舞台上の観客 | ナノ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
前回までのあらすじ――ベスポジマスターを目指す私。そんな私の師匠、もとい、ネジ博士に何とまあ盗撮…いや、覗き…透視?の疑いが!


「…名前か、久しぶりだな」


ネジ博士 に 出会った 。
名前 は 混乱している 。


た、確かにネジさんに話の詳細を聞きに行こうとネジさんを探していた訳だけれど…こ、心の準備が……!

お、落ち着くんだ…!
とりあえず今の私に用意されている選択肢は――


>たたかう
>どうぐ
>にげる


――逃げよう…!
何か適当に理由をかこつけて逃げ、真相はまた日を改めてからに――、


「あ…!名前ちゃん…?!」


ヒナタ が 現れた 。
仲間 に なりたそうに こちら を 見ている 。

仲間 に しますか ?
>はい
>いいえ


「はい!」
「え、…えっ?名前ちゃん、な、何で、敬語…?」
「…い、いや、ごめんね。間違えちゃったよ…」


くすくす、ヒナタがおかしそうに静かに笑う。


――ご、ごめんよヒナタ…色々と混乱してしまって…私は何ておこがましいことを!


笑みを溢すヒナタを見て、申し訳なさにぎゅうっと眉が寄る。
すると、ネジさんが一歩、近づいてきて、


「何かあったのか」
「……、……」


…流石…あらゆる物を見透す白眼の使い手…。
…というか、その白眼こそが、今の私の悩みの種なのだけれど…。


ネジさんの言葉に、ヒナタが少し驚いたように私を見る。
その白い瞳に見つめられながら、私は重い口を開いた。


「ネ、ネジさん…白眼で…服も何もかも、見透しているって…う、嘘ですよね…?!」
「…?!」
「?!な、何を…!ヒナタさま!嘘に決まっているでしょう!」


私の言葉に、ヒナタが驚きに満ち溢れた表情でネジさんを見上げた。というか、引いているように見える。

慌ててヒナタに弁解するネジさんだけれど、その様子すらも怪しく見えてしまう。

するとネジさんが私の腕をグイグイと引っ張り、店の間の裏道へと来た。


「――おい、お前は…!誤魔化すならもう少しマシなことを言え…!」
「ご、誤魔化す…?」


誤魔化しているのはネジさんなんじゃ…と思い首を傾げると、ネジさんは私の目をじっと見つめた。


「中忍試験の予選の後から、お前は消えた。無事に戻ってきたが…ヒナタ様も、心配していた」


そう言って、ネジさんは、通りで不安そうにこちらを見ているヒナタを見た。
その視線を追うように、私もヒナタを見る。


――――……。


にっこり、笑うと、ヒナタも安心したようにぱあっと笑顔を見せてくれた。
私はネジさんを見る。


「ネジさんは、ヒナタのご家族なんですよね」
「家族…か。まあ宗家と、分家の間柄だ」


にこにこ、笑う。
するとネジさんがハッとした。


「おい…!まだ誤魔化して隠したことを聞いていないぞ…!」
「え、…え?」
「話したくないという気持ちが…まあ、あるのかもしれないが、多くの者に心配をかけたんだ。話すのが筋だ」
「ネ、ネジさんこそ、誤魔化さないで下さい!担当上忍が言ってたことだから、真実に決まって…!」


― ― 白 眼 ! !


「ネ、ネジさん…?!」


いきなりネジさんが白眼を開眼させた。そして更に迫力がいつもより増している。


「担当上忍だと……?」
「あ、あの、…」
「俺の、担当上忍か」


地を這うような声とは、こういうことを言うのか。


「マイト・ガイか…!」


>はい
>いいえ


「はっ、はぃい…!」


どうしてだろう。何故か、ガイ先生に悪いことをした気持ちでいっぱいだ。












――夜になり、家に戻ってきた私は、テーブルの上にコップを一つ置いてある状態の中、印を結んだ。
閉じていた目を開くと、コップは消えていた。





110617