舞台上の観客 | ナノ
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「#幼馴染」のBL小説を読む
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小南さんが去って、少ししてから私も木の葉を出た。

一番近いアジトに向かって木の上を渡っていると、時空間忍術でマダラさんが現れて。
やっぱりマダラさんは、私を怒ることはしなかった。
それどころか、ゼツさんが去った後、木の葉の里を戻しはしなかったか、と…時空眼による私の身体への影響を心配してくれた。

また、申し訳なさがアップした瞬間だった。
――そうして今は、マダラさんと一緒に、木の葉へと向かう途中だった鷹の前に、立ちふさがっている。


「あれは変わり身だった…つまりお前たちは失敗したんだ。正直、お前らにはがっかりしたぞ」


鷹が、暁として割りふられた任務…八尾捕獲を失敗したからだ。
それを告げると水月が悪びれた様子も無く肩をすくめた。


「だからって、じゃあどうするんだよ。僕らにはもう関係ないだろ?」
「いや、暁としてやった仕事は最後までやってもらう。…とは言っても…」


マダラさんの視線を感じた私は頷くと、違う木の上にいるサスケの前に、飛び移る。

サスケは訝しげに眉を寄せ、香燐は眼鏡に手をかけ、おい!と声を上げた。

なので私は、大丈夫、危険なことは何もしないよ、という意味で、香燐に向かってにっこり笑った。


「テメェ、やっぱり…!」


すると何故だか更に香燐が暴れ出してしまった。
水月が面倒臭そうにしながらそんな香燐の肩をおさえる。

私は疑問符に溢れながらも、両目を閉じた。
そうして時空眼を解くと…右眼だけを開き、サスケの瞳をとらえる。

相も変わらず、誰かの目を見ると勝手に時空眼となり、その人の未来を視てしまう、ここ最近の私の目。
この現象は、私の身体に対して面倒なことしか起こしてこなかったけれど…今みたいな場合、サスケの、鷹の未来だけを視たい場合なんかは、有効だ。


「――分かり、ました」


――そうしていくつかの未来を視終わって、起こる少しの目眩を感じながら、私はマダラさんの隣へと戻る。


「多分鷹は、八尾の捕獲へは向かわせない方が良いと思います。いくつかの鷹の未来の中で、また八尾と交戦している光景は、一、二個しか現れませんでしたから」
「やはりな…ありがとう、名前」


マダラさんが、優しく私の頭の上に手を置いた。
そうしてマダラさんは、サスケに向き直る。


「サスケ、今さら木の葉へ行っても、少し遅い。木の葉隠れの里は、もう無い」
「…どういうことだ」
「俺の部下、ペインが木の葉を潰した。お前もペインも派手にやりすぎたせいで、ついに五影も動き出したようだ」


鷹の面々が、マダラさんを見据えた。


「五影会談が開かれる」












「――風影様!」


――五影会談が行われる場所…中立国である鉄の国へと向かう、風影の我愛羅、そして護衛役としてテマリ、カンクロウ。
そんな三人を後ろから呼び止めたのは、名前の件で木の葉に向かわせていた小隊だった。


「無事、任務を果たさせていただきました。まずお先に、預かっていたチャクラのサンプルをお返しします。そしてこちらが、木の葉から受け取った巻物です」
「…ご苦労だった」


我愛羅は、緊張したように重く動いた心臓を無視して、小隊の者から巻物を受け取り、記された文章に目を通していく。
テマリとカンクロウは、自身らもその巻物を読みたいながらも小隊の者達を見て、


「無事で良かった。木の葉の里が、暁に襲撃されたと情報が入っていたからな」
「はい、私達も瓦礫の下に埋まってしまったり…それに、名字名前に…会いました」


驚きの声を上げる二人。
けれど我愛羅は、巻物を見たまま目を見開いていて。


「名字名前はどこかで、自分の能力についてが記された巻物が木の葉にあることを知っていたのでしょう。彼女は私達に乗っていた瓦礫を壊すと、巻物を取って去っていきました」
「ま、待てよ。それならどうして、名前に関する巻物を持って帰って来れたじゃんよ」
「私達は、巻物を五つ複製する予定でした。そして彼女は、元々木の葉にあったオリジナルを持っていった」
「我々は文章は記していたけれど、その能力を使う者のチャクラを表す呪印はまだだったのです。…まあ、覚えていたから複製出来て、木の葉にも一つ渡すことが出来ましたが」
「つまり、この呪印が示したチャクラがサンプルのチャクラと同じならば…俺を生かし、チヨバア様の毒を消したのは、名前ということだな」


我愛羅の言葉に、小隊のリーダーが頷く。


「おい我愛羅、その巻物にはいったい何が記されているんだ」
「ここに記されているのは、時空眼…聞いたことはないが、瞳術の一種らしい。…時空眼を持つ者達は皆、その瞳術を使う時、瞳が白緑色になる。そして名前は、この時空眼の使い手のようだ」
「時空眼…俺も、聞いたことねえじゃん。まあ、それでその作用はなんなんだ?」
「左眼で過去、右眼で未来、そうして両の眼で現在の時空を支配する…と、そう記されているな」


眉を寄せながら聞いていたテマリが、顔を輝かせる。


「そうだ!チヨバア様は、名前が、左の眼だけで自分を見た、と言っていたな」
「そうじゃん!つまり左眼、過去を支配するだかで、チヨバア様の身体の中の毒を巻き戻して、消したんじゃん!」


我愛羅は、自身の指の先が震えないようにしながら、巻物の呪印に、自身のチャクラを流し込んだ。





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