※シンドバッドとジュダル
※一応煌帝国とシンドリアが協定を結んで平和な状態(捏造)
※リクエスト
ここはシンドリア王国。緑や海の豊かな自然の宝が見る者に幸福な気分を与える国で、民は皆親切に接してくれる。旅人さえもが家族のように、接してくれる事から何度も訪れる客人もいる。そんな国に今、別の国から珍客が訪れていた。
「いつも、あのソバカスとシンドバッド仕事ばっかでつまんねー」
そう愚痴をいうのは、今や協定を結んでいる同盟国の一つ、煌帝国のマギであるジュダルである。今は、煌帝国も平和なもので本を読む事が好きだという紅炎は仕事が山積みでやる気がなさそうな弟とのんびり審議をしているのだろう。そんな辛気臭い場所にジュダルの役目はない、とばかりに飛び出して恋人であるシンドバッドの国へやってきた。宮殿を覗くと目当ての人間はいた。だが、彼も仕事中で机に座って黙々と手を動かしている。
「終わるまで、寝てるか…」
手頃な木に自分の体を預けると目を閉じて眠りに落ちる。ここの国は日差しが強いがこうして寝ると自分の国よりすっかり眠り込んでしまう。不思議な国だ。それはシンドバッドがこの国を愛しているからかもしれない。
「…ではモルジアナ殿、お手合わせ感謝いたします」
「いえ。私などでよければ。…あれは…」
近くで互いの鍛錬をしていたモルジアナと煌帝国の特使としてやってきていた白龍。二人は最終的に手合わせをする。それも一区切り、というところで互いで頭を下げているとモルジアナの視界に何かが映り込んだ。それに白龍も気づいておや、と苦笑した。
「ジュダルもいたんですね。」
「そうですね。ここが好きなんでしょう」
白龍は笑って、私は用事があるのでこれで失礼します、と一礼をすると片手に槍を持ち直すとその場をあとにした。それを見送ったモルジアナも師匠であるマスルールの鍛錬の時間があるのに急いで方向を転換した。
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こきこきと凝り固まった肩を回すと大きなゴキ、という音がした。痛い。体の関節が固まっている感じがする。監視している政務官の目がいつもより厳しいのは最近外交だなんだと机上の仕事が溜まりに溜まったからだろう。とりあえずしばらくの分は終了したので今日のところは終了しましょう、という声にシンドバッドは思い切り体を伸ばしたのだ。
今日の飯はなんだろうか、と考えているとコンコンとノックをする音がする。恐らく白龍だろう。彼の義手は木で出来ていて、誰よりも音が響くのだ。
「どうぞ。」
「すみません、お仕事中に」
「いえ、構いませんよ。今日のところは終了していますから。では私は失礼します。シン、ちゃんと明日もやらないとまたこうなりますからね」
「わ、わかってるさ」
バタン、という音と共に扉が閉まると白龍は組んでいた腕を下ろして報告がありまして、と前置きをした。
「なんだい、白龍くん」
「庭の片隅の大きな木の下に我が国のマギが寝ております。良かったら起こしていただけませんか?」
にっこりと笑った彼はでは失礼、と部屋を出て行ったのである。シンドバッドは窓を見て笑みを深くして部屋を飛び出した。
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ジュダルは何かに包まれている感覚に目を開けた。夕方になっているのだろうかと目を開けると目の前には恋人であるシンドバッドがいた。ちゅ、ちゅ、とリップ音で身体中にキスを降らせていた。
「お、おい、バカ殿!」
「ああ、起きたのか?ジュダル、久しぶりの感覚を覚えておかないとな」
「な、ん、む、ちょ…!」
周囲のルフがジュダルを取り囲むようにと飛んでいる。これは全てシンドバッドから発せられたルフだ。ルフはその人物の感情を表現する事がある。悲しみや妬みは黒くなるし、喜びや幸せは白くなる。かつてジュダルは黒いルフを糧として動いていた。今は平和になった。それに目の前の恋人のおかげで体内は白いルフを糧として動くようになった。
「大好きだよ、ジュダル。今日はいろんな事を話そう」
その全身で好意を表現する彼と相まって、彼のルフがジュダルの体を包んでジュダルは顔を赤くしたのだった。
愛を体で表現!
(ルフの愛情表現は目も見えない位に発生する)
END
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