舞台上の観客 | ナノ
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「うちはイタチだ」


――うちは、イタチさん。
サスケの復讐したい相手で、うちは一族を、サスケを除いて、皆殺しにした張本人。
そして、もう数回はこの左目で視た人物。



俺は必ずアイツを殺す…!



し、しまった!
サスケがあまりしない過去の話をするときは大抵、一族復興のことも言っていたから…そ、それも一緒に思い出してしまった…!


「げほっ、げほっ…!す、いませ…」


口元をおさえながら謝ると、イタチさんが優しく背中に手をあててくれる。


「お前が身体が弱いことは聞いている。それにこれからは更に、その眼も使うことになるんだ。普段からあまり無理はしないほうが良い」


イタチさんの言葉に、私は自分の瞼に触れた。


「イタチさんの写輪眼もそうですが、アナタのその眼も、身体に負担がかかるんですねぇ。ま、多くの成果が得られる物にはそれ相応のリスクが付きまといますからねぇ」
「…干柿、鬼鮫さん」
「ええ、どうぞ以後、お見知りおきを」


私は瞼から手を離し下ろして、二人に頭を下げた。


「名字名前です、これからよろしくお願いします」






「名前が暁に入ってからもう半年位は立ちましたが、私達の前には、どのコンビと共に行動していたんです?」
「最初はサソリさんとデイダラさんの二人で、その次が飛段さんと角都さんです」
「それはまた個性的…というか、暁のなかで普通の人間を探すほうが難しいですねぇ」


確かに、鬼鮫さんの言うとおりだと思う。
忍術もそれぞれ個性的だったけれど、なによりそれ以上に、ヤンデレやら、ギャップ萌えやら、潔さすら感じるほどのマゾヒストとか…。
本当に、この半年間で、色々あったな…。


山道を歩きながら、隣の鬼鮫さんを見上げる。


それに鬼鮫さんだって、かなり個性的じゃないか。
個性的というか、神秘的…?とでも言おうか…。
本当に、人魚姫、という類いのかたが居たんだな。


「どうでしたかァ?ここまでの半年間」
「私が修行しようとする時はいつも皆さんが何かしらと手を貸してくれたので、とてもタメになりましたよ」
「暁のことについては、何か聞いたか」


イタチさんの言葉に少し考えて、そうして、デイダラさんと飛段さんに言われた言葉を思い出す。


「デイダラさんと飛段さんに、暁のメンバーになった以上、クールに振る舞う…、ということを教えられました」
「フッフッフ…!よりによって暁でもトップレベルの騒がしいの二匹が言うとは」
「…外道魔像や幻龍九封尽のことについては、何も教えられなかったのか」
「ああ、それは――」



『――尾獣を捕獲した、最優先で集まれ』



すると耳元から聞こえたペインさんの声に、私たちは足をとめる。
にっこりと笑ってイタチさんを見上げた。


「大丈夫です、リーダーから教えてもらいましたから」


イタチさんは頷くと、影を探して、木の密集した方へと向かっていく。
すると鬼鮫さんが口角を上げながら、


「いやァけれど本当に、名前のおかげで助かりましたよ。今までは、長かったですからねぇ」
「けれど…私が早送り出来たとしても、最低三日はかかるとリーダーが言ってました」
「十分な短縮ですよ、これでわざわざ現地まで向かわずとも済む」


するとイタチさんに、鬼鮫さんと共に名前を呼ばれた。

頷き返して、木の影に隠れた岩の上に腰をおろすと、ゆっくりと目を閉じる。
――再び目を開いたとき、そこには外道魔像が見えた。





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