※5000hit御礼リクエスト
※キセ黄と海黄で黄瀬を取り合い
※捏造
春から夏に移動中の日本、東京、某所。其処にはバスケの世界では恐らく今後その世界を賑わすだろう人物がそろい踏みしていた。立案者である本人は仕事で訪れない。それを聞いて眼鏡をくいとあげながら「あいつは人事を尽くさないからこうなるのだよ」と呟いて、其処に置かれているベンチに座る。
「しっかし、海常の皆と俺らの試合がぶつかるなんてよぉ」
「ふふ、それも悪くないな。あれから会うのは久しぶりだからね。きっと成長しているだろうし」
にこにこと人付き合いの良さそうな笑みを浮かべて言うのは、今やその世界では、知らぬ者はいないだろう、京都の洛陽の赤司が微笑みを浮かべて言う。その横で大きな身体を隠さず、恒例なのだろう菓子をぼりぼりと食べているのは秋田では有名であろう紫原である。ちなみに溢れた菓子を拾って片付けているのは意外におせっかいな緑間である。
「此処に来る奴がいないんじゃどうにも出来ないな、ゆき」
「てめぇ、そのゆき辞めろってんだろ、森山」
「…にしても海常の皆さんも黄瀬くんとこうやってストバスするんですね」
「うぉおっ!?何スかぁ、吃驚したぁ…」
相変わらず、影のシックスマンである黒子の言葉や動きに慣れない面々は驚いている、が海常の上級メンバーの彼らには気になっている様子もない。
「お、メール来たぞ」
何とも言えない空気の中、海常の主将である笠松の携帯が震え、黄瀬の到着をメンバーに知らせる。そもそもこのコートだって、彼が進んで予約したので仕事が割り込んでも来るのは決まった事だ。メンバーがそろそろと支度を始める中、キセキの世代と言われる彼らはそれを眺める。そうこうしている内に黄瀬が到着し、笠松はいつものように時間厳守しろとどつきそれをまぁまぁと諌めるメンバーでいつもの空気が広がる。そして、向かい側のコートにいるだろうキセキに気づかない筈がなく、気づいた彼はそれはもう犬の様に走り回った。森山が犬だなと呟いたのもあながち嘘ではない。
「あー黒子っちに赤司っちまで!どうしたんスかぁ!」
「やぁ、涼太。元気だったかい?」
「俺はいつでも元気ッスよ。赤司っちは元気っすか?あ、この間の京都案内助かったッス!」
「ふふ、良かった。今度はうちにくればいい」
「本当にそういう所は赤司くんらしいですね」
ここで流れるのはかつての様な、中学時代のような懐かしい空気だ。あの時代、自分は一番下っ端で、今は敵の彼らも一緒にいて笑い合って楽しい時間だった。自然と笑みが浮かんでいるとぐいと引っ張られる。其処には森山が苦笑いしている。ああ、そうだ一緒にストバスするのだったと思い出す。「早くしないと時間なくなるんじゃないか?」そう急かされて後ろ髪を引かれそうな感じでまたストバスしたいッスと言って離れようとするとその手を掴んでいるのは、彼の嘗ての教育係だった黒子だった。硝子玉の様な瞳の青年は普段は言わない様な甘い声で黄瀬に言う。ねぇ、今度うちで練習試合しませんか。監督が言ってたんですけど海常さんとのメンバーをまぜこぜにしてチームを作ってやるんです。楽しいと思うんですけどどうですか。そう甘い声に黄瀬が顔を赤くさせる。その後ろでは赤司や青峰が「モデルを赤面させるなんてやっぱりテツヤは凄い」とぼやいているが、完全に二人の世界である二人には(少なくとも顔を赤くしている黄瀬には)聞こえる訳がなかった。
「いい加減にしやがれ、黄瀬!明日の練習量増やすぞ!」
「ひぃ、笠松先輩、それだけは!!」
「…黄瀬、懐かしい面々に会えて楽しいのはわかるんだけど、一応、これも部活動だから」
「黒子っち、其の話はまた今度、ね?」
「黄瀬くん…」
そして強引にも引っ張られて行く黄瀬はキセキの世代の面々に手を振り、そして海常のエースである黄瀬涼太へと切り替わり、コートで走り回る。ダンダンとボールが地面を跳ねる音、走り回る音。それが何度か聞こえているうちに陽はくれかけている。そうしてようやく、終了にするかという声でその音は静まり返った。そして、それを待ってましたとばかりにコートに入り込むボールは見事な放物線を描きゴールする。それを出来るのは秀徳の緑間である。ち、と笠松が舌打ちをした。
「ー黄瀬、前に話していたシュートの話をしていなかったな。今ここで練習するのだよ」
「ちょ、まだミーティングが!」
「ふん、どうせこの馬鹿はそんなものを真面目に聞く人間ではないのは知っているのだ」
「あ、あの」
「だったら余計に聞いてもらわないと駄目だろ!普段きかねぇんだから」
「おやおや、海常の主将は随分涼太を気に入っているようだね」
「もしかして何か変なよこしまな考えもってるんじゃないの〜?」
「…おいおいマジかよ」
「な!」
「もー!皆いい加減にしてくれッスよ!」
それは人だかりが出来るまで延々と続けられたのだった。
だって愛しいあの子だから
END
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