恋い焦がれた太陽 | ナノ
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――名前・名字、グリフィンドールの中で、というかホグワーツ中で、学年を問わずトップに立つ男。
話によるとこの僕と競う実力の持ち主――と言っても僕は気にしなんかしないし、どうやら向こうもそうらしい。

本当は、彼が群を抜き始めたそのときに考えは、した。
下僕にしようかどうしようか、ってね。

でも彼は大人しく頷くタイプに見えなかった。
なにより邪魔な存在になるかもしれないとさえ、思った。

将来の僕の計画の、敵となるに値する人物だと――。


「おい」


すると前を歩く名前が、僕を振り返らないままに言った。


「なんでお前も着いてきてんだよ、優等生がサボリか?」
「着いていっちゃダメかな」
「――薄気味わりぃ顔をしねぇんなら、どうでもいい」


けれど、そう、――これだ。
名前は僕の裏表というか、偽りに気がついた、…いや、気がついていた。


――いま、最近のこの状態はいわば監視だ。
いままで何の波も立てないでやってこれた僕の笑顔を、見破った人物。
そしてやはり、高い実力。

名前・名字は僕にとって、危険人物以外のなにものでもない。




「――へえ、ホグワーツにもこんな場所があったんだ」


結局、隠し通路の先は外につながっていて、いつかの写真で見たようなアジアふうの庭が、そこには広がっていた。

やわらかい陽射しのなか、名前が地面に寝ころがる。
よく注意して見たら呪文がかかってあって、汚れないようになっていた。


――確か名前は…ニホン生まれだったな…風景でも何でも、アジアの区別はまだよく分からないが――


「この庭を勝手につくったのは名前、君だね。まったく、ホグワーツ内を勝手に改変するなんて」
「…それが素かよ、どっちにしてもムカつくな」
「じゃああの笑顔でずっと居てあげようか」
「それはもっとパスだ」


欠伸をする名前の隣に座る、と、名前の手首のブレスレットが目に入った。
変わった石だろうものは、この庭を縁取っているそれと同じ色柄をしている。


「日本製か、君のそれ」
「…ああ、これか」
「自分で買ったの?」
「……関係ねぇだろ」


そう言うと名前は目を閉じて、静かに息を吐く。


――まったく、無防備だ。
僕のことを毛嫌いしているくせに、取り繕うのをやめれば拒絶はしてこない。
口調は相も変わらずだけど。



「大丈夫さ、名前が優しいってことは、少し話したらすぐに分かるよ」



優しいとかそんなことは、別にどうでもいい。
ただまあ――面白くはある。
負けず嫌いだったり、名前には色んな面がある。

――監視対象である危険人物…プラス、はじめてだよ、こんな玩具…。


嘲笑って、名前を見る。
目を閉じて静かに息をする穏やかな顔が、いつもの悪態をつく顔とは違いすぎて、思わず笑った。





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