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「ゆっ…」


と思わず声をもらした私を、サスケがチラリと見てからフッと目を細めた。

ーーサスケ、リク、ソラ、そして私の小隊に課せられた任務は、とある町外れにある屋敷の調査というものだった。
詳しい話はその町に着いてから、担当の者が説明してくれるというもので…。

私はてっきり、その屋敷にからくりや罠でも仕掛けられているのか、はたまた山賊や盗賊、或いは抜け忍のアジトにでもなっているのかと考えていた。

けれど担当の年老いた男性が放った言葉はーー


「最近この屋敷は怪奇現象が起こると有名で…幽霊屋敷なんて呼ばれてしまっておるのじゃ」


なんていうもので。
そこで私は冒頭の「ゆっ…」という声をもらしたのであった、めでたしめでたし。
ーーいや、全くと言っていいほどめでたくない。


「フン、くだらない。それで、アンタ達村人の依頼してきた理由はなんだ。俺達に屋敷の調査を頼み、もし害があればそれを取り除けばいいのか?」
「はい、おっしゃるとおりで…なにぶん、幽霊屋敷などと呼ばれているこの屋敷ですが、見た目はこのように大きく立派で…私ども小さな村にとっては財産になりうるかと」
「成る程な…分かった、あとは俺達に任せていろ」


ぺこりと頭を下げると去っていくご老人。
そしてサスケに抱きつくソラ。


「幽霊屋敷だって。サスケさん、私こわぁい」
「くっつくな、暑苦しい」


するとまた胸に起こる不快感。
私はハァとまたため息をつく。


いったい何だって言うんだ、私が何をしたっていうんだ。
…いや、心当たりはありすぎるというか、そりゃあ素敵な皆々様方で色々と物語を楽しんだりはしているけれど。
でもどうしてサスケがいる時だけ?
…ハッ!もしかしてこれは本当に天罰…サスケはフラグメーカーなところもあって他の人よりも多めに想像を膨らませていたかもしれない…だから、かな?
だとしたら、嗚呼神様、私から人生の楽しみを奪おうというのですか。


「リク、屋敷の中を感知しろ。チャクラ反応があるか探れ」
「分かりました!」


サスケの指示に手を合わせ集中するリク。

それを横目で見てから、私も目をつぶり、聴覚へと意識を集中させた。


「チャクラの反応は、ありませんね」


言ったリクの後、私はゆっくりと目を開ける。
するとサスケが私を見たので、頷いた。


「何か音は聞こえる。完全に無人というわけではなさそうだけれど…なんだか変な感じだよ」
サスケも頷いて、
「確かに、何らかの気配は感じる」
「サスケさん、すごぉいっ」


う、うう…また胸が、気持ち悪い。
今日はいつもの、サスケと二人の任務の時と違って胸苦しさが多い…まさか症状、悪化でもしているのかな。


「それで、どう入るんですか?サスケさん。私的には、戦力を均等に分配した方がいいと思うんですけど」
「確かに、この屋敷はアイツら村人達が欲しがる程には広い。四人で回るのは時間の無駄だ」
「それなら二人ずつ、ですね。強さの順でいえばサスケさん、名前さん、俺、ソラの順です。つまり」


するとリクが私の隣に、ソラがサスケの隣に移動…といってもソラは任務が始まる前からずっとサスケの隣にいたけれど。


「名前さんと俺」
「サスケさんと私のペアが、一番望ましい形ですね」


そうにっこりと笑うリクとソラに、私はこの二人息ぴったりだな、なんて思いつつまた起こる不快感に本日何度目かのため息を以下省略。


まあけれど、サスケがいる時にこの症状が起こるのだから、幽霊屋敷だなんて心拍数が上がりそうな場に飛び込む今、私の心臓の負担という面でもこのチーム分けが一番いいんだろう。


「いや」


するとサスケが私に向かって歩いてきたかと思えばそのまま腕を掴み、引き寄せた。


「屋敷にはこれで入る」


その状況はどう見ても、私とサスケ、そしてリクとソラというチーム分けとなっていた。


「え…ぇえーっ!どうしてですかサスケさん、私がリクとペアぁ?」
「ソラ、その言葉そのまま返す。それよりサスケさん、任務に私情をはさむのは無しですよ…!」


えっとソラが声を上げる。
私も首を傾げると、サスケはリクにニヤリと笑った。


「その言葉、そっくりそのままお前に返すぜ」
「…というかまず、戦力が均等じゃないじゃないですか。俺とソラが組んでそのまま2の戦力が出来たとして、だけどサスケさんと名前さんが組めばゆうに10は超えますよ」
「その心配はいらない。今回のコイツの戦力は0だと思え」


私の頭に手を置きながら言ったサスケのその言葉に、リクとソラはまだしも私まで、え、と口を開く。

そんな私を、サスケは愉しそうに口角を上げながら見やる。


「さっきの様子だと、お前の怖いもの嫌いはなおってないみたいだからな」
「う…そ、それはそうなんだけれど…でも任務に好きも嫌いも言ってられないし、私だってちゃんと戦力になれるよう頑張るよ!」

「それに、仮に名前さんの戦力が今回本当に0だとしても俺が守ってあげますよ」
リクがにこりと笑う。

「サスケさん、私も、こわいなぁ」
ソラがスススとサスケに近づく。

「なら、ソラのことはリク、お前が守ってやれ」
それら全てをサスケはバッサリと一蹴した。


行くぞ名前、と言われて、これで本当に良かったものかと戸惑いながらも頷く。

けれどサスケが優秀すぎることは事実であり、このことは周知の事実。
常に任務で最善の結果を残すサスケの判断に、誰も逆らう筈もなく。

私達小隊は隊長の後に続き、かくして幽霊屋敷へと足を踏み入れるのであった。



(幽霊屋敷+症状、私の心臓はもつのだろうか)



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