舞台上の観客 | ナノ
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「#幼馴染」のBL小説を読む
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中忍試験の二次、巻物争奪戦が始まって数時間が経過したころ、私は――はぐれた。


本当に、これは…運命だな。
強風でさえ分かっているよ。


死の森に入って少しして、早速敵が来た。
その敵はナルトに変化していて、追い返したものの、私達は次に同じことが起こった場合に備えて合言葉を決めた。

そして決めた次の瞬間、強風が起こったんだ。
恐らく、新たな敵が起こしたものだろう。


「三人共、大丈夫かな…」


そして、私はピンポイントな位置にでも居たのか、あり得ない程に飛ばされた。
三人の姿は全く見えない。


それにしても、あの強風も分かっているね、全く。
いやそりゃあ私だって、三人だけの方が良いかなとは常日頃思っているよ?


けれど今は試験中で、中央の塔には班員全員で揃って行かないと、二次試験を通過したことにはならない。


だからおこがましいけれど、私も三人と一緒に居なきゃいけないんだよ。
まあ強風が三人を思ってやったことだとしても、残念ながらこの状況は三人の為にはならない…。

そこのところ惜しかったね。
まあ次があるさ!
ドントマインド!


「!」


するとズル、ズル、と地を這う音が聞こえてきて、咄嗟に止まった。
木の上で様子を伺う。


――…蛇…、しかも大蛇…。
…というか大きすぎないか?
木の葉に、といっても死の森だけれど、…あんな大きな大蛇が居たのか…。


ぴたり、固まる。


待てよ、大きな大蛇っておかしくないか…?
つまり大大蛇…って何だそれは、馬鹿じゃないのか。
けれどこういう言葉の不思議さっていうのは他にもあるよな、頭痛が痛い、とか…。

まあ大大蛇とは違うか。


「げほっ」


今は周りに誰も居ないのに、ついいつもの癖で咳をしてにやける口元を誤魔化した。
私はその場から飛び退く。



ドシャアアア!!



今さっきまで私が居た木が大蛇によって破壊されるのを、違う木の上で見る。


やっぱり動物は鼻が利くな…音を一切消しても、嗅覚で気づかれてしまう…。
まあ咳が早く治まったのが幸いだ。


すっかり気付かれてしまったので、隠れることは止めて応戦することにした。



「響遁 重音の層」



クナイに音の波動を纏わせてから木の枝を蹴る。
牙を見せて襲いかかってくる大蛇とすれ違いざまに、そのクナイで切り裂いた。

地面に着地、大蛇を見る。

横に長く長く切り傷が入った大蛇は、細く大きな雄叫びを上げながら、痛みにその長い体をうねっている。


とどめを刺す必要は無いね。
この間にさっさとここから離れようかな。


「きゃあああーっ!」
「…?!」


そう思い踵を返した瞬間、大蛇は痛みに暴れて周りの木々を薙ぎ倒していて、近くに居たのか女の人が倒れていた。


あの人…確かリーさんと一緒に居た…。


木の下敷きになるようにして倒れている彼女は動けなくて、けれど大蛇は彼女に気付いて牙を見せて襲いかかっていく。


――間に合え…!




ガキィッ…!と、私のクナイと大蛇の牙がぶつかり合う。

かなりの勢いで行ったから、クナイを持っている方の腕に牙による傷が出来ていた。



「響遁 重音の波…!」



素早く印を結んで、大蛇の口内に手をかざす。

音の波動が伝わった大蛇の体が、中で爆発したように跳ねる。
腹からの爆発に伴って大蛇の頭は持ち上がり、そうしてドシャッと地面に落ちた。

生きているのか、息絶えてしまったのか。
まあどちらにしても、当分は動かないだろう。


「あの、ごめんなさい」
「あ…大丈夫でしたか?」
「ええ、ありがとう」


木を退かすと、彼女は眉を下げながら私に頭を下げた。


「まさかいきなりこんな大きな蛇が出てくるなんて、思ってもみなかったわ。でも咄嗟に反応出来なきゃ…、駄目ねー、まだまだ」


すると彼女は木へと飛び乗った。


「敵同士だけど、同じ木の葉の忍として礼を言うわ。本当にありがとう。あなたが巻物を持っている可能性もあるけど、忍の前に人間として、それは止めとく」


じゃあ偵察中だから行くわ!と行って彼女は木々を飛び移りながら去っていった。


さっぱりした人だなあ。
うん、ああいう人、好きだ。


そして私は、さっき大蛇の牙に擦りズキズキと痛んでいる右腕を見て、その傷口に、クナイを振り下ろした。






110504.