舞台上の観客 | ナノ
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「#年下攻め」のBL小説を読む
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――暁……S級の犯罪者たちが集まる組織の名。
その主な目的は尾獣を集めることであり、基本、二人組で行動する。

けれど私は、この組織の中で二人組をつくることはない。
私に組織から求められる役目は、暁のメンバーが尾獣を狩るときのサポート。

だから今日からわたしは、メンバーの戦術を確認するために、それぞれの二人組のところにお邪魔させてもらうこととなっている。


「ちっ…デイダラのやつ……俺は待たされるのが嫌いだって、何度言ったらわかりやがる…!」


その最初のコンビ、デイダラさんとサソリさんのところへと着いたのだけれど、どうやらデイダラさんは街に買い出しに行っているらしい。
そしてどうやら、――遅い、らしい。


「――おい、新入り」


そのデイダラさんがどんな方なのかはまだ分からないけれど――私は、目の前に居るサソリさんが気になって気になって、しょうがないんだ…!


じっと見ているとサソリさんに呼ばれたので、少し首を傾げる。


「勝手にジロジロ見てんじゃねえ、――殺すぞ」


ハッと私は息をのんで、慌てて頭を下げる。


「すいません、つい中が気になってしまいまして…」
「……中だと…?」
「あの、傀儡の中が…」


この、人相の悪い(と言ったら失礼かもしれないけれど)男性の傀儡の中……某猫型ロボットの、四次元ポケットのようだったらどうしよう…!
深く関わるつもりは無いんだけれど、き、気になる…!


すると後ろから歩いてくる音が聞こえて、振り返る。


「ん?ああ、そういや最初は、おいら達のとこに来るんだったな」
「…デイダラさん、ですか」
「ああ、よろしくな、名前、うん」


するとそう言ったデイダラさんが驚いた顔をしたので、後ろのサソリさんを振り返る。

――傀儡のなかには、赤い髪をした私より少しだけ歳上であろう男性の姿があった。


「珍しいな、旦那が最初っから中身を見せるなんてよ、うん」
「ヒルコが傀儡だと見破られたのも、また久しぶりなものだったからな」
「へえ、お前、旦那が傀儡の中にいるってことを見破ったのか。中々やるな、うん」


――く、傀儡の中身が四次元ポケットかもしれないとは…流石に考えすぎだったのか。


笑みを浮かべるサソリさんを見返すと、デイダラさんが笑いながら私の隣に来る。


「けどな、名前、旦那は一見ガキに見えるけど、中身は結構歳いってるからな。ナメた真似しちゃ、殺られるぜ、うん」


――なん…だと……?


「さっ…」
「…さ?」


少し首をかしげたサソリさんに、バッと頭を下げた。


「サインください……!」


少しの間が辺りに落ちる。
やっぱり駄目だったろうかと恐る恐るサソリさんを見上げると、サソリさんじゃあなく、デイダラさんが反応した。


「サソリの旦那に、サイン…?!馬鹿言ってんじゃねえ、芸術は長く続く永久の美なんかじゃなくて、儚く散る、一瞬の美こそだろ!」


するとサソリさんが軽く笑って、デイダラさんを見た。


「嫉妬は見苦しいぜ、デイダラ。こいつ、名前は、俺の芸術に感動したんだからよ」
「はい、感動しました…!」


ま、まさかこの世の中に――見た目は子供!頭脳は大人!――を実現している人がいるとは思ってもみなかった…!





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