※前作の話を大体引き継いでいます
※ジョージとロン
「…気持ちは分かるけど、その人前でデレデレしてるのはどうかと思うよ、ジョージ…」
久し振りに顔を見せに行った先、英雄と呼ばれている魔法使いであるハリーとその妻ジニーは目の前の光景に困惑顔になった。妻の兄の1人であるジョージは、もう1人の兄のロンにべったりとしていて嬉しそうにしている。対してロンは少し困っているものの、振り払う素振りを見せない。学生時代であるなら困惑され、迷惑がっていたのであるのでそれを思えば珍しい光景である。その様子を見てジニーは手にしたティーカップを口に運ぶ。今日は薔薇の香りのする紅茶だ。
「ロンは、一度気を許した相手には甘いのよ。甘えられるのも好きだから」
「そうそう。ロンは甘えて欲しいんだ。それにずっと我慢しなくて良いなんて!最高さ!」
長年、ロンに対する想いを抱えて生きていたのだというジョージはロンに告げて少々のゴタゴタはあったものの、無事に互いの想いが通じ合うことが出来たとあって想いを体で表現するのを憚らない。
「…まぁ、元気になって良かったよ。一時は消えちゃうんじゃないかって不安だったから…」
それは、ジョージも。ロンもだ。ロンは前科があるので何とも言えない顔をしている。別にあの頃のことを咎めている訳でも何でもない。
「ところでどうしたの、ハリー。いきなりやってくるなんて。別にいつでもいいんだけどさ。言ってくれれば少しはお菓子とかさ」
「ロン、今更だろう?別に今日がいい日かなって思ったんだよ」
唐突にやって来た親友とその妻はにっこり笑った。相変わらず2人はラブラブなのだ。
「2人とも、ローズとフレッドが帰ってくる時にね、2人を暫く借りたいの。いいかしら」
ぽかんとする2人にハリーが一応、なんだけど。ペチュニアおばさんから手紙で顔を見せろって来たのをどうやら子供が見たらしくて。それを2人が聞いてマグルの世界に興味津々になったんだ、と言う。
「それにいい経験になるだろうから2週間くらい預かりたいんだ」
「…ハリーなら安心出来るし構わないけど大丈夫かい?」
「いいよ。ダドリーは相変わらず結婚相手が見つからないし、こうなったら僕の方の子供も見たくなったんだろう。それに一応関係ある子供だからね。乱暴しないと思うよ」
「まぁ、2人もいい年だし暴れないとは思うけど…頼むぞ」
「うん」
「ジョージとロンは2人きりで過ごせるしいい機会でしょ?」
にっこりと笑った妹の笑顔にジョージとロンは一気に顔を赤くして俯いたのであった。
+++
「ジニーやハリー達はちょっと気を使い過ぎだよね。」
「ああ。だって今までが今までだったんだから。そんなに変わらないだろ」
2人になるのは今に始まった事でもないし今まで何度かあった事だから意識した事はないけれど、ジニーに言われてみると変に互いに意識してしまう。ロンもジョージも動きがぎこちなくなってしまう。
「何をするわけでもなし、今までの稼ぎで2週間位は休めるし、のんびり過ごすか。」
「それもいいね、ジョージ」
ソファでまったりと過ごす1日の中で子供達が戻ってくる2週間の過ごし方をああでもないこうでもないと言っているうちに久しぶりにのんびり過ごす事になった。久しぶりにクィデッチのプ試合を見に行くのもいいし、ネビルや久しぶりにママやパパに会いに行くのもいいかもしれない。2人で笑い合ってこれからの休暇に笑い合って2日目。
「パパの知り合いの取引先の人が伝手のある人で助かったよね〜」
ぴらぴらとさせながら笑うロンの手には2人分のチケットが握られている。久しぶりの実家に訪問するとモリーは苦しい程の抱擁とキスをしてくれたし、アーサーも嬉しそうに迎えてくれた。そして彼は懐から2人分のチケットをくれたのだ。取引先の人から貰ったのだけど、その日は元々モリーとのデートの日だったのだけど、勿体ないと思っていた矢先に2人がやってきたのでアーサーとしては幸いだったらしい。
「そうだな!よし、ロン。試合は明日だ。パパからも車を借りたし今日は早めに寝よう」
「何かやらかす気だろ?僕は関係ないからな」
「ふふ、どうだろうなぁ。おやすみ」
額にちゅうと、可愛らしい音を立ててロンはジョージにキスを落として眠りに落ちた。小さな頃からやっている呪いが今はまるで眠りに落ちる儀式の様になっているのは不思議だった。
翌朝、久しぶりの実家でロンはモーリーの金切り声を耳にして目を覚ました。よくホグワーツにいた頃に家で聞いていた声だ。その頃はまだフレッドだっていた。だから当時は、ああまた双子のどちらかがやらかしたのかと苦笑している位だったのだけど、今はあの双子もいないのだから犯人などジョージしかいない。一体何をしたんだろうかと、のそりと起き上がろうとしているとジョージが飛び込んで来た。悪戯をしでかしたという顔だ。
「一体、何をしでかしたのさ。ママの金切り声が僕の部屋まで聞こえてくるなんて」
「んー、そうだなぁ、ママの育ててる野菜畑の一部の野菜を変梃な動物に変えてみたり、キャンディーをおたまじゃくしみたいにはねとばしてみたけど。」
「そんなの、怒るに決まってるじゃないか」
「息子っぽい事してみたんだ。ママは息子が離れて行くのは寂しいんだって言ってたしね」
をあげて笑う。そして、何かに気づいた様にじっとロンを見る。その視線を追いかけて、気づくのは自分の下半身だった。男の生理現象とは言え、同性の一応恋人にあたる相手に見られるのは何だか恥ずかしい気分になる。
「あー、僕はママの料理食べてないし、早めに支度しないとだろ?先に下りるよ」
ベッドから下りて支度をしようとすると、ぐいと再びベッドに戻る様に押し戻される。じろりと押して来た相手であるジョージを見るとその青い瞳には常にはない、熱が籠っているのにロンは気づいてたじろいだ。いつもの、あの店と自宅を兼ねて居る場所なら問題はないかもしれない。だけど、此処は、ロンとジョージ以外にも人が暮らしてる。2人を生んで育ててくれた両親だ。小さな家でそんな事をしているなら筒抜けになってしまう。
「恋人の熱を治めてあげようと思ってね」
「やめろ!ここ何処だか分かってるのか!ママもパパも下にいるんだぞ」
「ああ、分かってる。けどママはきっと飛び跳ねてるキャンディを捕まえるのに必死だろうし、パパは畑で変わった形になった野菜を元に戻すのに必死だろうから30分位は気づかれないけど」
驚いているとジョージはそのまま腰を下ろしてロンの下肢に手を伸ばした。其処は微かに熱を帯びている。するりと、外に出すと外気に触れてぶるりと震えるそれを、彼は躊躇なく口に咥えた。生暖かい空気と、舌による刺激にロンは首を反らして反応してしまう。
「あ、」
「無理しないでいいからさ。」
水音が耳を刺激して苦しい、息が詰まる。熱が体を支配するみたいだ。頭が真っ白になってきづいたらジョージの口の中にそれを吐き出していた。
「ごめ、」
「いいよ、つづきはもう少ししたらな?」
ぴらりとしたチケットを見せたジョージにロンが赤くなってこくりと頷いたのであった。
+++
2週間後、2人の子供はいつにも増して仲の良い親同士の姿を見てこっそり笑い合うのであった。
少しのハッピータイム
END
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