再会
『なんでもないよ。』
「そう…。」
何か隠した名前に美空は青年から聞き出そうとする。
「ねぇ、隆史さん。何かあったの?」
「駅前でオヤジに絡まれたんだよ。」
「ふ〜ん、なるほどね。まったくちゃんと言ってくれなきゃだめでしょう。」
しょうがないとため息を吐き、恭子ママが飲み物を聞く。合コンの参加者はすでに揃っており、ビールが配られている。
「ビールでいいの?」
『…あのっ、ウーロン茶がいいです。』
「ウーロン茶ねぇ、君さ分かってる?ここ酒を飲むとこだから。」
参加者の1人、新井司(あらいつかさ)がバカにしたように笑う。
「司君、名前ちゃんはお酒飲めないのよ。」
「本当に?試してみようよ。」
『…いえ、いらないですから!!』
自分のビールを飲ませようと司は彼女に差し出すが意外と強い口調で拒否した。
「わぁお、君って大人しいようで気が強いんだ。」
「なら、オヤジの誘いも断れたんじゃないの!?」
『それってどういう意味ですか?』
「別に?」
クスッと笑い、司は身を引き名前はあまり見せた事のない表情を現している。向かい合わせに座る近藤清弥は眉も動かさず黙ったまま名前を見つめる。
「はい、はい。参加者も集まったから始めるわよ。」
見かねた恭子ママが仕切り合コンが始まった。
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