※腐HQ
※×よりは+
※田中が愛されてればいいとか思ってる
※設定よく分かってない
※黒尾と山本が若干出来てる
※西谷視点
体育館が突然の雨漏りで1種間程使えなくなった。バレーボールの変人トリオはまるでこの世の終わりの様な表情をし、トボトボと帰って行くが結局坂上商店でやけ食いする方向にシフトしたらしい。競って走り去る姿を最年長である澤村や菅原は元気だなと見送り各々引き上げた。体育館が使えないのは仕方が無いが明日以降の予定をこれから3年で考える事にするのだと女子バレのメンバーと会議すると引き上げて行く。2年の田中、西谷はどうしようかと考える。とそこで田中ふと財布を取り出した。それを西谷は見つめる。財布を取り出してどうするのだというのだという表情はにっかりと笑った彼が取り出したとあるチケットですぐに分かった。ここから遠くない場所にある市営体育館の割引券だ。何かの折に彼が貰っていたのだろう。見れば有効期限が近い。2人で、其処で自主練でもしようではないかと2人でその場所へと足を向けたのである。
「しっかし龍、よくお前そんなに体育館のチケットなんてあったな」
「おうよ!ほら、前に試合した時にいる音駒の山本猛虎と仲良くなってよ、よく利用してるんだよ」
お互いに順番で出し合っているのだという彼らだがそのチケットも半分しているのだというから西谷は驚きながらも本当にこの男は気を許すとすぐに許してしまう男であり人情に厚いなと再認識するのだ。
「チケットの分だと1時間位はペース使えるだろ?一緒に練習しようぜ!」
俺、成功率あんま高くねーし、レシーブ。という田中はやはり向上心のある仲間だ。この仲間と一緒になれて最高にいいのだと思う。到着した市営体育館のカウンターで受付の女性にチケットを見せるとぴ、とチケットにあるバーコードをあてている。そして画面にそのバーコードが表示される。
「ではお客様は第3コートをご利用下さい」
其処に向かいながら2人でどうでもいい話をしていく。コートには太い枠が囲まれている。それが3と書かれた札が立っている。そそくさと支度をして用意を始めていると其処からどん、と何かが飛んでくるのを感じて西谷は条件反射で拾えばそれは、バレーのボールであった。なんだ、と見ているとそれを打ったのは田中ではない。田中の腕にはまだボールがある。では、このボールは。
「すみません!って烏野の!」
走り寄って来たのは、赤いジャージがまぶしい音駒の、山本と黒尾である。どうやらそちらは体育館の整備でこの一週間使えていなかったらしい。隣のコートだったのに気づかなかったなと、田中が答えている。
「何、烏野は此処に?」
「突然の雨漏りで…。で、山本と使ってもらったこれを思い出したんス!」
「山本も今日それを使ってるんだけど…お前らホント似てるねぇ」
黒尾がにやりとする。どうせなら皆でやろうという話になるのは時間がかからなくて、隣のコートを一緒に使って少なめの人数でのゲームを始めようかとした時だ。声がした。
「あ!田中君!」
呼ばれた田中はぽかんとしてそしてぎろりと顔を険しくさせる。声の主はなるほど彼が嫌いな優男である及川だ。横には影山の中学時代の仲間であった2人がいる。その2人はいそいそと用意をしている。
「ー何スか!?」
「ねぇねぇ、何してるの、どうして此処にいるの!」
馴れ馴れしくないかこの男、と西谷が首を傾げていると彼の頭がぐぎという音を立てて曲げられた。この男が居るということは、と思うと其処から機嫌の悪そうな岩泉がいる。
「てめ、何勝手に他所に行ってんだ!お前が自主練習したいから付き合ってるんだろーが、クソ川!」
「痛いよ岩ちゃん!ね、田中くん!また一緒にトス練習しよーよ!ねぇー」
チラリと及川を見ると何かを彷彿とさせる映像と被った。何だろうかと思っているとそれは、隣にいる黒尾の表情だった。彼が山本を見る表情は優しくて暖かい。それは恋をしているような。は、として及川を見るといやいやあり得ない、と否定する。まさか。田中本人はギャーギャーと騒いでいる。
「おい、ノヤ!見てねえで助けろよ!」
「別に良いけど、龍、お前の飲んでるそれくれねぇ?喉渇いて」
世の中には同性を恋愛対象としている恋愛の形があるのを西谷は知識として知っている。けれど西谷自身はそうではない。
「良いぜ!ったく、この間からなんなんですか!何で負けた学校のエース様とトス練習する必要なんスか?」
ごくり、とスポーツ飲料を飲み干す。ちらりと及川の目がそれを捉えている。それは、好きな相手のものに触れたという、少し動揺しているもの。
「…おいクズ川お前もうちょっと何とかしやがれ」
バシン、と頭を叩かれてうなだれて居るのを見るとあの岩泉に思考はただ漏れらしい。及川とは顔は大変女子が騒ぐようなつくりをしている(腹の立つ事にそれは同性からも認めてしまうほどだ)のだが、どういう訳か。同性、しかも男っぽい龍に恋慕しているなんて。
「ね、ね、またゲームしようよ!音駒の君達も混ぜてさ!」
「良いけど…黒尾さん、どうします?」
「良いぜ。ただし、俺と山本は同じチームでな。」
連携を確かめに来たんだ、としなやかなも笑いを浮かべる。それを聞いてまるで勝ったみたいに喜ぶ及川は学生にしては幼稚な恋愛をしているのだろうか。頬を薄く染める。
「そんじゃ、始めるか。残り時間あと30分てとこだな。」
「わーい!」
「クズ川うるせぇ!」
そうして、始めたミニゲームは中々に面白かった。他の学校の奴らと対戦するのもいいが、チームを組んでやってみるのも面白いと思う。改めて龍のスパイクは強力だというのも認識出来た。そして、及川が色んな意味で危険だというのも認識出来たのでいい日だったかもしれない。
「田中君!」
「うっし!おらぁ!」
ダァン、とホールに響き渡る音に黒尾がやっぱり彼は要注意だねぇと笑いながらそれを拾っていた。田中にトスを上げる及川はなんていうか。本当に高校かと疑う程の恋する男の表情だったのでぽちりと連絡を入れておいた。ちょっとだけ、岩泉という選手の苦労が伺えた。その彼は田中と楽々メアド交換をこなしているのだが彼はそれを出来ずにうじうじしている。
(影山、お前の先輩って意気地なしなのか)
そう問いかけても答えるかつての彼の後輩は此処にはいない。
チームメイトを巡るいくつかの考察
後日、及川の友人である岩泉と一緒にバレーをする姿を見て及川が悔しそうにしているのが目撃されたとかなんとか。
END
←