※5000hit御礼リク
※キセ黄→最終的には黒子一人勝ち+甘々+黒黄
※捏造
※高校に進学してます
いつもの誠凛高校のバスケ部の練習の風景が其処には広がっていた。其処には今は必要不可欠となったキセキの世代の一員である黒子テツヤと帰国子女の火神もそこにはいた。けれど、相田リコの休憩のホイッスルが鳴った時にそれは鳴り響いた。ピリリ、とコール音が響いて部員は誰だよ、マナーにしておけよと叫ぶ。それにすみませんと反応したのは、黒子テツヤその人であった。それに主将やら部員が黒子でもマナーにしないなんてあるんだなぁと暢気なコメントをしていた。すると、顔つきが変わっていそいそと監督の元へ走り何かを話したかと思うと彼は急いで部室へ向かって行ってしまう。いつもは影の薄い人であるのに、と皆が首を傾げていると彼女が部活開始するわよーという声で部活は開始されたのである。勿論部員に影の薄い彼が何処へ向かったかのなんて考える暇など与えられる筈もなかった。その彼が何処へ向かったかと言えば、彼は急ぎ足で彼と相棒の火神とでよく利用するマジバへ向かっていた。メールにはかつて中学時代のマネージャーであり今は青峰の幼馴染である彼女からの連絡が入っていた。【テツ君、これからキセキの皆できーちゃんの初出演のドラマのDVD貰う為にマジバに向かうから間に合ったら来てね!】キセキー。それは外の面では素晴らしい選手達の事を総称しているものであるのだがー彼らは末っ子のキセキに滅法甘かった。
「このままでは、黄瀬君と話せないままになりかねませんからね…マネージャーである桃井さんに感謝です」
信号が青になるだろう瞬間、とんと肩を叩かれて振り返る瞬間、少し甘い匂いがして黒子が振り返ると其処には海常の制服を着ている黄瀬が立っていた。目を大きくして驚いている。「あれ、どうして此処にいるんスか、黒子っちは部活じゃないんスか」と尋ねて来る彼に君の初出演のドラマのDVDの話を小耳に挟んだんですよと言えば嬉しそうにはにかむ。
「黒子っちぃぃぃぃ!何かいつもより優しくないスか、どうしたんスか?」
「…たまにはこういうのもいいかなと思いまして」
「うわぁあ…ねね、じゃあマジバで話もしたいッス」
いいですよ、と言って黒子は少し何かが視界を過った気がした。そう、何か、中学時代に散々見ていた誰かの頭の色に似た何かがー。気のせいだろうかと思いながら彼と店内に入ってそれは気のせいでは無い事を理解した。カウンターからシェイクを頼んで、黄瀬はバーガーを一つと頼んでくるりと見回したその時に見えてしまったのだ。そして彼はにっこりと笑って「やぁ、久しぶりだね、涼太」なんて言うのだ。
「あ!赤司っちじゃないスか!どうしたんスか?高校は?」
当然、主将だった彼に懐いていない訳ではなかった彼がそれを無視する訳もなく(寧ろ彼はモデルにはあまりない優しく対応するモデルなのだ)まるで犬のように駆け寄るのだ。この主将、赤司がいるという事はきっとー
「黄瀬ちんのドラマの話買いに来たんだもーん」
「あ、紫原っちも!懐かしいッスねぇ」
「うん、俺も懐かしー」
あはは、と笑いながらも紫原の口に付着したタレやらをティッシュで拭う。それは中学時代に見慣れた風景である。このまま行けばあと二人にもきっと何処かしらか情報を得ているのだろうと黒子は彼らに気づかれない様にため息をつく。仲間内でもこれだけは譲れないんです、と呟いた。その時ばたんと大きく扉が開いて其処には緑と青の髪の青年がいた。ああ、やっぱり。
「よぉ、黄瀬ェ!」
「お前はバカか!店内で大声で仮にもモデルの名前を叫ぶバカはお前くらいなのだよ」
幸い、学生の帰宅ラッシュとは時間帯が違っていたので騒がれる事はないものの、店員からも客からも痛い視線をちょうだいする羽目になったのだが。かたんと、奥の席へついて黄瀬を囲む様に座る。にこにこと彼は笑ってまた皆とバスケしたいッスなんて可愛く言っている。本当に末っ子の彼は甘え上手なのだ。
「…何だか涼太を海常にやったのは勿体ない気がしてならないよ…」
「そうだな、お前あの頃より強くなったし…」
あの手この手で話を何とか持って行くキセキの面々の絡む感情にまるで気づかない末っ子の真似っこキセキの世代。本当にモデルなのかと疑わしくなる。向けられる感情には機敏になる筈、なんだけどと思いながらそっとちょっとお手洗い行ってますと一言残して鞄を持ってトイレへ向かう。さて、どうしたものかと考えているとコンコンとノックされて開けると(そもそも用が足したかった訳ではない)心配そうな彼が覗き込んでいた。
「大丈夫ッスか?」
「きせ、くん…」
「具合悪いなら一緒に帰るッスか?…俺引き止めたから?」
「…そうですね、少し気分が…黄瀬くん、悪いですけど頼めますか?」
そう屈んだ黒子に合わせる様に屈んだ彼のブレザーの彼のネクタイを引っ張った。その動きにぐいと引っ張られて近づく彼の唇にそれを重ねた。少し柑橘系の甘い香りがした。
「黄瀬くんと離れたくない気分になってしまいました。…一緒に帰りませんか?」
「黒子っちには敵わないっすよ…」
そう照れた彼にそっとキスをして裏口から出て走り出したのだった。…勿論、後日バレてみんなからメールで文句を言われたのは言うまでもない。
影のシックスマンのやり方
END
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