恋い焦がれた太陽 | ナノ
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「ねえ、それより名前」
「あ?」
「じゃあここに来るのって、僕がはじめて?」
「まぁ…父さんたちじゃなくて俺関連の人間だったら、そうだな、多分」
「ふぅん、嬉しいなぁ」


顔を歪めてリドルを見る、でも変わらず笑みを浮かべるリドルは、気持ちわりぃ。


「つまりさ、名前。僕は君に認められたってことだね」
「は…?いや、認めるとかわけ分からねぇし…つうかお前が引かなかっただけだろ!あんなしつこい奴がほかに居ねぇだけのことだ!」
「それでも結局は、僕を連れてきてくれた。君は口では色々言うくせにお人好しだ」


杖を振り回して、荷物を整理しながらリドルの言葉を聞きながす。
こいつの言葉は褒めてんのかけなしてんのか、本心なのか虚言なのかよく分からねぇから、考え出すとややこしくなる。


「まあ、大丈夫さ、名前。僕は君の父親を貶すなんてことはしないよ」
「…そりゃどうも」
「だって貶したりすれば君はもちろん怒るだろうけど、それ以上に傷つくからね」
「…………」
「傷ついて泣いちゃう名前も、見てはみたいけど」
「…サドが」
「あれ?知らなかった?」
「いや、よぉく、な」
「ふふ、だろうね」


ハァ、と息を吐くと俺は、荷物をしまい終えたからドサッとベッドの上にあおむけに倒れこんだ。
そうして杖をかまえた右手を天井に伸ばして、ひとふり。


「…ホグワーツと同じ、じゃあないね。これは本当に、今の空をうつして…透明マントと同じ原理を天井に、か」
「リドルはのみこみが早くて助かるよ」
「…それは僕の真似?」
「ハ、似てただろ?」
「アバダケダブラってあげようか」
「永遠に黙れってか!」
「ふふ、嘘だよ、殺すわけない」


リドルは俺の隣に寝ころがるとうつ伏せになってベッドに肘をついて、俺の手首のブレスレットに触れた。


「これは今の父親からもらった物じゃないんだね」
「…お前さ、遠慮、って言葉知ってる?」
「君も知ってのとおり、猫をかぶるのは得意だよ」
「しかも何十匹も、な」
「うん、だから、相手の空気を読むというか、差し支えないようにすることは人並み以上だよ、僕は」


リドルはにっこりと笑って、少しだけ首を傾げる。


「差し支えちゃった?僕は名前について、知りたいだけなんだけどな」



「だって貶したりすれば君はもちろん怒るだろうけど、それ以上に傷つくからね」



それでまた面白がる気かよ、とか、弱みでも握った気かよ、とか。
そんな考えが頭を過った。
けど、言葉にするのはなんとなくやめておいた。


「――孤児院の大人からの話だと、このブレスレットは最初っから付いてた」
「、そう」
「本当の親の顔なんて知らねぇけど…、…、外して捨てることは、なんつうか、な」
「…なんとなく分かるよ」


リドルを見ると、リドルは眉を寄せていた。


「特に孤児院のことはね」
「…あっそ」
「へぇ、聞かないの?」
「ザ、ジャパニーズ遠慮だ」
「なに言ってんの?」
「うるせぇな、そろそろ黙って寝ろよ」




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