舞台上の観客 | ナノ
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――砂隠れの風影が、暁に連れ去られた夜の、次の日。
火の国、木の葉隠れにて。


「ハァアア?!金塊輸送の護衛ぃ?!」


火影から直々に任務をうけたまわる場にて、うずまきナルトの、不満でたっぷりとあふれた声が響いた。


「思いっきりCランクじゃん!そんな任務、ノーサンキューだってばよ」


口を尖らせ、与えられた任務に対してそう言ったナルト。
するとサクラがその首に腕を回して、頭を抱えると金色をグリグリと拳でつぶした。


「す、すいません師匠〜、あとで私が、よぉく言っておきますから」
「あいたたたたた!」


そうしてひきつったような笑みを綱手へと向ける。
綱手は頬杖をつき眉を寄せ、カカシは呆れたようにため息をつく。

スムーズに、穏便に、という言葉は合わないけれど、そのメンバーの、いたって首を傾げるところのない、風景――


「大変です!五代目!」


――だったけれどそれは、扉を音を立てて開けて部屋に入ってきた、解読班のくの一によって変化した。


「先ほど、砂から緊急通信が!これが解読したものです」


くの一が綱手に手渡した巻物を見た面々が、眉を寄せ、驚きの言葉を漏らす。
その様子に、綱手らとは机を挟んだ位置に居るナルトたちが首をかしげた。


「な、なあ、何があったんだってばよ」


少なからず、その異様で危険な雰囲気を感じ取ったようなナルトを、綱手が見据える。
綱手はそうしてサクラ、カカシも見定めると、眉をギュッと寄せて三人を捉えた。


「砂隠れの風影が、暁という組織の者に連れ去られた」



――ナルト、サクラ、カカシに、静かな、そして重い、衝撃が走った。



「我愛羅が…!そ、それに今ばぁちゃん、暁、って」


三人の中で、誰も、一日たりとも想わない日はなかった。
情報を集め、捜し、修行をするときは考え、想う。

つながりの糸の先に、いまや居ない、かつての二人の仲間のことを。


「――暁に関しては、我々の方が多くの情報を持っている。そこで砂隠れから、正式に応援を要請してきた」


歯を食いしばり、眉を寄せ。


「これより、カカシ班に改めて任務を言い渡す」


けれど真っ直ぐに前を見る三人に、綱手は口を開いた。


「直ちに砂隠れの里へ行き、状況を把握し、木の葉へ伝達。その後、砂隠れの命に従い彼らをバックアップしろ!」










「――いよいよね」
「ああ、やっと…!やっと、名前に一歩、近づける…!」
「それに、もしかしたら、風影を連れていった暁のなかに実際に、名前が居るかもしれない」


木の葉の里の、門の前。
待ちきれないといった風に出発の時間よりも早く来たナルトとサクラ。

ぎゅうっ、と手を握りしめて言ったサクラの言葉に、ナルトが眉を寄せて下を見た。


「その方が、名前に会える確率はかなり高ぇけど…俺ってばそんなの、考えたくねぇ」
「…ナルト…」
「だって、サクラちゃん、名前と我愛羅ってば、昔からの知り合いみたいだったってばよ」



「それでも…!自分が傷付いても…!闇ん中で苦しんでるお前を助けようとした!俺ってばよく分かんねえけど、名前は、最初っからお前の傍に居てくれた、大事な人じゃねのかってばよ…?!」



「あの時、自分が傷ついてまで我愛羅を助けようとした名前が…今度は我愛羅を拐ってなんて…、っ、考えたくもねぇってばよ」


顔を下げ、眉を寄せ、目をキツく瞑り、ブルブルと握りこぶしを作るナルト。
――その肩に、ポン、と手が置かれた。


「…カカシ先生、」
「向かうまえからそんなに力んでちゃ、いざという時にバテるぞ、ナルト」
「…ん、」
「サクラも、な」
「…はい、先生」


カカシはにっこりと笑った。


「俺達にはそれぞれ、仲間がいるんだ。大丈夫さ」


そうして直ぐに、真剣な表情になって、ナルトとサクラを真っ直ぐに見る。


「絶対に取り戻すぞ、俺達の、仲間を」
「――オス!」「はい!」





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