舞台上の観客 | ナノ
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サクラに水を貰い、木に寄りかかり座っている。
というか、座らされた。

木に縛られた敵の忍者二人。
その二人とタズナさんを交互に見ながら話すカカシ先生。
話を聞くサクラとサスケ。
敵に付けられた手の甲の傷を見ながら一人何かを考えているナルト。


いやー…。
もう本当、今回はかなり危なかったな…。
だってサスケが、っ、サス、ケが、サクラを護っ…!


「げふっ」


…考えるのはやめておこう。
このままじゃ私の命が、いや言い過ぎた、まあ私の呼吸が危ない。
…それにしても…。



「よぉ…怪我はねーかよ、――ビビリ君」
「っ、サスケぇええ!!」



ナルトとサスケも…全く、二人とも意地っ張りだな…。
まあでも意地っ張りというのも私は好きだな…、何と言うかこう、意地っ張りというのは後に自分の言動を後悔するんだよね…。
それが何とも…。


「はあ…」


本当、この班に居たら心臓がいくつあっても足りない気がするよ…。


「――名前!」
「…サクラ、水ありがとう」
「気にしないで。調子はどう?もう良さそう?」
「うん、すっかりよくなったよ」
「そう、よかった!あのね、私達の任務なんだけど――」



――ザッ…!



視界の中に鮮やかな赤い血が舞った。

驚きに目を見開く。

その血の出所はナルトで、――血を出させたのも、ナルトだったから。


「……俺がこのクナイでオッサンは守る…」


自分で自分の手の甲に思いきりクナイを突き刺して。
相当痛い筈だけれど、ナルトは笑った。


「任務…続行だ!!!!」



間。



「…ナルト、景気よく毒血を抜くのはいいが……それ以上は出血多量で死ぬぞ」


にっこり。
カカシ先生が笑って、次いでナルトの慌てた叫び声。

私は「ええと…」と少し考えてから諦めて、眉を下げて笑いながらサクラを見た。


「つまり、どうなるの?」












「うひょう!デッケー!」
「こ…こら!静かにしてくれ!ガトーに見つかったら大変なことになる…!」


濃霧の中を、木の小舟で進んでいる。
エンジンもなく、大声を上げたナルトが怒られたのも、ある理由のせいだ。



「実はわしは…超恐ろしい男に命を狙われている…。運搬会社の大富豪、ガトーという男だ!」



――ガトーカンパニーのトップであり、世界有数の大金持ちと言われるその男。
波の国を乗っ取って物流を遮断し富を独占して、国を貧困に追い込んだ張本人らしい。

橋の建設によって新たな物流を試みるタズナさんを暗殺しようと企んで雇われたのが、さっきの忍二人。


まあタズナさんがけれど何でCランク任務として依頼したのか、とか。
結局私たち第七班は任務を続けるのか、とか。

色々あるけれど…私はもう、これが気になって気になって仕方がないんだよね…。


イチャイチャパラダイス!
略してイチャパラ!


隣に座るカカシ先生のポーチの中から少し顔を覗かせているそれ。


読みたい…んだけれど、ちょっと待てよ、自分。
この現実世界には、本に頼らなくてもいい物語がたくさん溢れているじゃあないか!
さっきのサクラとナルト然りナルトとサスケ然りだよ!

……まあけれど、やっぱり…少しは、気になる…。


顎に手をあてて少し考える。
ちらりとカカシ先生を見て、そして本へと手を伸ばした。






110415.