一方的な関係(1/8) 

とある日、緊迫感がある空気が流れている中に2人揃って座っている。向かい側には男性の両親が座っていた。
とても緊張している彼女に母親が笑顔で話しかける。



「あらまぁ、あなたが愛ちゃん。良かったわ、ねぇ、お父さん。」


「あぁ、まさか近場にいたとはね!」



「あはは、まぁ…。」


『……………。』



無言で彼を見るのは有栖川愛、彼女は大人しく苦笑いし、恋人の近藤豊は照れている様子。


「そういう事だから。」


愛を連れて豊は自分の部屋へ、彼女は会釈し出て行った。



「母さん、本当に驚いたなぁ。まさか裏のお嬢さんだとは。」


「えぇ、お見合いをと思っていましたけど。その必要もありませでしたね。」


「そうだな、向こうにも挨拶済ませてきただろうし安心した。」


お互いの両親同士、顔見知りのため豊の両親はとても嬉しいようだった。一方の愛の家ではちょっとしたいざこざが起きている。


「父さん、本当にいいのかよ。愛が可哀想だ!」


「なに言ってるのよ、あの子が連れてきたのよ。」


「そうだぞ、俺は彼を気に入った。」



なにも知らないでと兄の光一が怒りを露わにするが両親は耳を傾けてはくれなかった。
まさかこんな事になっているとは愛も思っていない。



「もういい、総司も知らん顔して後悔すんなよ!」


「別に。姉貴が決めたんだ、どうでもいいだろう。」



興味なさすぎの弟が自室へと足を向け、どうでもいいとつぶやいた。

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