04.領収書(6/6)
「いいえ、見た事はありません。そろそろ、お稽古の時間ですので私はこれで。」
『お稽古ですか?』
「えぇ、私、舞踊の先生をしております。」
たびたび時計を見ている典子に今の帰る前にと父、剛が指紋をとらせてほしいと申し出た。
「すみません、もう時間がないので別の日にして頂けませんか!?」
『分かりました、では明日の午前中はどうでしょか?』
「私も一緒にお伺いします。」
「えぇ、明日ならいつでもいらして下さい。では、失礼します。」
にっこりと笑い、典子はアパートを出ていき父とは別々に行動する事になった。
「じゃこのオルゴールの鑑定よろしくな。」
『うん、お父さんも頑張ってね。』
途中まで一緒に行き、名前は暑へと向かおうと踵をかえすとお相手名前がいる。
「おい、名前。」
『あれ?何してるの?』
「そっちこそ、その格好お前には似合わないぞ。」
似合わないと言われ、彼女はムッとする。
「何だよ、本当の事だろ!?」
『言われなくても分かってる。これから忙しくなるからじゃあね?』
怒った顔で歩きだし、お相手名前は店へと戻る。指紋をとるために、オルゴールを取り出した。そのオルゴールはまたしてもとんでもない事を引き起こす。
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