隠された闇(1/11)
真っ暗の中、愛はとある場所に向かっている。
それなのになかなか進んでくれず焦る。
――早く行かなきゃならないのに!!
漸く明るい場所に出た愛は上から落ちてきた物体に驚く。それは親友の1人、でその姿をそらすことなく目にした。横たわる彼女は目を見開いて愛に言葉をぶつける。
「…せいで…。おま…え…を、ゆる…さない…から…。」
声が出ないのかただ泣き、愛は彼女の言葉を浴びるしか出来なかった。
その後、場面が変わり見覚えのあるところに愛はいる。そこは自宅で、弟の総司が怒った顔をしている。
「姉さんは本当に最低な人だよ。悪い事したあいつを許すなんて…。」
愛は小さな弟に浴びせられた言葉に苦笑するしか出来なかった。
次々と現れる人達、愛はうずくまって耳を塞ぐ、その中で豊の声が聞こえてきた。
――お兄さん?
きょろきょろとするが姿が見えず愛は目を閉じ、再び開けた。
「愛?」
『………ふぇ?』
豊はキョトンとする愛を心配しているようで流れ出た涙を彼女の変わりに拭う。
「大丈夫か?唸っていたから怖い夢でも見てたんだろ。」
『わかんない…。覚えてないから。』
「そうか。」
彼女再び腕の中に収めた豊は時計を見る。針はまだ午前2時をさしていた。
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