舞台上の観客 | ナノ
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ぶちっ、ぶち、
「カカシ先生、うるさい」
「だってサクラ、何あれ?何あれ!」
「静かにしろ!アンタ本当に上忍か」
「……名前〜」
「あぁ〜何の話してるのか全然聞こえないってばよ」


これまた演習場。
夕日紅と名字名前が座るベンチから数10メートル離れた木の下。
地面に生えた雑草をぶちぶち引き抜くカカシに、サクラとサスケの言葉が刺さる。


「それにしても、あんなに早く終わらせられるんなら、カカシ先生いつも手伝ってくれれば良いのに」
「それじゃあお前達の為になんないでしょーが」
「ハッ。アイツが気になるからって任務に参加するとはすげえ上忍だな」
「何、じゃーサスケは名前が気になんないの?」
「……そうは言ってねえ」


重要参考人として紅と共に消えてしまった名前を追って、そして今、様子を伺っているものの、全くと言っていい程に声なんて聞こえない。


「何あれ、何で名前あんなににこにこしてる訳?」
「うーん、重要機密って何なのかしらね…」
「よく分かんないけど、そんなに深刻そうじゃなさそうで良かったってばよ!」
「深刻じゃなかったらわざわざ任務抑えて連れてくかよ、ウスラトンカチ」
「何だとォ?!」

「お前らも十分ウルサイよ(何か最近チームワーク悪いんだよなあ…)」


ごん!と二人の頭に拳骨を下ろしたカカシの腕を、サクラが必死に引っ張った。


「カカシ先生!名前、行っちゃったわよ!」










――びっくりした。
まさか、こんなことが起こるなんて。
偶然なんてものは恐ろしい。
――いや、運命、なのかな。


「さ、食え」


茶屋の中、テーブルを挟んで向かいに居るのは、ななななんとアスマ先生。
テーブルに置かれた串団子を見てからアスマ先生を見上げると、促されたので一個口にする。


「…あの、アスマ先生、私に何か…用事ですか?」
「ん?ああ、まあな。…その、何だ、……お前さっき夕日紅と一緒に居たろ」


ゴン!と勢いよくテーブルに突っ伏した。
おでこがかち割れそうだ。



「ちょっ、カカシ先生!何でクナイ出してるのよ!」
「アスマの奴…あの団子に毒を盛りやがった…」
「ま、まさかそれで名前ちゃんに重要機密を吐かせるつまりだってば?!」
「こんな人通りの多い街中の茶屋であるわけねえだろ!鵜呑みにすんなウスラトンカチ!あとアンタは落ち着け!」



「お、おい、どうした?大丈夫か?」
「……すいませ、げほっ、大丈夫です。あの、はい。紅先生と一緒に居ました」
「…聞きてえんだが、何の話してた…?」
「……あの、何で…」
「ああ、いきなりこんなこと聞いちゃ変だよな。…アイツ最近元気ねえんだよな」


ゴン!と以下略。



「ちょっとカカシ先生!」
「このウスラトンカチ!」
「しゃ、写輪眼?は流石にマズイってばよ〜!」



「…!そうか、そういやお前身体弱ぇんだったな。シカマルに聞いてたことすっかり忘れてたぜ。…悪ぃな、今具合悪いんだろ?」
「い、いえ、大丈夫、です」


大 丈 夫 じ ゃ な い 。
え…何これ、何これ。
私もしかして試されてる?
いや、何をだ。

…それより、アスマ先生と紅先生は付き合っていないのかな…付き合ってないのか…。
もうこれは両想いだろう、早く付き合って欲しい。

いやけれどこの片想いの焦れったいような不安で満ちているような状態も、観ている側としては良いんだよね…。


ふー…と煙草の煙を吐き出すアスマ先生をちらり、見る。


き、聞いては駄目かな…。
(アスマ先生は、紅先生が好きなんですか?)
き、聞きたい……!
…何て答えるのだろう…。

1.「あ?あー…まあな」
2.「子供にはまだ早ぇな」
3.「ははっ、さあな」

ううん…何だかどれもしっくり来ないなあ…。
というか、私アスマ先生とあまり面識無いんだよね。
そういえば。


「なあ、名前」
「はい」
「アイツお前と話した後、すっきりした顔してたからよ…ま、よく分かんねえけど力になってくれや」


よ、よし、聞くぞ、聞く、「好きな女にゃ笑顔でいて欲しいからな」


以下略。






110428.