恋い焦がれた太陽 | ナノ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -

ダンブルドア、先生は、何があったのか聞いてきたけど、俺が首を横に振ると、その一度だけで、質問はやめてくれた。

生徒数人の身体の動きを支配した俺に、どんな理由があろうと、罰則を与えないわけにはいかないと言われて、それを俺はもちろん呑んだ。


「…………」


――そして今、俺は一人で、禁じられた森の中を薄暗いランプを手に歩いていた。


付き添いが居ない、なんていうのはダンブルドア先生の配慮だと思う。
ダンブルドア先生なら、俺が何度も勝手にこの禁じられた森に入っているのは知ってるだろうから、一人でも危険じゃないと判断して…それか、俺が付き添いを望んでないのを汲み取ってくれたか。
どっちもかもしれねぇけど。


――俺は、少し開けた場所に来るとランプを地面に置いて、腰を下ろした。
胡座をかいて、そうして右手で、ブレスレットが無くなった左手首に触れる。


「ちくしょう…」


今でも思い出すと、あの光景を思い出すと、ムカついて、アイツらを殴りたくて、どうにかしてやりたくて堪らなくなる。


しかもアイツら、レダクトで粉々にしたブレスレットを、中庭に投げてた…。
レダクトされても、構成要素があったならまだ、レパロで直せたのに……!


――すると、横の方で何か音がして、俺は袖から杖を取り出し向けながら場所を見た。
けどそこには何も居なくて、俺は少し眉を寄せる。


「――名前」
「――リ、ドル…」


でも次の瞬間、透明マントをかぶっていたリドルが、それを脱ぐことによって姿を現して。

目を見張った俺を見たリドルは嫌そうに眉を寄せると、歩いてきて俺の前に座って、


「いっ…いってぇな!いきなり何すんだよ?!」


俺の頬を引っ張った。
いきなりの、そのわけの分からない行動を振り払って声を上げると、リドルは眉を寄せたまま、


「前に、言ったよね。名前の家に、行った時に」



「だって貶したりすれば君はもちろん怒るだろうけど、それ以上に傷つくからね」
「傷ついて泣いちゃう名前も、見てはみたいけど」



「けど、僕以外の誰かに傷つけられて、泣きそうになっている名前なんて、絶対に嫌だよ、見たくない。――あのスリザリンの奴らを、痛めつけてやりたくなる」
「な、泣きそうになんて、なってねぇよ」
「強がらないでよ、名前。――名前がいつも一緒に居る彼らに、聞いたよ」


そしてリドルは、俺の左手首を取った。


「名前と本当の親とを繋ぐ唯一のブレスレットが、壊された…って」


――ねえ、名前、と。
リドルに呼ばれて顔を上げると、リドルは優しく笑った。


「さっきも言っただろう、他の誰かに傷つけられて泣きそうな名前は、見たくない。――だから、僕で笑顔になってよ」


左手首に何かが通されるような感覚に、驚きながら見るとそこには、ブレスレットが。
バッと顔を上げると、リドルが笑う。


「彼らと一緒に、中庭をレパロしながら歩いたんだ。そしたら、なんとか復元…――名前…」


リドルの驚いた声に、俺はハッと息をのんで、リドルに背中を向ける。


「ちょ、ちょっと待て」


俺は、ともすれば泣きそうで、震える唇を引き結んだ。


――俺は、本当の親の顔すら覚えてないし、今は、父さんが二人居て、ここまで育ててくれたことに、本当に感謝してるし、二人が大好きだ。
けど、このブレスレットを大事にするのも、事実で。
ブレスレットがもう戻ってこないと思った時は、見えない繋がりが、本当に消えた気がして、こわかった。


「、」


――すると、リドルに後ろから抱きしめられて、肩が少し揺れる。
けど、それすらも優しく抱きしめられて、俺は涙がこぼれないように目を瞑った。


――俺は、何よりもまず、リドルと、そしてルイやスコッティー、グレッグの気持ちが、嬉しかった。


「…、…ありがと、な」
「ううん、大したことじゃないよ。――それから、彼らになら、お礼を言うの、許してあげるからね」


笑いながらそう言ったリドルに俺も笑って、バーカ、と言った。





111114