舞台上の観客 | ナノ
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「#年下攻め」のBL小説を読む
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「名前はよぉ、どこでアイツと知り合ったんだ?うん」
「確かにそうだな…お前は木の葉出身だけど、さっきのアイツは砂隠れだ…」


カンクロウさんと会ってから、わずか数十分後のこと。
私はデイダラさんと、そしてサソリさんと、再び封印を行う場所へと向かって歩いていた。


「――私は、砂隠れの里にも居たことがあるんです。その時に少し、知り合っただけのことですよ」
「へぇ…しかしよ、お前、中々やるじゃねぇか、うん」


首をかしげてデイダラさんを見る。


「さっきの、…カンクロウ、だったか?の言葉への返し、絶妙だったな。アイツ、かなり喰らってたぜ、うん」
「……?私は本当のことを言っただけです、けれど…」
「クク、言うじゃねぇか……だが、察するに、名前」
「はい、サソリさん」
「お前、そこの風影とも顔馴染みらしいな…」


サソリさんの伺うような視線には気づかないフリをして、鳥の尻尾に拘束され、目を閉じたままの我愛羅を、見る。



「名前は、…ひ、ひとりじゃない、よ…?ぼ、…っ、ぼくでいいなら…!ぼくが、いっしょに、いるから」



――わたしは自分でも気づかない、無意識のうちに、眉を下げて笑みをこぼしていた。


「――…私は、暁です。暁の目的、下された任務は、尾獣を集めること……――顔馴染みだろうと、私は一尾を封印しますよ、絶対に」


そうしてにっこりと笑う。


「裏切りなんてしません」


サソリさんはフン…、と満足そうに鼻を鳴らした。








「よぉ!久しぶりだなぁ、名前ちゃんよぉ」
「あはは、飛段さんも、変わりないみたいで」


幻龍九封尽を行う洞窟の中。
外道魔像の下、地面に倒れている我愛羅の、まえ。


――とても素敵な、人達。
我愛羅は、人柱力。
人柱力は、尾獣を抜けば、剥がせば、――死ぬ。


「っ、…っ、…」


ひとりで、小さく、そして荒く、息をする。
心臓が、冷たくなっていくような気がする。



「名前」



――すると、イタチさんに名前を呼ばれた。
いきなり呼ばれた筈なのに、びくりと身体が揺れて、心臓が跳ねるような、そんな風にはならない。


「身体の方は、大丈夫か」


震えが、とまった。
――私はイタチさんを見上げて、にっこりと笑う。


「大丈夫です、――ありがとうございます、イタチさん」


――闇の中の淡い紅い瞳が少しだけ、細められた。


「では、封印をはじめる」


ペインさんの言葉に頷いて、私は我愛羅へと向き直り、その姿を視界にとらえた。



(――時空眼!)






111005