恋い焦がれた太陽 | ナノ
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「今日の魔法薬学の実験は、交流をかねて、グリフィンドールはスリザリンと、また逆も然りでペアをつくり、実験を完成させましょう」


目が見えてんのかってくらいの歳だろう爺さんの先生が言った言葉に、グリフィンドールからもスリザリンからも抗議の声が上がって、ブーイングが起こった。
けど気にしねぇで笑ってるこのジジイは、どうやら耳ももう危ねぇらしい。


「おい、スリザリンだってよ。やってらんねぇぜ」
「名前、魔法でよぉ、グリフィンドール内で出来るようにしようぜ」
「くくっ、スリザリンのどいつかのポリジュース薬でも試してみろよ」
「げ!そ、想像しただけでも吐き気がするぜ…」


頬杖をつきながら笑っていた俺は、まさかこんなことになるならポリジュース薬でも何でも作っとけばよかったと思いました、まる


「って、まるじゃねぇんだよ、まるじゃ。おいジジイ、アバダケダブるぞ」


杖を向けながらジジイに言っても、そういや耳ももう危ねぇらしいこのジジイには無駄だった。
女共はキャアキャアとうるせえし、いつものつるんでる奴等は爆笑してやがる。

ため息をついて、杖をおろししまう。
指定の席にドカッと腰を下ろして、また頬杖をついた。


――少しして隣に座った奴には目もくれねぇで、早く実験を終わらせるために、材料や作業工程が記された羊皮紙に軽く目を通してく。


「――名前・名字…だったよね?」


そしたらソイツが俺の名前を呼んだ、から目だけでソイツを見る。
ずっと変わってねぇ、胡散臭い偽物の笑顔があったから胸糞悪くなって舌を打った。


「――…君の噂はよく聞いているよ、この実験だって、きっと直ぐに終わらせ、」
「うるせぇ、黙ってろ」
「…はは、僕、何か気に障るようなことしたかな」


見ていた羊皮紙を、トム・マールヴォロ・リドルの顔にグシャッとつきつける。
けど寸前にリドルが手で防いだから、また舌を打つ。


「その胡散くせぇ笑顔が気味わりぃんだよ、実験の間ぐらいなら取り繕うのやめろ」
「……!」


――思ったとおり、コイツは今まで、全てのやつらをこの胡散くせぇ笑顔で騙せてると思ってたんだろう。
その証拠に、今の言葉で顔がこわばった。

ハッとあざ笑う。


「そっちのほうがイイぜ?トム・マールヴォロ・リドル」








「――先生、終わりました」


数分後、リドルが言った言葉に教室中がざわめいた。
先生は満足そうに頷いて、女共はまたキャアキャア。

出来上がったペアから教室を出ていっていいと前もって言われてたから、俺は立ち上がってポケットに手をいれ、出口に向かって歩き出した。


「名前ずりぃ!」
「ま、頑張れよ。昼飯待っててやるから」
「手伝ってくれ!頼む!」
「いや俺優等生だから、羊皮紙に書かれてる以外のことなんて恐くてデキマセン」
「思いっきり片言じゃねえか!つか早すぎだろ!」
「あー……ま、俺にかかればこんなもん楽勝」


ウゼェ!と吠えたルイの額をベシッと叩いて通りすぎる。
そうして教室を出ていった。





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