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「よしっ!ばったもんじゃなかったんだな?」
「言ってる場合かよバァちゃん!カカシ先生と名前が消えちゃったってばよ!」
「うむ、この箱をもう一度調べてみる必要があるな。シズネ!ネジを呼んでこい」
「はっ、はい!綱手様!」


狭い箱の中でお互いに目を丸くしながら見つめ合う私とカカシ先生。
そうして起こった状況を把握して、私は目眩を起こして先生の上に突っ伏した。


「名前もたれかかってきてどうし……も、もしかして本当に作用がかかって…恋愛…?」


なんてことだ…まさか恋愛成就箱が発動してしまうなんて…!
作用はこの狭い箱の中に閉じ込められること…つまり密着だ…!
どうやら外からは私達の姿は見えていないみたい…嗚呼けれどもし私以外の誰か二人が作用をかけられてしまっても、私はその状況を見られなかったってことか…やはり白眼は素晴らしい!
って今はそれどころじゃなかった。
私と作用にかかってしまうなんて、カカシ先生に申しわけなさすぎる…!


はた、と私は止まる。


どうしてシズネさんの時は発動しなかったのに、私とカカシ先生だと発動したんだろう。
ーーハッ!もしかしてこの箱が発動するのは、恋愛感情が全く無い二人が使用した時。
だとすれば発動しなかったのは、少しでもその二人に恋愛感情があるから。
さっき五代目も言っていたように、もしかしたらこの開発者の人も、無理矢理にこうして箱の中に閉じ込めるのは恋愛感情の無い二人にしておいて、恋愛感情を持つ二人には無理矢理はさせずに自覚させる…そのことを意図して作られたもの。


「この恋愛成就箱、とても素晴らしいものですね!」
「えっ。…名前、やっぱり、さ、作用がかかってるのか?」


カカシ先生に申し訳ない気持ちはまだあるけれど、素晴らしい事実を発見した私は体を起こしてーーといっても狭いけれど、カカシ先生を見る。


「だって、身近にあった春に、幸せに、気が付くことが出来たんです」


そうしてにっこり笑った。


それにしてもシズネさん、ガイ先生、カカシ先生、ヤマトさん、オビトさんの誰とも発動しなかったなんて、そんな、サスケみたいなフラグメーカーだったなんて!


するとカカシ先生が私の肩を掴む。


「いいか名前、お前は今作用にかかっている。その気持ちは本物じゃあないと思うよ。…残念だけどね」
「えっ……違うんでしょうか?」


つまり、カカシ先生含めヤマトさんやオビトさんの気持ちはシズネさんに向かっていなくて、シズネさんがフラグメーカーじゃあないということ?
そしてそれを残念がっている…?
ということは認められない愛情、許されない想い…?
それに、好きな相手が色々な人から好意を寄せられていることを望んでいる…?


私はカカシ先生を見てうっとりと目を細めた。


「まだまだカカシ先生には素敵な一面があったんですね」
「えっ、いや名前ちょっと待って、えっ俺どうすればいいのこれ」


普通だったら、自分が想いを寄せている相手が他大勢からも好かれていたら不安を感じると思う。
だけどカカシ先生は相手が素敵だからこそ、他大勢に好かれるのもまた当然、ということなんだろう。
独占欲というものもまたたぎるものはあるけれど、嗚呼この大人の余裕のようなものも素晴らしい!


「ですが、出る手段が見当たらないのは困りましたね」
「え?あ、ああ、そうだね」


私はカカシ先生に断りを入れてから、印を結ぶ。


「ーー響遁 重音の術ーー」


拳に音の波動を纏わせて、箱に繰り出す。
けれどゴムのようなこの箱は音の波を逃がしてしまい、壊れるどころか傷一つ付けられない。


「俺の雷遁だったら流石に壊れるとは思うが、なにせこの狭い箱の中だからね。名前に当たる可能性もゼロじゃあないから、やめておくよ。それに、ネジが来た」


カカシ先生の言葉に、そういえば何やらずっと騒がしかった箱の外を見れば、疲れたような呆れたような表情のネジさんが到着していた。


「とは言っても、ネジには俺達が箱の中に閉じ込められてることを視てもらうだけで、そこからどう出るかは託すしかないけどね」


…もしも長い間出られなかったら…空腹、他にも生理現象など問題は山積みだ。
もちろん五代目を筆頭にみんなが私達をここから出してくれることは信じているけれど…。


(ーー白眼!)「ーー!これは…」


もしも、もしものことがあったら…。


「どうなってんだってばよ?ネジ!」
「カカシ先生と名前の二人が、この箱の中にいる」
「つまり、密着ですね」
「なるほどそういう作用だったのか」
「サイもバァちゃんものんきに言ってる場合じゃねえってばよ!見ろってばよ、特にオビトのひどい顔!」
「本当、うちはの人達って子供ですね」
「でも本当にこの中にカカシ先生と名前が?」


するとサクラが箱に近づいてきて箱に触れるとーー何故だか軽々と箱は傾き、結果私とカカシ先生の位置が逆転する形になった。


「大丈夫か?名前」


心配そうに私を見るカカシ先生のあたたかい眼差し、私は決意を決めた。


「カカシ先生、もしものことがあった時はーー私のことを、食べてください」


言うとカカシ先生は固まった。


やっぱり、いくらカカシ先生でも現実で起こるということはまた違うんだろう。
…もしもこのまま長く出られなかったら、私達は餓死してしまう。
けれどカカシ先生にそれはさせたくない。
だったら食物連鎖、自然の中では常識ともいえる、相手を食べて、生きること…それが必要だ。


「名前待て、落ち着け」
「大丈夫ですカカシ先生、私はもう覚悟を決めています!」
「いや駄目だ名前、そんな簡単に自分をーー」
「簡単じゃありませんよ先生…ーー先生だから、言ってるんです」


カカシ先生の愛読書、イチャイチャシリーズ。
18禁とされる本の内容はそれはもうとてもグロいもの。
けれどイチャイチャという言葉が入ってるということは、たまに聞く、好きな相手を食べたくなる趣向のお話なんかも入ってるはず…シリーズとして何作も出ているし、どれかには…。
私は好きじゃない相手だけれど、それでもカカシ先生には少しでも耐性はついているかなと。


「私は初めてですけれど、カカシ先生は他の人達よりは慣れてそうですから」
「えっ、慣れてるって、名前俺のことそういう風に見えたの?」
「はい、イチャイチャシリーズから推測してそうかなと」
「あれはあくまで本で…って名前、前イチャイチャシリーズはグロいものって言ってたよね?」
「はい」
「つまり食べるって……えっ?」
「えっ?」




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