※紅炎と白龍
※捏造
※色々おかしい
煌帝国には、もう既に悪魔が巣食っていた。そう気付いたのは、今から数年、前。まだ、父上が王では無く、陛下の弟と言われていた頃から。その頃から、父上の陛下を見る目は、ただの兄弟が見る目とは逸脱していた。その頃から、神官達…アルサーメンは挙って父上の所へ足繁く通っては何か話していた。今思えば、彼を救ってあげれたのかもしれない。その頃に、後継者の白雄から紹介されたのが、白龍だった。まだ小さなその身体は戦を知らない無垢な子供のままだった。
「は、はじめまして…れ、練白龍と申します。」
まだ慣れないのだろう敬語をたどたどしい言葉で告げる彼は白く幼く、可愛らしかった。末の子供だからか、酷く泣き虫なのだと、彼は苦笑しながら言う。それでも、彼は白龍は自分と同じく父の子供だから大丈夫だろうとも言った。そして、ちらりと見てもし、この先私がいなくなったら白龍を守ってやって欲しい。何か良からぬものがこの国には蠢いている、と言った。その時はまさかと思ったのだが、それは暫くして現実のものとなった。そう、陛下の息子は火事の中で命を落とした。その彼らに守られた末の弟も顔半分を火傷を負った。
それから、彼が少しずつ泣かなくなった。それ以前に心を閉ざしているかの様だった。それは、唯一の肉親である母の彼女にも。最も、その母が一番神官達との繋がりが深いのであれば、もしかしたら白龍は何かを聞いたのかもしれない。
そして、彼が14になって、陛下がご逝去した時それは最悪の形になった。陛下の妻である彼女が陛下となったのである。人が心を闇に染まらせるのは、決まって神官達がいる時だ。このままでは白龍は、神官達に遅かれ早かれ操り人形になるだろう。
「兄王、どうされたのですか溜息などついて。」
「あぁ、白龍が気がかりでな」
「…白龍は、あれは何か変わりましたからね。姉の言葉も何の弊害にならない」
「そうだな…少し、話をしてくる」
「大丈夫ですか?いくら弟とは言え…」
「あぁ。」
紅覇と分かれ、向うのは別棟になった白龍の一室だ。戸に手を掛けて、何か違う雰囲気を感じた。客人がいるのか複数の気配があった。時間帯が悪かったのかと、立ち去ろうとした時部屋から何かが倒れる音が連続して聞こえて来たのに悪いとは思いつつ扉を開けた。其処には、机の上に押し付けられた白龍と、見知った神官がいた。
「何をしている」
「オイオイ、野暮な事聞くなよ、紅炎。言う事聞かねぇからお仕置きだよ」
「やっ、離せ…」
「本当に、生意気。何ならここらにある魔力使ってお前を燃やしてやろうか?そうしたら、白瑛に目的が移るだけだけどなぁ?」
「ジュダル…神官にしては行き過ぎだ。」
「……ちっ。興が逸れた。じゃあな、白龍」
そう言うと彼はドンと白龍を机に押し付けて部屋を出て行った。にやりと笑うジュダルは黒ルフが溢れてるぜ、紅炎と囁いていた。醜い感情が溢れているのかもしれない。近寄ると、彼は顔に傷を負っていた。
「私の部屋に来い。話がある。」
「…は、しかし…」
「散らかっていては、寝れないだろう。かと言って部下に頼むには少し時間が時間だろう。」
「別に此れくらいでしたら俺は構いません。自分で片付けられますので」
そう言うと彼は何処からか布を持って来て砕け散った花瓶だろう破片を布の上に置いていく。それが数分もしない内に、綺麗に纏められ部屋はもとの姿に戻っていた。実際見る迄は俄かには信じ難いものだったが、1人で何でも出来る様になっていたのだった。齢14の男が一人で何でも出来る様になるのはどんな過去があったのだろう。そんな、弟の様な彼を守らなければならない。
「それでも、顔の傷も手当をせなばなるまい。俺の部屋へ行くぞ」
「…は」
念を押せば、これ以上は話をしても無理だと諦めたらしい白龍は大人しく従った。羽織り物を肩に掛けて歩けば文官達が何事かと振り返る。しかし、側に歩く人間を見て皆が何かを言う事は無かった。
「…悪いが今日の夜伽は無しだ。出払って貰いたい」
「つれない御方。」
部屋にいた夜伽の女官へ退室を命じてそっと、部屋の扉を閉めて椅子へ座らせる。そして包帯と塗り薬を持ち、彼の前に座る。肌理の細やかな肌だ。パチリと、包帯を巻き終わると彼は有難うございましたと一礼する。
「あぁ、待て。少し付き合ってくれないか。」
そのまま去ろうとした白龍を引き止めて、寝所にある酒の晩酌を頼む。すると、彼は少し戸惑いながらも頷いてくれた。普段は姉の白瑛同様話す機会が余り無い。酒の席でもそれは同じだ。
「少しばかり、白龍と話がしたかったのだ。お前はシンドリアへ留学して何を学んだのか、聞きたい」
「…シンドリアへ、行って俺は初めて友と言える仲間が出来ました。けれど、俺はやはり…あの女の操り人形でしかないのかもしれない」
「皇帝の事、か」
「そうです。でもこのままでは、俺は兄上や父上の…無念が晴らせない」
「…マギたる神官に何か言われたのか?」
「力を試されて、今度は姉上を殺すと…俺はザガンを得ていますが完全魔装までには程遠い…」
そう泣く彼は苦しい程に美しい血のつながらない弟であり愛しい者だった。気付けば白龍の顎を掴み、唇を重ねていた。まだ何も知らない唇は甘い。チラリと脳裏に彼らの姿が過ぎったが、走り出した感情は止まる事は不可能だった。驚いた唇から、口の中へ入り舌を絡めた。女のそれとは違う。けれども、それだけで下半身に熱を感じた。
「ゃ、あっ…ぅん…」
「お前が愛しいのだ、白龍…」
だからどうか心を闇に閉ざさないでくれと、囁けば赤くなった彼の顔がコクリと頷いた。夜になったからか、彼は義手を外していた。その腕の部分に舌を這わして舐めれば甘い息が掛かり、どくりと腰が疼いた。酒を口に含み、そのまま唇を貪る。まだ酒の飲めない白龍は直ぐに顔を赤くさせる。それは閨で抱く女の様な妖艶さを纏っていた。止まらない。触れた体は酷く熱い。そのままに、まだ恐らく未完成な身体に押し入った。今までに、女を抱かなかったなどと言う嘘は言わない。夜伽として女を充てがわれている。きっとその内の何人かは、もしかしたら将来は母となるかもしれない。その感覚が違うものかと思う程に身体は甘く誘いこんでいた。気付けば、白龍の身体を彼方此方に所有者の証を付けてはぐちゃぐちゃと音がする程に犯していた。
「は、ぁっ」
「は、く…ぐっ」
その夜、寝所から灯りが消える事は追ぞ、無かった。朝の帳が開ける頃漸く二人で眠りに落ちた。そして、朝は数刻しか寝てないにも関わらず彼は気付けば其処には居なかった。それでも予感があった。きっと、彼はまたやって来る。そして、彼を見たら止まれず再び抱き潰してしまう己の欲望にも。けれど、自分は将軍。ずっと、宮殿にいる訳ではない。その間だけでも、彼を守りたかった。彼等が生きていたらきっと、自分は半殺しされていたかもしれない。それでも、彼が愛しく宝物だった。
「紅炎殿、白龍の事を宜しくお願いします。」
そう彼の姉からにっこりと言われて冷や汗をかくのは城を発つ前日のこと。
この手で、お前を
END
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