身体から始まる物語とか最初から両思い前提なら
両片思いひゃっほーなので全然平気です。
たぶん、いずれしっかりと書くのです。

ギャップ萌えなので犬で狼でへたれで鬼畜で優しい黄瀬君と
かわいく厳しく淫乱ドS女王けど健気でMっ気もある最強黒子っち。


大好きなあの子がド淫乱なんて展開、別に望んじゃいないっスよ



ラッキースケベという言葉がある。
思いがけずに舞い込んでくるエッチなハプニング。
普通のトラブルならお断りでもエッチとつくなら、悪い気はしない。

(って、言っても)

黄瀬はとりあえず目の前のことがありえるのかと自問する。
これは果たして現実なのだろうか。
都合のいい夢を見ているだけなのではないのか。
黒子の唾液がヘソに垂れたのを感じながら黄瀬は進むべきか引くべきかを決めかねていた。
身体は間違いなくGOサインを出していて、今更とめられるはずもない。
けれど心は急ブレーキを掛けようと必死だ。
これは何かの罠に違いない。
全部終わった後に取り返しのつかないことをしたと頭を抱える羽目になる。
土下座して靴の裏ぐらい舐めるかもしれない。
それで許されるなら黄瀬はプライドでも何でも捨てて命乞いをするかの如く詫びをいれた。

(そもそも、これって、オレが謝るんスか? 悪いの、オレっスか?)

黒子がうっとりとした顔で黄瀬の下半身に顔を寄せている。
今まで練習で汗を流していたのでズボンの中は当然蒸れている。
下着をずり下げようとしている黒子の意思は痛いぐらいに伝わってくるのだが、
なかなか思うようにはいかない。

「汗でくっついちゃってます」
「黒子っち、痛いっスよ」

ズボンごと下着を脱がせようとする黒子の爪に腰辺りの皮膚をえぐられながら黄瀬はまだ迷っていた。
今の状態の興奮から血液はどんどん下半身に集結していく。
生理現象は仕方がないと言い訳をしながら貧血を起こしかける頭に喝を入れる。
こんなところで負けていいはずがない。

「黄瀬君、舐めていいですよね?」
「もちろんっスよ」

歯すら輝かせて爽やかに微笑んで黄瀬は答えた。
黒子がいつもながらの無表情ながら楽しげにハサミを取り出して黄瀬の服を切っていく。
思わず萎えるほどの恐怖。
そのおかげで少し黄瀬は冷静になれた。

(なんで、なんで……こんなことに)

ジョキジョキと音がする下半身あたりに背筋を震わせながら普通だった数十分前を思い出す。



黒子は他の選手に比べて体力がない。
スタミナ不足は一軍レギュラーとして問題あるかもしれないが、
黒子の能力を考えればハンデにもならないと黄瀬は思っていた。
それとなく最後尾をいつも以上に息を乱して走っている黒子を気にかけていた黄瀬は、
倒れた黒子にすぐに駆けつけた。
抱き上げた黒子の体温が高かったので熱中症か、風邪でも引いているのかと慌てて保健室に飛び込んだ。
氷枕を探す黄瀬に黒子は鍵をドアの閉めるように言った。
その時点でおかしかったことに気付くべきなのだ。
黄瀬は苦しそうに息を乱す黒子を前にして冷静ではなかった。
言われるままに鍵を閉めて、望まれるままに背中を撫でた。
抱き上げた時もそうだったが黒子の汗のかき方は普通に走り込みをした時と比べて多すぎる。
何か変なフェロモンでも出ているかのように扇情的で黄瀬は落ち着かなくなった。
逃げないととまらなくなってしまうと立ち上がる黄瀬に黒子が添い寝をして欲しいと言ってきた。
着替えてもいない汗だらけで、ただでさえ息を乱した黒子に不埒な思いに駆られていた黄瀬にとって断れるなら断りたい事態。
こんな風に黒子が黄瀬に頼むことなど天文学的レベルの希少価値が存在したので反射的に頷いた。
保健室のベッドでは狭いから腕枕でもした方がいいのかと考えつつ、
悶々とした気持ちをやり過ごそうとした黄瀬に黒子は圧し掛かってきた。
そして、黄瀬に跨って自分の下半身を曝け出した。
この時に常識的に黄瀬が対応でもすれば良かったのだろうか。
完全に勃起している黒子の性器、その根元にハメられた黒い革のベルト。
先走りをだらだらと流しながら血管を浮き上がらせて震えている黒子の性器はグロテスクな色合いになっている。
耐えに耐えていたのだというのが見てとれて黄瀬はついかわいそうになった。
無意識に黒子が求めていることを察知したのかもしれない。
性器の根本をキツく縛っているベルトを黄瀬は外した。
黒子が歓喜の表情を浮かべて射精した。
見たこともない蕩けた顔。
達する時にも無表情で淡々と、そんなわけがないのだと知ったことが顔面を精液まみれにされたことより黄瀬には重要だった。
息を整えないまま黒子が黄瀬の名前を呼ぶ。
熱い息に紛れた自分の名前が別物に感じで黄瀬は何を言われているのか暫く理解できなかった。

『犯してくれません?』

本当なのか、嘘なのか、罠なのか。
これは何かハメられていて、ドッキリで、本気になった瞬間に黒子から侮蔑や罵倒が叩きつけられたりしないのだろうか。
黄瀬は何も信じられないまま、けれど状況は動き続けた。
黒子が黄瀬の目の前で後ろに入れていたらしいディルドを抜いて見せた。
こんなものを入れて走っていたら苦しいだろうとか、
大きさから考えて頑張って入れられるように慣らしたのかと想像したり、
いつから黒子がそんな趣味に目覚めたのかとか、色々と考えつつ今現在、黄瀬は黒子の口の中の熱さに大部分のことがどうでも良くなった。
わざとなのか唾液をじゅるじゅると啜りながら美味しそうに黒子は黄瀬の性器をしゃぶる。
バニラシェイクを飲んでいる時に妖艶さでもプラスしたなら今のような表情だろう。
自分が黒子の好物と同等なのかと思うと黄瀬は堪らない気持ちになってきた。

「出ます?」
「ヤバいっス、マジ」
「イッていいですよ。口の中に全部出してください」
「うあ、……そ、それは」

さすがにダメだと言う前に黒子がスゴイ勢いで頭を上下に動かした。
気持ちがよすぎて黄瀬はシーツを握りしめて声を殺しながら果てる。
薄目を開けながら見れば黒子の口は離れていない。
どくどくと吐き出されている全て黒子の中に入っている。
どう謝ればいいのかと考えて涙目になっている黄瀬に頬を膨らませた黒子が近づいてくる。
何をする気なのかと考えるまでもなく唇が触れ合った。

(黒子っちとキス、ひゃっほー)

マリオがジャンプしている時のようなテンションが口移しで送り込まれてくる液体に急降下した。
無敵状態から亀の甲羅に触れた瞬間に死ぬような軟弱さに変わった。

「ちゃんと全部飲んでください」

黄瀬を見下ろしながら黒子が自分の唇を舐めた。
時々、バニラシェイクが口についた時にする仕草だ。
いやらしい、いやらしいと思っていたが本当に黒子はいやらしい。
明らかに誘っている。挑発している。
口の中に溜まった液体は元をただせば自分のモノなので黄瀬は眉を寄せながら飲み込んでいく。

「よくできました。黄瀬君は優秀です」
「黒子っち……」

子ども扱いというわけではないだろうが黒子に頭を撫でられて黄瀬は黄瀬は味覚と嗅覚を殺すことにした。
視覚と聴覚と触覚さえあればいい。
黒子を見れて、黒子の声を聴けて、黒子に触れられていれば幸せに違いない。
あとでとんでもない後悔が押し寄せて来たとしても走り出してしまったものをとめようがない。
全ては後の祭りだ。
黄瀬は上半身を起こして口元をぬぐう。黒子と視線を合わせて深呼吸。

「黒子っち、ください!!」
「丁重にお断りします」

即行でのお断りに黄瀬の心は砕けた。

「なんでっスか!! 赤司っちっスか? 青峰っち? もしかして……紫原っちや、緑間っち??」
「何がです?」
「相手っスよ!! 黒子っちの好きな相手っ!!」
「いませんけれど?」
「オレ、オレは? オレのこと好きじゃないんスか??」

泣きながら縋りついてくる黄瀬に黒子は首を傾げる。
黒子が常時うしろに何かを入れていたりするド淫乱だと認めるよりは、
まだ誰か相手がいると考えた方が楽だった。
けれど、そうでないなら、誰とも付き合っていないならどうして黄瀬にこんなことをしたのか。
誰とも付き合っていないからこそ黄瀬を選んだのなら今ここで告白タイムになるはずではないのだろうか。
黒子はただただ不思議そうな顔をしている。
憎からず思ってくれたからこそ、こんなことをしてくれたと黄瀬は思いたかった。

(誰でも良かったんスか?)

これも一つのラッキースケベ。
エッチなトラブルだというのなら黄瀬はどこまでも転がり落ちてしまいたい。
一回いい思いをして幸運に感謝するような善良な人間ではない。
一度あったら二度目も信じる。
二度あるのなら三度目だってあるはずだ。

「ボクが黄瀬君のモノになるのは嫌です」
「なんでっスか!! オレ、頑張るっスよ。絶対黒子っち、飽きさせない! 満足させて見せるっスよ!!」
「言いますね。黄瀬君のその負けん気を買いましょう」
「マジっスか! じゃあ」
「はい、黄瀬君は今日からボクのモノということでいいですね」
「え」

予想外の言葉が聞こえた。
思わず飛びつこうとした身体の勢いが止まる。

「黄瀬君はボクの奴隷とか下僕とかそういう類のモノです」
「え」

喉の奥で「恋人じゃないんスか」と声帯が震える。
小さすぎてきっと黒子には聞こえない。

「あぁ、犬でもいいですね。赤司君が獣姦でもしようかって言ってたんですけど、さすがに抵抗があります」
「なに言ってんスか、ってか、赤司っち??」
「赤司君にムラムラするのを抑えるのはどうしましょうって相談したら、抑える必要ないって」
「なに言っちゃってるんスか!!」
「ボクも年頃なのでエッチなことに興味を持ったりするんですけど、なかなか上手く発散できなくて」
「それにしても過激っスよ」
「付き合ってくれません?」
「付き合うっス!!」

即答する黄瀬に黒子は安心したように抱きついてきた。

(黒子っち、かわいい。マジ天使!!!! うぉー!!)

奴隷や下僕や犬だと言われたことなど黄瀬の頭の中から消滅している。
あるいはそんな扱いをされても気にしないのだ。

(黒子っち、好き好き大好き)

犬の尻尾でもあったのなら盛大に左右に振られていただろう。

「ボクばかりが黄瀬君を虐げるのは忍びないので、一週間ごとぐらいにご主人様と奴隷を交換しましょう」
「交換っスか?」
「黄瀬君がご主人様の時はボクは何でもどんな事でもしてあげます」
「まま、まま、ま」
「お母さんになるのは難しい気がします。黄瀬君、マザコンでしたか」
「まま、マジっスか?」
「……そうですね、新妻や人妻や未亡人なら対応できそうです。赤司君に聞いてきます」
「い、いいいや!! いいっスよ。聞かないでいいっスよ。それなんか寝取られフラグっスよね」

扉の方を見る黒子を黄瀬は抱き寄せて押さえ込む。
心臓が高鳴り過ぎて眩暈がする。

「黄瀬君がボクが赤司君に抱かれている姿を見て興奮するとかなら……お願いすれば多分、赤司君も渋々ながら協力してくれると思います」
「そんな優しさいらないっスよ!! オレにそんな趣味はないっスよぉぉ」
「そうですか」

あっさりと退く黒子。どこまで冗談か分からない。
本気だからこそ怖いのかもしれない。

「申し訳ないですが男なもので、母乳プレイは厳しいかと思います。現実の壁として」
「頼んでないっスよ!! オレのことなんだと思ってるんスか!!!」
「黄瀬君?」
「はいっ! 黒子っち、黒子っち」

ぎゅっと抱きついて身体中に匂いを擦りつけるように黄瀬は動く。

「黄瀬君、止まってください」

胸元を軽く叩かれて黄瀬は身体を固くする。
調子に乗ったのだろうか。
全部が都合のいい妄想で黒子からの魅惑的なお誘いなど嘘だったのか。

「今日から一週間ボクが黄瀬君の飼い主、ご主人様でいいですね?」
「あ、はいっス!!」
「じゃあ、これから一週間ボクにエッチなことをしてはいけません。出来ますか?」
「はい? え?」
「出来ないんですか? 駄犬?」
「大丈夫っスよ。出来るっスよ!!」
「でもボクの気が変わったら――」
「え」
「なんでもないです。じゃあ、そういうことです。お互いちょっと身支度を整えてから時間をずらして戻りましょう」

よく分からない内にこうして黄瀬は黒子のモノになった。


2012/09/03
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