拍手文 | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
結局、幽霊屋敷の真相、原因は、古びたからくりによるものだった。
その何体かいたからくり達は、リクとソラが入った左の道から通じる一番奥の部屋にいたらしい。
二人が部屋に入ると攻撃してきたので応戦すると、たったの一撃で破裂し土に戻ってしまったという。

そのからくりは結局なんだったのか、確かめる術は無くなってしまい二人は恐縮していたが、サスケが「村人の欲しかった屋敷はそのままに、害を取り除いたから問題はない」と結論を出し、今回の任務は幕を閉じた。

けれど二人が応戦しながらも確認したところ、チャクラ糸でからくりを操る術者はいないし、内蔵されているエネルギーもなく、部屋にもからくりを操れるような仕掛けは特に無かったという。

からくりはなんだったのか、そしてどうして動くことが出来たのか。
それらの疑問により、結局は背筋が凍る思いをする任務となったのであった。


「やっぱり木の葉はあったかいなぁ」


とまあ、ホラーな展開はここまでにしてーー無事怪我もなく木の葉へと戻ってきた私達小隊。
夕暮れの下、幽霊屋敷の薄暗いジメジメとした空気との違いを深呼吸することで再確認し言うと、サスケも笑みを浮かべながら賛同してくれる。


「それで、この後なんですけどぉ…サスケさん、打ち上げしません?」


ドクン、重たい痛みがまた胸に走る。
そうだ、私は病院に行こうと決意した。


ハァ…それにしてもやっぱり日々の妄想、想像は健康な体から、だよ。
昔ならソラがサスケを誘うのを見て、うふふあははとほんわかしながら真っ先に報告書をまとめる役を買って出るのに。


「それじゃあサスケ、報告書は私が書くよ」


今回はこの胸の痛み、それに、まるで言いたくないというように重く固まった口を開くことに時間がかかって、きっと昔よりも三秒は遅れた。
まあ、別に昔の自分とタイムを競うわけじゃないけれど。


それにしても、さっきは筋肉弛緩が起きたのに今度は重く固まるなんて…嗚呼、この症状はいったいなんなんだ、おそろしい。


「いや、俺もやる」


するとサスケが私にそう言って、ムッと口を尖らせるソラを視界の端で見ながら、思わずぴくりと肩を揺らした。


流石サスケ…相変わらずフラグメーカーと同時にフラグ破壊者でもある。


「一人で出来るよ、サスケ」
「小隊の隊長は俺だ。俺にその役目がある」
「それは、そうだけれど…」


今回は、サスケのフラグ云々関係なしにーーサスケから、離れたい。
さっき幽霊屋敷でサスケに手を引かれてからどうにも症状が悪化しているし、だからなのかサスケと顔を合わせられないというか、端的に言うと逃げたい。
けれどだからといって苦手意識を抱いてしまったのかといえば、そうじゃない。
もちろん、隊長であるサスケの負担を減らしたいという気持ちも、報告書の役目を請け負った中にはある。


「それじゃあ、僕がお手伝いしますよ」


するとリクが口を開いた。


「この任務は人材育成の為のもの。任務には、締めである報告書だって含まれてますからね」


にこりと笑うリクに、私は水を得た魚のようにその言葉に乗っかる。


「本当に?ありがとう!それじゃあサスケ、人材育成の為とはいえ流石に報告書に二人もいらないしーーサッ、サスケは今日は、ゆっくり、休んで…ください」


けれどそうして言いながらサスケを見れば、眉を寄せ不機嫌そうなサスケに気がついて。
居心地の悪さやその他諸々により結局、私の声は萎んでいった。


サスケ、いったいどれほど報告書を書きたいんだ。
けれど言われてみれば確かに、いつもの二人での任務の時も、役目を買って出ても結局はサスケと二人で作成していた気が…。
ハッ、それとももしかして折るべきフラグを私に阻止されたから怒っているのか?
けれどなあ、ソラはどうみてもサスケが好きだし…あ痛たたた。
と、とりあえず残念だけれど妄想含め色々考えるのは、病院に行ってこの胸の痛みが取れてからにしよう…。


「それじゃあサスケ、ソラ、お疲れさま」
「お疲れさまです」


私に次いでリクも言って。
結局私は、じっと見てくるサスケから目を泳ぎに泳がせ、逃げるように背を向けたのであった。


「ーーさぁてサスケさん、私、いいお店知ってるんですよ」
「パスだ、行きたきゃ一人で行け」
「え、ぇえーっ、どうしてですかぁ?」
「…火影と話すことがある」












「ーーよぉ、火影様。頑張ってるじゃねえか」


軽くノックをすると火影室に入ってきた親友の表情を見て、ナルトは向けた笑顔を固まらせた。


「よ、よおサスケ、ご機嫌いかが」
「最悪だ」
「そ、それまたどうして」


ツカツカとナルトが書類を見ている机の前まで歩いたサスケは、ダンッとその両手を机についた。
ナルトは冷や汗をかきながらも笑顔をなんとか作る。


「サ、サスケェ、かっこいい顔が台無しなくらい、人相悪い笑顔だってばよ」
「誰のせいだと思ってる」
「あー…やっぱり怒ってる?人材育成の為の小隊づくり」
「当たり前だ」


諦めたようにため息をつきながら腕を組んだサスケに、ナルトが頭をかいた。


「悪ぃってばよサスケ、でも最近俺ってばスゲー忙しくて…だから、小隊づくりの方には関わってないってばよ。サスケと名前のところに二人入ったのも、ついさっき知ったとこだし」
「…この取り組みは一度だけか」
「あ、いや…それは多分…違うってばよ」
「任務は俺と名前の二人でこなす。他の奴は必要じゃない」


要は、自分のところに人を入れるのは今回限りで終わりだ、と言っているサスケに、ナルトがダアーッと立ち上がる。




「仕方ねェだろ?サスケも名前も、スゲー優秀な忍だから、小隊作ってる奴らが対象に入れるのも無理ないってばよ」


それに、とナルトが急にニヤニヤとした笑顔になる。


「いくら親友の頼みでも、好きな子と二人きりが良いからなんて理由で…アダッ!」
「ウスラトンカチ!声がデカい…!」


思わずナルトの頭を殴ったサスケはハッとすると咳払いした。


「別に、そういうわけじゃない」


よく言うってばよ。
そうナルトは思ったが、言えばまた睨まれそうなので心の中にとどめておいた。


「任務をこなすスピードも、内容も、俺と名前二人だけの時の方が格段に上だ。これは里にとっても望ましいことだろ?火影様」
「んー、まあそうなんだけどよ?昔カカシ先生に教わったじゃねえか、足手まといだと決めつけるな、仲間を大事にしろって」
「…分かってる。けど…チッ、せめてベタベタくっついてくる女は変えろ」


ナルトはその言葉に苦笑する。


「お前ってば相も変わらずモテモテなんだな。まあ、それは自分の顔に文句言えってばよ」
「…そうだ、あとベタベタくっつく男も変えろ」
「いっ…!サスケお前、ついに男にもくっつかれるように」
「ちげえ!…名前にだ」


目をそらしながら不機嫌そうに言ったサスケに、再びナルトはたまらず笑った。


「サスケ、お前それも嫌な原因の一つなんだろ?あーあ、俺の仲間ってば可愛い奴ばっかだってばよ」
「笑うなナルト…!」



130830