恋心の先(2/10)
「とても嬉しそうだな。」
「あっ、荒木さん!?」
「恋するのはお前の勝手だから俺らはいいが、口説くなら仕事以外でしてくれよ(笑)」
店長である荒木文明がニヤリと笑い大輔に葉っぱをかける。たじたじの彼はあははと笑うしかなかった。
「へ〜、意外だな。あーいうの趣味?」
「おいおい、それ言ったら失礼だろ。まぁ、歴代の彼女と比べたらな…。」
「ちょっとひどいわね。あなた達、女は顔じゃないわ。心意気よ。」
心意気という遥は実は愛の事を知っておりあえて言わないでいる。陰ながら見る彼を応援したいからだ。
「心意気ね…。」
「烏丸は彼女のどこが良かったんだ?」
「そうですね…、優しい所ですね。」
「はぁ!?お前、あれ位で好きななった?」
「なによ、それだけじゃないわよね。笑顔、とっても素敵なんだもの。笑顔で接しられてね。」
言ってもないのに心を見透かされた気持ちになり大輔はギョッとする。遥は彼女達の近くのテーブルを重点的に彼に任せた。
「そういえば、花奏はあの企画に参加するのかしら?」
『…企画?』
「そう、脱ぐのかな…と。」
『脱ぎませんよ、需要がありませんし必要もないですから。あっ、菜々緒さんはどうされます?』
今度、男装の企画がまたやるからと愛が資料を見せる。2人の会話を聞き、吹き出しかけた大輔は真っ青な顔でキッチンへ。
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