不幸と幸福は数珠繋ぎ | ナノ
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「この時期になると、結婚式のことを思い出すわ」


母に手を引かれながら今夜のご馳走の買い物に来ている。
息を吐けば白くなるくらいに寒いのに、街には飾られた大きなツリーやサンタクロースがあって、歩いている人達も写真を撮ったりと楽しそう。


「私の生まれた国でね、結婚式をあげたのよ」


そうしてまだそう何年も生きてはいない私だけど、母のこの話はこの時期になると毎年聞かされている。
窓から青い海が見える、白い教会の話を。


「ナマエにも、いつかあの教会で結婚式をあげてほしい。…お母さんは、リヴァイ君っていいと思うな」


すると母がリヴァイの話をした。
その言葉に私も頷くけれど、キラキラ輝いている街並みを眺めている母は気づかなかったようで構わず話し続ける。


「目つきはちょっとキツいけど、かっこいいし、何よりナマエのことをとても好いてくれているでしょう?ナマエはリヴァイ君のどこが嫌で、一緒にいてあげないの?」
「イヤじゃないよ。ただ……」


「リヴァイ、死なないで…!!」


「死んじゃうから…」


たとえリヴァイが現世でどれくらい強くなろうとも、私はリヴァイのそばにはいない。
人類最強、リヴァイが誰よりも強いことは、私の不幸を追い払ってくれることからも実感してた。
だけどそれでも、リヴァイは死んでしまった。

だからもう、誰のそばにもいない。


「まだそんなことを言っているの?ひょろっとしてるけどお父さんも一応大人なのに、リヴァイ君はもう腕相撲で勝ったんだよ?いくら相手がお父さんといえ、普通は小学生が出来ることじゃないよ!」
「お母さん、それお父さんには言わない方がいいよ」






「お誕生日おめでとう、リヴァイ」


そうして家に返ってきて荷物を片付けた後、私は母と一緒に隣のエルヴィンの部屋へとやってきてリヴァイにプレゼントを渡した。


「……俺にか」
「そうだよ。生まれてきてくれて、ありがとう。リヴァイ」


たとえ一度でも、また私の前に現れてくれて…出会ってくれて、ありがとう。


すると抱きしめられて、思わず体が硬直する。
こんな玄関先だけでは大きな不幸が起きないことは分かってるけど。


「嫌われてると、思ってた」
「嫌ってないよ!大好きだよ!…大好きだからこそ、離れーーぐっ、リヴァイ、苦しい」


背中に回された手の力が増したことで内臓が悲鳴を上げている。


「あらあらナマエ、そうだったのね!ごめんねリヴァイ君、ナマエったら照れてたみたいで」
「いい。何も問題はねえ」
「いや、問題はあるんだよ!」


私はリヴァイを押し返すとその横を駆け抜けてエルヴィンの後ろに隠れる。
今ここで不幸が起きないとしても、塵も積もれば山となる!
関わらないにこしたことはない。



するとリヴァイが私を呼んだので、エルヴィンのズボンを握りながらリヴァイを見る。


「お前は俺とエルヴィンのどっちが好きだ」
「それならエルヴィンも好きだけど、リヴァイの方が好き」
「…ああ」
「よかったなリヴァイ」
「だけどエルヴィンの方が一緒にいたい」
「…………」
「リヴァイ、私の医学書を読むのはいいが、学んだ急所への攻撃を私にするのはやめろ」




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