝にしがみつきはなれない。清弥はただ見ているだけで名前はびくびくしつつも話しかけた。
『?さよこちゃんは何歳ですか?』
「4さい!」
『可愛いですね。』
「え、ありがとう。名字さんは誰とでも敬語なのかしら?」
ボソッと由紀は呟き、清弥は小夜子と名前をみた。
「ちょっと小夜子、ご飯は?」
「もういらない!」
『え、まだいっぱいありますよ?』
テーブルには少し食べた跡の食事があり、小夜子はいらないとだだをこねる。
「いい、いらない!」
「お腹すいても知らないからね。」
怒った由紀はもう知らんとキッチンへ。小夜子は全然、気にしてないが清弥は由紀が気になって仕方ない。
「おい、ガキ、飯くえよ。」
「やだ!」
「あのな〜。」
『まぁまぁ、落ち着きましょうよ。』
清弥と小夜子ちゃんの押し問答の最中、カランと鈴がなりお店に数人の親父達が入ってきた。
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