ポニーテール(1/1)
毎朝、走る彼の髪は馬の尻尾みたいに長い。
今日も一緒に走る。
『おっはよ!』
「おはようございます、今日も走るのですか?」
『う、うん…。』
走るようになったのはたまたま家の前を通る彼に一目惚れした事が始まりだった。
『ねぇ、なんで敬語なの?』
「さぁ…?さて、参りましょうか。」
『あっ、待ってー。』
前を走る彼を追いかけて走る。
町内にある神社を目指す。
「それにしてもよく続きますね。」
『えぇ!?』
「だって君、ほとんど家から出ないと言っていたじゃないですか?
まぁ、一緒にいてくれる方がいるっていい事ですね。」
『…そうだね、やっぱり先に走ってくれる人がいるからかな。』
「はい、あなたがそうおっしゃるなら僕も続けます。」
突然、走るのをやめて彼は止まった。
「本当はあの日、走るの辞めるつもりでした…。」
『でした?』
「はい。毎朝この道を通ってあなたに会えるのを楽しみにしてるんで。」
『わ、私もいつも楽しみにしてるよ?』
「あはは、それは良かったです。」
嬉しそうに彼は行きましょうと微笑んで彼が走り出し彼の背中を追った。
その先には髪が誘うようにぴょんぴょん跳ねていた。
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(いつまで続くでしょうね?)
(ん〜?たぶんずっと!)
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