舞台上の観客 | ナノ
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天井から降り立ったと同時に、重音の術の効果を、鷹以外の人間にかけて、空気の圧力で動けなくした。
そうして私は、膝を折っているサスケの、万華鏡写輪眼が影や護衛役達をとらえるのを遮るように、サスケの目の前に手を静かに上げた。

サスケが立ち上がり、私を真っ直ぐに見る。


「邪魔だ名前、退いていろ」
「サスケ、ここは私が…出来る限りだけど、引き受けることになった。だからサスケは早く、ダンゾウのところに」
「暁の」


するとサスケが、私の言葉を遮るようにして何か言ったので、私は言葉をのんで疑問符を浮かべる。


「暁のゼツとやらが、俺達の侵入を敵に気付かせた。なのに今さら、ダンゾウのもとへ急げだと?」
「…サスケ、ダンゾウは会談でどうやら幻術を使ったらしくて、今、他の影からも監視対象とされている」
「…幻術、だと?」


眉を寄せたサスケの問いに、頷く。


「だから、最初の予定だった帰路を狙うっていう話も…今の状態じゃ、その帰路にも、他の里の護衛役…もしくは影まで、着いてくるかもしれないんだ」
「……」
「ゼツさんはきっと、侵入を告げることで場を混乱させ、戦力を分担させることが目的だったんだと思う」


だから、サスケ。
促すと、サスケは数秒私を見て…そうして、背を向けた。


「香燐、ダンゾウの居場所を教えろ」


歩いていくサスケが言った言葉に、少ししてから、戸惑ったように香燐が瓦礫の奥から出てくる。
恐る恐る、といったその様子を、けれどサスケは気にもとめていないようで、――香燐の首元の服を掴むと地面を蹴り、この空間から去っていった。


「次から次へとゾロゾロと、侵入を許しおって」


サスケの香燐に対するその、少し乱暴な行為や、水月、重吾のことについて何か考える前に…雷影の声がして、私は目で後ろをうかがう。


「だが」


けれど、雷影の姿を視界に入れたその次の瞬間、その大きな身体が一瞬で消えて、目を見開く。

風を切る音が聞こえた瞬間にはもう、


「お前ら暁の、好きにはさせんわァア!!」


雷影が、私の目の前に迫っていた。
褐色の拳が、視界を侵食していく。


速い…!
それに、重音の術がこうも簡単に…!
時空眼、間に合うか…!


「「!!」」


すると、速い、空気を切る音が聞こえたかと思えば――薄茶色いものが、私と、そして雷影の拳との間に、飛び込んできた。

咄嗟に顔の前で両手を構え、目を細めていた私は、視界にうつったそれに目を見開き、後ろを振り返る。

そこには、右手をこちらに向け荒く息をしている――


「我愛、羅…」


現、風影の姿があった。





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