※捏造
※腐向け
※文スト
※中原と芥川と太宰
芥川には任務に向かう時と、帰還した時必ず行う事がある。それは、恋人である中原との情を交わす事である。それは、密やかに行われており互いの、特に芥川の精神安定に繋がっている様だった。その行為はひっそり秘めやかに太宰がポートマフィアを抜けるまで続いていた。その関係に芥川が慣れてきた頃、それが変化する。路地裏で、中原と抱き合い、唇を重ねている姿を太宰が見たのである。
「駄目じゃないか。人のものに触れては。」
「太宰さん、何か言いましたか?」
「いや、別に。あぁ、そうそう。明日、私は少し遅れて出勤するから伝えておいてくれ給え」
後ろで中島が呼び止めるが太宰は止まらず歩き出した。彼は、私のものだ。欲しいなら許可を得なくては駄目だろう、中也。太宰はそう呟いた。目論見通り彼は中原と別れ、別の道へ歩いている。きっとこれから任務から帰還するのだろう。そっと忍び寄り、腕を掴み路地裏へと連れ込んだ。突然の事に直様異能を発動しようとして出来ないことに真逆という表情で此方を見た芥川は驚いた。
「太宰さ…」
「久しぶり。まぁ、久しぶりって程でもないかな。さて中也と付き合っている様だけれど」
尋問するときの様に声を低くすれば、芥川は肩を揺らす。彼が今感じているのは恐怖。まぁ、無理もないが。教育をしていた頃は彼が感じていたのは殆ど恐怖だったのだ。だが、今日は目的があるのだ。フ、と笑って近くの壁に芥川を押し付けた。
「彼とやっているなら私にも相手してくれ給え」
驚く彼に纏う外套を外し、シャツから手を差し込み背中に舌を這わせて行けば、漸く重大さに気付いた芥川が暴れるが体格で負ける彼がどうにかなる筈がない。ベルトの金具を外す音を立て、岐立を押し付けると、彼は中原さんとしかしたくないですと訴えるのである。見上げた純真培養な心だ。あれだけ黒く染めたのに、事中原に関しては乙女の様な心を持っているらしい。にこりと笑い、そう、と言った瞬間彼の力が緩んだ。それが合図の様に太宰は中へと突き立てた。久方振りの雄を刺激するものに腰を揺らしてを添える。声を出さない様にしているらしいが太宰には逆効果であった。
「そうしていると益々煽られるよね、まぁ、ッ悪くない、けどね!」
「うぁっ!」
どくりと吐き出した芥川の体から離れてそのまま放置して表通りに出た太宰は慣れた手つきで携帯端末を操作し始める。面白く事が動くはずだと口を釣り上げた。
久方振りの知人からの連絡が己の恋人を好き勝手にしている姿であったなら当人はどうするのだろうと中原は考えながら端末の電源を落とした。大方牽制の心算なのだろう。だが、引いてやる心算はない。今も何か言いたそうに開く唇を中原は己のそれで重ね合わせた。初めて与えられた感情の処理に困っている表情だった。
「芥川、好きだ。ずっと俺の側で笑っててくれねぇか」
「僕で、宜しいのですか、」
「お前が、いい」
不安に揺れる芥川の体を抱き締め記憶を上書きし、支え続けた。彼の精神状態は脆い状況にあった。だが、中原は太宰の様子を見ようと行動を起こさず気付かない振りをした。だが、ずっと何も言わなかった森からきちんと対処する様にと告げられた事に中原は苦笑した。
「全く、この君の状況に中也が気付かないなんてねぇ」
もう数えるのも飽きた行為に流石の中也も気付くだろうと思ったが、その素振りはない。真逆ずっと芥川が君の、君だけの体の関係だと?滑稽すぎて笑ってしまう。体の一部の様に覚えたのだろう其処に怒張を押し込んでやると悲鳴が上がった。腰をグッと動かそうとした時、扉が乱暴に開かれ頬に衝撃を感じ、どさりと倒れると其処には中原が芥川を抱えていた。太宰を見下ろす中原の目は暗く、冷たい。ぽかんとする太宰をそのままに、中原は芥川の唇を塞ぎ、愛を囁いていく。恐怖心ばかりで青ざめていた表情が中原によって嬉しそうな表情を重ねていくのに酷く苛々とした。
「あ、ッ、アァッ!」
高く鳴いた芥川はそのまま気を失った。今までに見た事のない姿だった。
「全部、知ってたんだろう中也」
気絶した芥川を抱えてその場を去ろうとする中原に太宰は呼び掛けた。中原はさぁなと答えただけだった。
太宰には知らないと答えたが、中原は全て知っていた。太宰が幹部だった頃から彼に向ける感情は好意だったが、敢えて太宰の相棒として接していた。心の抜けた彼には処理出来ないと思ったからだ。太宰が抜ける頃に少しずつ、近づいて心を与え色々なことを教えてきた。好物の無花果に笑った時、お前の笑顔が好きだと告げた時に見せた芥川の笑顔が中原は嬉しかった。それから互いの距離を縮めて好い関係になった。其れを快く思っていない太宰にも気付いたが芥川が壊れない様にずっと愛を囁き続けてきたのである。
翌日、中原と芥川は森に呼ばれていた。仕事の話だろうかと考える2人に彼はにっこり笑って休みを言い渡したのである。
「いやね、ギルドの彼等の動きが活発化した事からそろそろ君達にも動いて貰う事があると思うんだよねぇ。だから体を休めて備えて貰おうと思ってね」
どうだい、と言う森に2人は顔を見合わせ頭を下げたのである。2人を見送った森は笑って万年筆を掌の中でくるりと回した。
ずっと笑っていて
end
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