舞台上の観客 | ナノ
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「くぅ〜っ、ついに、ついに俺にも後輩が出来たってわけだ!俺は飛段だ、名前、だったか?よろしくな!」
「はい、名前です。よろしくお願いします、飛段さん」
「キタぜ、この、敬語に、さん付け…!くぅ〜っ!」


――サソリさんとデイダラさんのコンビの次は、飛段さんと角都さんという二人のところに、お邪魔させてもらっている。

飛段さんは暁の中でまだ新入りらしく、私が入ったことで後輩が出来たことを、どうやら喜んでいるみたいだ。

思わず少し、笑ってしまう。


「俺は――」
「ちょっと待て!」


すると角都さんが私を見ながら何か言いかけたとき、飛段さんが眉を寄せながら角都さんを肩で押し、追いやった。
角都さんがひどく鬱陶しそうな顔になる。


「へへ、お前の自己紹介をする前に、後輩に一つクイズを出してやらなきゃいけねえ」
「クイズ…ですか?」
「…出してやる、というかただお前が教えるということをしたいだけだろう」
「まあそう言うなって!」


そう言うと飛段さんは小さなサイズの巻物に何かを書くと、目を丸くしている私にそれを見せた。


「………………」
「これは、俺の相方っつーか、ま、隣にいるコイツの名前なんだがよぉ、――なんて読むか、答えろ!」
「……えっ、と…」


ど、どういうことだ…?
飛段さんの相方なら、角都さんの筈だけれど…この文字はどこからどう見ても、ミ、ミミズにしか見えない…!


すると角都さんも巻物を見て、そうして飛段さんの頭を、あまり容赦はしていないように殴った。


「いっ…てえな!おい角都!いきなり何しやがる!」
「お前の字じゃ読むも何も、解読のレベルだ、馬鹿が」


角都さんは飛段さんから巻物を取ると、さらさらと何かを書いて、私に見せた。

そこには今度こそ確かに、角都、という文字が。


――ど、どうしようかな。
私はもう暁のメンバーの名前を全員知っていることを、飛段さんは知らなかったのか。



「…出してやる、というかただお前が教えるということをしたいだけだろう」



「えっと…」


それにどうやら、飛段さんは私に、教えるということをしたいみたいだし…。


「えっと…」


確かに角都さんの読み方は少し変わっているから、私も最初は、こういう字を書くとは思ってなかったな。


「えっと……か、かくとさん、…とかですか、ね…?」


――すると頭をおさえていた飛段さんがバッと顔を上げ、笑顔を見せた。


「ブッブー!間違いだぜ、名前、まったくしょうがねぇなあ、教えてやるよ」
「はい、ありがとうございます」


にっこりと笑うと、角都さんが巻物をしまいながら


「今度の新入りは、どうやら空気が読めるようで良かった。だが別に今のは、読まなくてもいい、名前」


気づいていたというか、分かっていたらしい角都さんに、眉を下げて笑う。
そして飛段さんに視線を戻した。


「いいか、かくとじゃなくて、かくずって読むんだぜ!」
「む、難しい…というか、私に知識が無いんでしょうか?都で、ず、と読むんですね」
「いや、難しいんじゃねえ?俺も読めなかったからな!」


角都さんがため息を吐く。


「飛段さんはちなみに、なんて読んだんですか?」
「俺か?俺はなぁ…なんだったかなぁ……そうだ!――つののみやこ!だったな」



――ど…どこの古文に出てくる大名ですか…!





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