舞台上の観客 | ナノ
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「#幼馴染」のBL小説を読む
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鉄の国、とある部屋で――我愛羅が私を抱き支えてくれていて、その隣にはカンクロウさんがいる。
そして私を挟んだカンクロウさんの向かいにはテマリさんがいて、私の手当てをしてくれている。

時空眼による身体への影響…けれどそれ以外の何かも、私の心臓を揺らしている。


「どうして」


――私はずっと、みんなと私の立っている場所は、とても遠いと思っていた。
同じ時間は生きているし、同じ方向に向かって進んではいるけれど…その距離は遠くて、間には透明な、けれど絶対的な壁があった。
それでも私は幸せだった。
みんなの物語を見ていくのはとても、幸せなことだった。
みんなを危険に陥れる…それこそ、誰かに死なんてものをもたらすものがあるならば、私は絶対にそれを止めたかった。

けれど、そうして里を抜け暁に入り、二年程が経った時。


「私達、名前が里を抜けたって分かったあの日から、ずっとずっと、捜してた…!ずっと、想ってた…!だから絶対、今ここで、木の葉に連れて帰るわ!名前!」


前を向いていた筈のサクラが、私のことを見ていた。

そんなサクラの泣きそうな、けれど真っ直ぐとした目を見て…私の心臓は驚きと、そして何故だか、少しの恐れみたいなものと共に、大きく鳴った。


「里とかは、関係ねぇってばよ。名前、お前は俺の、――やっと出来た、大切なつながりだから…!」
「ナルトも、サクラも、そして俺も……言ったよね、名前、お前を――木の葉へと、連れてかえるよ」


そして…私を見ていたのは、サクラだけじゃなかった。
ナルトと、そしてカカシ先生も、同じような目で、私のことを見ていた。

私は動揺した。
やっぱり何故だか、恐怖みたいなものも覚えてた。
そして分からなかった。
なんで三人が、私のことを見ているのか。

私とみんなのいる場所が、少しだけ近くなった。

――そして次は、飛段さんと角都さんの事件の時。


「何度だって言うさ、名字名前。ここに居るこいつらは、お前を信じているんだ!結界など使わせずに、お前が自分から木の葉へ戻ってくるのを信じて、そして必死になってるんだよ!」


木の葉の色んな人が、私のことを見ていた。
距離がまた、近くなった。

けれど私とみんなの間にある透明な壁は絶対的で、だからこそやっぱり、分からなかった。
どうして私を見ているのか。


道を進みながら、私のことも見てくる人々。

そして私は、それこそ昔は、物語を、みんなを見れる限り見ていたというのに…だんだんと、みんなの方を見れなくなっていった。


「お前の周りの人間はおそらく、昔から変わってはいないだろう」
「きっとアイツらは昔から、お前のことを、大切に想っていた筈だ」
「今までと変わったのは名前、お前だろう」
「お前が変化したから、アイツらのお前への気持ちに、少しだが気付き始めている。その点でももしかしたら、里を抜け暁に入り、よかったのかもしれないな。お前へぶつけてくる言葉が里に居た時よりも、増えただろうから」


――けれどそんな時、私とみんなの間にイタチさんが立って…私は、イタチさんを見上げた。


「名前、俺は心から、お前の幸せな未来を願っている」


けれどイタチさんが…死んでしまって…イタチさんの姿は数羽の烏となって、消えてしまう。

イタチさんの方を見ていた私は、そうしてみんなと、目が合った。


「大切、や、大事、…という感情、想いはアイツらに対して、感じないか」


イタチさんの問いが頭の中を巡る。
私は戸惑いながらも一歩、みんなの方へ踏み出した。


「けれど、心のどこかに置いていて欲しい。――あまり、自分を蔑ろにしてはいけない。長門と、そして私からの願いだ」


私は、どうして…生きるように、願ってもらえる?


「お前が誰かに殺されると想像しただけで、俺の身体の中には、憎しみが満ち溢れるんだ、名前…!」


「どうして私を、見て、くれるの…?」


どうして自分のことを考えないのか、って…もう何回も、色んな人に聞かれた。
でも私は、みんなと私は違うんだ、って…ずっと昔に、思ったんだ。

自分には家族がいないことを知って、故郷が無いことを知って。

別に、それを比べて悲しむことはしなかった。
ただ自分は、違うんだな、って…思ったんだ。





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