舞台上の観客 | ナノ
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「火影さま、こんにちは!」
「おお名前、来たか。今日の任務はどうじゃった?」
「あ。その、それで来たんです」


あはは、と苦笑いする。
首を傾げる火影様に、ここまでの経緯を説明し始めた。


今日は火影様に久しぶりに会おうと誘われていた。
けれど任務にはいつもの如くカカシ先生は遅れていて。
そうこうしている内に火影様の所へ行く時間。


「ねえ、あの、みんな」
「?どうしたの?名前」
「私ちょっと火影様と用事があって…、ちょっと話してきていいかな」


説明し終えると火影様は豪快な笑い声を上げる。


「カカシも仕方がないのう…なら、わしが鳥を出しておこう」
「鳥、ですか?」
「わしも久しぶりに名前に会えたからの」


あ…もしかして私は今日任務に行かないってことかな。
任務は嫌いじゃないけど…火影様と一緒に居られるのは、すごく、嬉しい。


「じゃあ私、修行を一回増やします!火影様!」


にこっと笑えば、火影様も目元を優しく下げてうむうむと頷いてくれた。



「じじい!今日こそ覚悟しろこれーっ!」



するとバン!と扉が勢いよく開かれた。
その声と特徴的な語尾に、笑顔のまま後ろを振り向く。


「木ノ葉丸、久しぶり!」
「!名前姉ちゃーん!」


にやっと不敵に笑っている(つもりだろうけど、逆に可愛い)木ノ葉丸が、パアッと顔を輝かせて胸に飛び込んでくる。


「名前姉ちゃん!名前姉ちゃん!」
「久しぶりだね木ノ葉丸、元気にしてた?モエギやウドンと仲良くしてる?」
「元気だぞこれ!仲良くしてるぞ〜これ〜!」


髪を撫で回すと、木ノ葉丸はくすぐったそうに笑う。


「まだ火影様に挑戦してるんだね。木ノ葉丸は偉いねえ」
「偉い?偉いかこれ?!」
「うん、上を上を目指すのはすごく良いことだと思うよ。私も木ノ葉丸に負けないくらい頑張らなきゃなあ」
「名前姉ちゃんは俺が守ってやるんだぞ、これ!」
「あはは、ありがとう」


すると木ノ葉丸は「新技も覚えたんだ、これ!」とバッと私から離れて印を結ぶ。


「忍法!お色気の術!」


ボンッ!と白煙を上げてそこに現れたのは、所謂ボンッキュッボンのグラマーな女性。


「……え、あ、もしかして木ノ葉丸?」


と驚いていると、視界の端に赤いものが映って、そっちを見れば何と火影様が机に突っ伏している。
そして机の上には血が――


「火影様!!」
「あ、名前姉ちゃん、気にしなくて良いんだぞ、これ」
「でもっ、血が…!」
「俺のお色気にやられたんだぞっ、これ!」


木ノ葉丸はきゃっきゃ、けらけら、と笑う。


「ナルト兄ちゃんに聞いた通りだぞ、これ!」














――次の日。


「あ〜!名前!今日こそは一緒に任務出来るんだろ?昨日も一昨日も一緒に出来てねーってばよ」
「……ナルト、」
「ん?何だってばよ?」


私はぐっとナルトを見た。


「ナルトは今のままでも十分素敵だと思うよ…!」
「、へっ?!い、いきなり何言うんだってばよ、名前?」


お色気の術なんてものを生み出すなんて、悩んでいる証拠じゃないか…!
私はナルトは今のままでも十分だと思う!
男か女かなんて、大した区別じゃあないんだよ!


「ちっ…ふやけて任務だらけんじゃねーぞ、ウスラトンカチ」
「んだとォ?!サスケェ!」






110429.